来週の株式見通し(2019/1/21〜1/25)
来週(2019/1/21〜1/25)の日経平均株価の予想レンジは20,500円-21,000円。東京株式市場は指数上昇が前半で一服し、後半は個別色の強い展開が予想される。今週は、「ムニューシン米財務長官は関税の一部もしくは全部の撤回を提案している」などと報じられたことで、米中貿易摩擦への懸念が一時和らぐ場面があった。ほか、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感は根強いものの、「強硬離脱」や「合意なき離脱」は回避されるとの期待から、ポンドが底堅く推移する場面もあった。米国の景気減速を警戒する面では、1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や雇用関係指標などに強い結果がみられるなど、直近で懸念されたこれらの材料がポジティブな方向にやや傾く場面があった。そんな状況が来週も続くかが、背景としては重要なポイントとなる。
物色傾向は、ミニリターン・リバーサル(逆張り手法)的な売買が続くことが予想されるほか、東京製鐵などを皮切りに3月期決算企業の業績発表が始まる。中国を中心とした海外景気の減速によって業績予想の下方修正が増えるだろうが、このところの株価の大幅調整によって織り込み済みの反応がみられるかが焦点となる。1/17に日本電産が通期の業績を大幅に下方修正した。翌日の株価は大幅安で寄り付いたが、買い戻しが優勢となる場面が続いた。また、季節的には株主還元としての自社株買いへの期待は強い。株価が大幅に下げていることで、自社株買いに積極的な姿勢をみせる企業の株価は好感されるだろう。海外投資家による資金流入も見込めそうだ。投資家心理の改善という点では、ソフトバンク(9434)の戻り歩調が続く、米アップル株の底打ち感が広がるかが引き続き重要な要素となる。
2019年で初のSQ(特別清算指数)算出日となった先週の日経平均株価は反発となり、週の高値圏で終えた。週足チャートのローソク足は前週からマド(連続するローソク足の間に空間ができること)を開けたことになる。
具体的に前週というのは大発会(1/4)の1日だけの動きのことであり、この週だけ日足と同じになるが、週足であることに変わりない。1/7から始まる1週間の値動きが、大発会の日の高値から空間を形成して推移したということである。TOPIX(東証株価指数)も同じ解釈となる。
窓が開くと相場に勢いがあるという目安になる。トレンドの転換点やトレンドに勢いがつく前に出現することが多い。1つのトレンドにたくさんのマドが入っていることもよくあるが、最終的に1つ前のマドを埋めるとひと相場が終わるといわれる。
また、マドは日足チャートではよく出現するが、週足や月足になると頻繁にはみられない。日経平均株価の週足では2015年以降でみても数多くない。最近では、昨年10月高値を起点にマドを開けた陰線のローソク足から下落トレンドが始まった。それ以降はマドを形成することなく下落相場が続いているが、先週の上昇によってマドが形成されたことで下落相場の出口になるかが注目される。
一方、長期的な視点では、24カ月移動平均線(21,338円 1/15)と長期トレンドラインの2つの長期線(図表1)と株価の関係が重要である。昨年12/26安値はアベノミクス相場が勢い付く直前の2012年の安値水準を起点に2016年安値を通る長期トレンドライン上で下げ止まる格好となり、足元はいったん反発をみせている。トレンドライン上を維持しながら、2016年時と同様、24ヵ月移動平均線を上回る状況になれば、強い上昇期待につながるだろう。
図表1:日経平均株価の長期の2本線(2012/1/-2019/1/15)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は下落基調にある25日移動平均線(20,609円 1/17)を上値で意識する格好となっているが、 TOPIX(東証株価指数)同様に上回れるかが焦点となる。上回ることができればリバウンド期間が延長(下記の変化日候補を参照)されよう。一方、下値では5日移動平均線(20,384円 1/17)や10日移動平均線(20,217円 1/17)などがサポートになる可能性が高い。
仮に、短期的に10日移動平均線を下回る場合には、値幅・日柄調整が進展する可能性が高まるが、昨年12/26安値(18,948円)からの上昇に対する半値押し程度にとどまっていれば25日移動平均線が下げ止まる場面なども想定される。
上値メドは、10/26安値20,971円、12/11安値21,062円、12/13高値21,871円となる。下値メドは、1/4高値19,692円、12/26安値18,948円、2017年4/24安値18,840円などがある。 過去の高値や安値からの対等日柄として、変化が生じやすいタイミングは、1/22-23、2/5などがある。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2018/1/4-2019/1/17)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、日銀金融政策決定会合(〜1/23)、12月首都圏マンション発売(1/22)、日銀、経済・物価情勢の展望(展望レポート)を公表、黒田日銀総裁会見、12月貿易統計、11月全産業活動指数(1/23)、1月都区部消費者物価指数(1/25)がある。
企業決算では、ゲンキードラ、東製鉄、スーパーツール(1/22)、東会舘、カワチ薬品、日電産(1/23)、石塚硝、大丸エナ、ユアテック、エイトレッド、DNAチップ、KIHD、モーニングスタ(1/24)、エムスリー、富通ゼネ、極東証券、ジャフコ、サカイ引越、帝国ホテル、日置電、エンプラス、昭和飛、幸楽苑HD、SHOEI、未来工業、小糸製、KOA(1/25)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、中国12月小売売上高、中国12月鉱工業生産、中国12月固定資産投資、中国10-12月期GDP(1/21)、世界経済フォーラム(ダボス会議、〜1/25)、独1月ZEW景況指数、米12月中古住宅販売(1/22)、米11月FHFA住宅価格指数(1/23)、ECB定例理事会、ドラギ総裁会見、米12月景気先行指数(1/24)、独1月Ifo景況感指数、米12月耐久財受注、米12月新築住宅販売件数(1/25)などが注目される。
