来週の株式見通し(2019/1/15〜1/18)
来週(2019/1/15〜1/18)の日経平均株価の予想レンジは20,050円-20,950円。株式・為替市場のリスク要因につながる懸念材料が依然として多く、相場は不安定な動きが続いている。日米株式市場ともに景気減速懸念をかかえながらも、売られ過ぎの反動による自律反発の域を脱しえない。
短期的には日米ともにこれから発表が相次ぐ企業決算の内容が明らかになり、株価に割安感が生じてくるかが反発継続のカギとなる。ただ、国内では先んじて発表が始まった主に小売企業の内容もいまいちの評価で、材料出尽くしによる反発のきっかけが掴みづらい。
今月下旬からは3月期決算企業の第3四半期決算発表が本格化する。それまでに市場が多少なりとも安定し、業績の下方修正を織り込めるようになっているかが反発基調が続くポイントとなる。
イベント面では、1/17-18に東京で開催されるG20財務相・中央銀行総裁代理会議での政策動員が期待される。投資家心理の改善という点では、ソフトバンク株の戻り歩調が続くか、米アップル株の底打ちムードが広がるかが重要な要素となる。また、NY原油先物の戻り歩調が続いており、1バレル=52ドル台に回復してきた。オイルマネーによる日本株への売却懸念の後退といった点では支援材料になるだろう。
今週発表されたFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨でFRB(連邦準備理事会)が金融引き締めについて「辛抱強く」なれるとし、パウエルFRB議長のハト派的発言が再確認されたことが支援材料となった。
ただ、引き続き、米中通商協議終了後のトランプ大統領の発言次第では再び市場を不安定にしかねない。メキシコ国境の壁建設予算をめぐるトランプ米大統領と民主党トップとの会談も物別れが続いており、政府機関一部閉鎖の長期化懸念が株価の上値圧迫要因になる。トランプ米政権と米議会との暫定予算案を巡る確執は3/2に期限切れとなる債務上限引き上げへの暗雲となっており、格付け会社のフィッチは「米債務上限に関する問題」が浮上すれば、「AAA」格付けを再考することを警告している。
国内の経済指標では、12月工作機械受注(1/15)、11月機械受注(1/16)に注目。海外では、米12月NY連銀景気指数(1/15)、米12月小売売上高(1/16)、米12月住宅着工件数、米1月フィラデルフィア連銀景気指数(1/17)、米12月鉱工業生産指数(1/18)などが材料視されやすい。米企業決算では、シティグループ(1/14)、ユナイテッドヘルス・グループ、JPモルガン・チェース(1/15)、ネットフリックス、アメリカン・エキスプレス(1/17)などに注目だ。
日経平均株価(図表1)は昨年12/26安値(18,948円)を起点に下値を切り上げる展開が続いている。RSI(9日)は前日39.9%→50.4%(1/10)まで上昇。強弱の分岐点である50%を超えてきており、目先的にはモメンタムの上昇が続きやすい。
1/10は反落とはなったものの、直近の戻り幅に対しては押しが浅く底堅くなった印象もある。一目均衡表でも転換線(19,721円 1/10)が下方で下げ止まり、上方では基準線(20,823円 同)の水準が視野に入ってきた。200日移動平均線(22,198円 同)の下落も緩やかにとどまっており、同線との下方かい離からは一段とリバウンド基調を強める可能性は高いだろう。
一方、10/2安値(24,448円)から12/26安値までの下落幅は5,500円程度まで広がり、直前の大きな下落幅となる1/23高値(24,129円)〜3/26安値(20,347円)までの下落幅3,782円を上回った。その結果、上昇が続いても年内(2019年)は戻り高値を付けるにとどまり、2018年の高値更新は2020年以降になることが想定される。
ただし、アベノミクス相場が勢い付く直前の2012年の安値水準を起点にして、ブレグジットで大騒ぎした際に付けた2016年安値を通る上昇トレンドライン上をこのまま維持できればという前提となる。
上値メドは、10/26安値20,971円、12/11安値21,062円、12/13高値21,871円となる。下値メドは、12/26安値18,948円、2017年4/24安値18,840円、2017年4/21高値18,648円などがある。
過去の高値や安値からの対等日柄として、変化が生じやすいタイミングは、1/15、1/22-23、2/5などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/1/4-2019/1/10)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、12月工作機械受注(1/15)、11月機械受注、12月企業物価指数、11月第3次産業活動指数(1/16)、G20財務相・中央銀行総裁代理会議(〜1/18)(1/17)、12月消費者物価指数(1/18)がある。
企業決算では、キャンドゥ、ラクトJPN、クリエイトSDH、TKP、串カツ田中、メディアドゥ、テラスカイ、ウォンテッドリ、マネフォワ-ド、サインポスト、リソー教育、Gunosy、不二越、RPA、古野電、東宝(1/15)、ブロンコB(1/16)、津田駒、協和コンサ、グランド(1/17)、アサヒ陶、ネクスG、ティムコ、ノダ、くろ工、リーバイス(1/18)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、米12月生産者物価指数、米12月NY連銀景気指数(1/15)、米12月小売売上高、米11月企業在庫、米1月NAHB住宅市場指数(1/16)、米12月住宅着工件数、米1月フィラデルフィア連銀景気指数(1/17)、米12月鉱工業生産指数、米12月設備稼働率(1/18)などが注目される。
米企業決算では、シティグループ(1/14)、ユナイテッドヘルス・グループ、JPモルガン・チェース(1/15)、USバンコープ、ブラックロック、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、PNCフィナンシャル・サービシズ・グループ(1/16)、M&Tバンク、BB&T、ピープルズ・ユナイテッド・バンク、ネットフリックス、アメリカン・エキスプレス(1/17)、ステート・ストリート(1/18)などが予定している。
来週の注目銘柄(2019/1/15〜1/18)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3139 | 8,100円 | 6,270円 | 乳原料・チーズ、食肉加工品などの専門商社。北米、欧州、豪に拠点がある。2018年11月期第3四半期累計では連結売上高として過去最高を更新。乳原料・チーズ部門の売上高・販売数量は堅調な需要拡大と新規顧客開拓が寄与し、アジア事業も拡大した。株価は直近で100日移動平均線を意識してもみ合い。12月高値(8,580円)からの調整後の反発力は鈍いが、11月中旬ごろまででもみ合いとなった水準でもあり、累積の売買代金もそれなりに多い水準でサポートになりやすい。全般の悪環境が影響している可能性が高く、中期上昇トレンドを維持する中での短期的な調整は押し目買いでよいのではないか。信用買い残も少なく、上値の重荷はなさそうだ。ターゲットは8,100円、ロスカットは6,270円 | |
4344 | 800円 | 535円 | PC用低価格ソフトが主力。自動通訳機「ポケトーク」がヒット中である。2017年12月より初代「ポケトーク」を発売、2018年9月より最新版「ポケトークW」を発売した。日本経済新聞社による「2018年3Q新製品ランキング」において1位、日経トレンディ「2018年ヒット商品ベスト30」にランクインするなど多くの業界で評価されている。同社は2020年末までにシリーズ累計出荷台数100万台を目指しているもよう。株価も底堅い。一目均衡表では雲を挟んでもみ合い。1/4に形成した陽線包み足が買いサインとなり、一歩上に抜け出したが、いったん押し戻されている。PERに割安感はないものの、信用残は売り残が買い残を上回っており、取り組み妙味がある。ターゲットは800円、ロスカットは535円 | |
6758 | 6,000円 | 4,890円 | 2019年3月期通期の連結営業利益予想は8,700億円(前期比18.4%増)。上期の決算時に従来の6,700億円から引き上げた。ゲーム&ネットワークサービス分野と音楽分野の売り上げが好調に推移した。株価は年初来高値からの調整過程にあったため素直に好感したが、米国発のハイテク株安に影響され、依然として下落トレンドが続いている。一方、バリュエーション面ではPERは10倍割れ。スマートフォン市場の停滞は続くが、CMOSイメージセンサー(CIS)は高画素化などを背景に今後も堅調な需要が見込まれる。1/1付けの日経新聞では経営者が選ぶ今年の有望銘柄で、昨年の22位から3位に躍進した。信用買い残が上値の重荷となるが、相場全体のリバウンド局面ではけん引役になることが予想される。米アップル関連として注意は必要ではあるが、織り込み度合いが進展し下方への耐性がついてきた。外需株の中では相対的に円高抵抗力もある。 ターゲットは6,000円、ロスカットは4,890円 | |
7282 | 2,800円 | 2,050円 | トヨタ系。ゴム・樹脂の高分子技術を用いた自動車部品が主軸。世界17カ国・地域の65のグループ会社で事業展開している。発光ダイオードでも有名である。株価はすでに25日移動平均線を上回り、12月の戻り高値(2,335円)に迫る勢い。バリュエーション面でもPBRが1倍を大きく割り込む水準にあり、PERも10倍台前半と過熱感は乏しい。全体市場が戻りを試しそうな局面ではあるが、先行き不透明感も強いだけに、同社のようなバリュエーション面で買い安心感があり、かつテクニカル面でも好転がみられる銘柄が選好される流れになると考える。ターゲットは2,800円、ロスカットは2,050円 | |
7419 | 2,800円 | 1,930円 | 家電量販店を展開。直近の上期決算発表時には上方修正や増配を発表しており、足元の業績は好調。年末商戦の好調も買い材料の一つとなっており、消費関連を見直す動きが強まると予想する。昨年12/10、日本格付研究所(JCR)は、同社の長期発行体格付け「BBB」を維持した上で、格付けの見通しを「安定的」→「ポジティブ」に変更すると発表した。生活家電を中心とした顧客満足度の高い商品の拡販や新規出店の寄与により、売上高の拡大や利益率が改善しているよう。インターネット事業の損益も改善しているようだ。株価は昨年来高値(3,025円)から約1年間調整が続くが、10月以降の相場全体の下げにつられ、ダメ押しまでこなした可能性が高い。相場環境が落ち着けば買いを集めるだろう。PERは1ケタ台で、バリュエーション面で割安感がある。ターゲットは2,800円、ロスカットは1,930円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で1/10現在、時価総額が300億円以上、PBRが8.0倍程度以下、信用倍率が16.0倍以下(12/28現在)の中から、中長期の移動平均線からのかい離率や業績動向、話題性、材料性などを総合的に考慮 してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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