米企業決算では、IBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ハリバートン、トラベラーズ(1/22)、テキサス・インスツルメンツ、フォード・モーター、プロクター・アンド・ギャンブル、ユナイテッド・テクノロジーズ、アボット・ラボラトリーズ、コムキャスト、ラムリサーチ、ザイリンクス(1/23)、インテル、スターバックス、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、フリーポート・マクモラン、イー・トレード(1/24)、エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(1/25)などが予定している。
なお、1/21の米国市場はキング牧師誕生記念日のため休場となる。
来週の注目銘柄(2019/1/21〜1/25)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
1812 | 1,750円 | 1,400円 | 月足チャートで見ると、60カ月移動平均線をサポートに、底練りの動きが続いている。週足では、下向きであった13週・26週移動平均線が横ばいに転じてきた。日足では75日移動平均線(1,525円付近)に突っかける動きになっている。これらの動きから、調整は十分進んだと判断。底打ちから反転に向かう展開を予想する。 建設株は業績期待がはく落したことから、昨年は軟調な推移が続いた。しかし、需要は引き続き旺盛だ。株価の調整でPERは1ケタ台まで低下しており、さすがに割安感が強い。昨年9月には20倍台まであった信用倍率も、直近では4.3倍まで低下した。チャート好転で戻りに弾みがつく可能性が高い。ローリスク、ハイリターンが期待できる局面にあると考える。ターゲットは1,750円、ロスカットは1,400円 | |
4004 | 4,450円 | 3,040円 | 2018年12月期の第3四半期累計の営業利益は1,345億円(前年同期比2.4倍)となった。黒鉛電極の市況上昇・マージン拡大が寄与。通期の会社計画1,700億円に対する進ちょくは79.1%となっており、上振れ期待も高い。また、昨年12月には増配と自社株買いを発表。全体相場が軟調であったこともあり、株価へのポジティブな影響は限定的となったが、今後再評価される可能性は高いと考える。1/15に25日移動平均線を上にブレーク。直近は微調整にあるが押し目買いの好機とみられる。ターゲットは4,450円、ロスカットは3,040円 | |
4631 | 3,900円 | 3,170円 | インキ世界首位。樹脂、電子材料などへ事業展開。2018年12月期の第3四半期累計の営業利益は364億円(前年同期比10%減)となった。併せて、通期の営業利益予想を下方修正。原料価格上昇や物流コスト増が響く。しかし、原油価格は昨年10月の高値から大きく下落している。また、塗料用樹脂やエポキシ樹脂・エポキシ樹脂硬化剤の価格改定を実施、さらにオフセット用印刷インキの価格改定も予定していることから、2019年12月期の採算改善が期待できる。 株価は昨年12月の下落相場でも10月安値(3,150円)を下回らず切り返しに入っている。相対的に底入れ期待が強く、一目均衡表の雲下水準にいる現在は買いの好機と判断したい。ターゲットは3,900円、ロスカットは3,170円 | |
5202 | 1,100円 | 850円 | 2019年3月期の上期の純利益は92.6億円(前年同期比94%増)と大幅な増益となった。金融費用(純額)の減少に加え、一過性の収益(持分法による投資利益約23億0200万)を計上したことが寄与した。同社は自動車先進技術に対応した高付加価値製品が拡大中、高機能ガラスにおいても高付加価値製品の売り上げ比率が改善しており、今後も増益基調は続くとみる。 株価は順調に戻り歩調となっている。1,000円付近からは戻り売りが強くなるが、一目均衡表では基準線を上抜けており、調整後は下値を切り上げる波動を形成していく公算が大きい。ターゲットは1,100円、ロスカットは850円 | |
8194 | 3,000円 | 2,170円 | 食品スーパーを展開する。2019年2月期の第3四半期決算が好感された。連結営業利益は前年同期比5.7%増の74.3億円と増益を確保。上期決算では46.5億円(同6.1%減)と減益決算となったが、しっかり挽回した。人件費などコスト高要因はあったものの、店舗改装効果などが奏功している。上期からの上積み幅も大きく、第3四半期決算は安心感のある内容であったといえよう。株価は上期決算が失望となり、昨年10月以降は軟調な展開が続いていたが、1/11の強い上昇で直近の戻り高値を上回り、一気に25日移動平均線を上回った。週足では直近の安値をつけた2018年12月最終週が上下に長いヒゲをつけた陽線となり、その後2週連続で上昇。12月最終週で当面のボトムを打った可能性が高く、この先は昨年10月高値の3,035円に向けて強い基調が続くと予想する。ターゲットは3,000円、ロスカットは2,170円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で1/17現在、時価総額が1兆円以下、PERが17.0倍以下、PBRが1.7倍以下、信用倍率が9.0倍以下(1/11現在)、10日移動平均線を上回っている中から、業績動向、話題性、材料性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。