来週の株式見通し(2018/11/26〜11/30)
来週(2018/11/26〜11/30)の日経平均株価の予想レンジは21,300円-22,300円。東京株式市場は米主要指数の反発をにらみながらの展開が予想される。NY原油相場や米ハイテク株の下落が一服し、海外株全般に買い戻しムードが強まるかが注目される。米国株式市場は感謝祭前で買い手控えた資金が、来週から流入する可能性も高い。
日本株も電機セクター中心に一部の買い戻しがみられるが、全体の底上げ機運に波及するかが焦点となる。経済協力開発機構(OECD)は世界経済見通しで2019年の経済成長率を3.5%とし、9月時点から0.2ポイント引き下げた。輸出の停滞などで日本の成長率予測も下方修正するなど、世界的な景気減速が企業収益の拡大を抑制するとの警戒は根強い。そのようなムードを背景に、株価指数の低迷は続く可能性はあるが、下押す場面では下値では10月安値付近と同様、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の買いで支えられる。
低迷する指数を横目に、電力や陸運などの原油安メリット株や、業績の上振れ期待の強い銘柄などへは資金流入は観測され、個別物色重視の投資スタンスが続きそうだ。
12/12-13に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)までは時間はあるが、不安定な米国株式市場や米長期金利の低下を背景に、利上げペースが鈍化するとの見方が強まれば、株式市場には追い風となる。感謝祭前日には米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが鈍化するとの思惑が、ダウ平均を押し上げる場面があった。今後もFRB高官のハト派的な発言や観測報道などに要注目となる。
一方、11/25の欧州連合(EU)の臨時首脳会議でのブレグジットに関する合意署名に向け予断を許さない。また、欧州委員会がイタリア政府に対して是正措置を求める過剰財政赤字是正手続き(EDP)を勧告したことで、対立激化への警戒感が台頭している点などはリスク要因である。
日経平均株価(図表1)は11/21、前日の寄り引け同時足から大幅にマドを形成してのスタートとなったが、10/30に形成した中陽線の中値付近を意識して緩やかに切り返す展開となった。続落とはなったものの、マドを当日のうちに埋め戻すなど、比較的強めの陽線となった。
RSI(9日)は前日35.1%→14.3%(11/21)に低下。売られ過ぎの水準ではあるが、ボトムアウトは依然として確認できず、二番底試しが続いているといえよう。
一方、5日移動平均線(21,679円 11/21)の下落基調は続く可能性はあるが、11/22以降はRSIが上昇しやすくなる(ボトムアウトの可能性)。一目均衡表では転換線(21,868円 同)や基準線(21,965円 同)が下落し悪化は続くが、抵抗帯(雲)にネジレが生じるタイミングにも近いため、そろそろ下げ止まりも意識されそうだ。
10/26安値(20,971円)付近から反転上昇につなげられるかが焦点である。1月高値からの急落後に上げ下げがあったように、10月安値を含め足元のレベルまでの下げは材料に関係なく許容範囲といえる。
直近の10月高値(24,448円)〜10月安値(20,971円)までの下落幅3,477円は、1月高値(24,129円)〜3月安値(20,347円)までの下落幅3,782円を上回っていない。後者の下落幅以内でこのままとどまることができれば、来年に向けて再び高値更新に向けた上昇波動が予想される。ただし、直近の10月高値が1月高値を上回るのに半年以上かかった。次に10月高値を更新するには、それぐらいの日時が必要だろう。
目先の上値メドは、11/8高値22,583円、10/17高値22,959円〜8/30高値23,032円、10/10安値23,373円となる。下値メドは、10/26安値20,971円、3/26安値20,347円などが考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/1/4-2018/11/21)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、10月企業サービス価格指数(11/27)、10月商業動態統計(11/29)、10月完全失業率、10月有効求人倍率、10月都区部消費者物価指数、10月鉱工業生産指数、11月消費動向調査、10月住宅着工統計(11/30)がある。
企業決算では、ウチダエスコ、タカショー(11/26)、プラネット、DyDo、菱洋エレク(11/27)、内田洋(11/28)、ラクーンHD、共和工業(11/29)、はてな、トリケミカル、キタック、ダイサン、ACCESS(11/30)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、英離脱合意を正式決定する臨時EU首脳会議(11/25)、独11月Ifo景況感指数、米10月シカゴ連銀活動指数、米サイバーマンデー(11/26)、米9月FHFA住宅価格指、米9月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(11/27)、米7-9月期GDP改定値、米11月消費者信頼感指数、米10月新築住宅販売(11/28)、米10月個人所得、米10月個人支出、米10月NAR仮契約住宅販売指数、11/7-8開催のFOMC議事録(11/29)、中国11月製造業PMI、米11月シカゴ購買部協会指数、G20首脳会議(〜12/1アルゼンチン・ブエノスアイレス)(11/30)などが注目される。
米企業決算では、セールスフォース・ドットコム(11/27)、ティファニー(11/28)、フィリップス・バン・ヒューゼン、ヒューレット・パッカード(11/29)などが発表を予定している。
新規上場では、不動産デベロッパーの霞ヶ関キャピタル(3498)が11/28にマザーズに上場する。2011年の東日本大震災で被災したショッピングセンター(SC)「フォルテ」(宮城県大河原町)の取得・再生を目的に、仙台市にて同年9月に設立された。2015年8月に東京に本社を移転し、現在の社名に変更した。フォルテは現在も保有・運営しているが、収益的には太陽光発電などの自然エネルギー事業と、収益不動産開発などの不動産コンサルティング事業の二本柱となっている。
近年注目の集まる自然エネルギー関連事業を手掛けている。同業のレノバは昨年2月の上場以降、株価が公開価格比で3.3倍近くまで上昇し、現在も強いモメンタムを維持している。テーマ性から買いを呼び込みそう。一方、懸念材料は同等以上のウエートで投資用不動産関連事業を手掛けている点。ただ、吸収金額は小粒なうえベンチャーキャピタルは1社のみ。前後のIPOも少なく需給面からの高騰スタートは期待できそうだ。
来週の注目銘柄(2018/11/26〜11/30)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3626 | 6,000円 | 4,580円 | 独立系SI大手。クレジットカード向け中心に金融関連に強み。サービスITやBPO、産業ITとも事業環境良好である。人件費や教育研修費など先行投資も吸収。外国人持株比率は4割近い。キャッシュレス化関連である。株価は長期上昇トレンドの踊り場を形成。今年に入ってからは5月以降でもみ合い基調を続けている。相場全体の弱気ムードで日柄調整が長引く可能性はあるが、200日移動平均線近くまで下落しており、押し目買いの好機とみられる。ターゲットは6,000円、ロスカットは4,580円 | |
3837 | 2,300円 | 1,710円 | 大企業向けシステム開発を手がける。40年のインフラ開発実績で技術力に定評がある。2010年から8期連続の増益で中期経営計画を1年前倒しで達成する勢い。大学とIoT機器制御の共同研究や、宇宙関連や次世代通信にも軸足をおく。連続増配目指す。株価は調整を挟みながら、順調に下値を切り上げるパターン。足元は相場全体の弱さに連動してやや想定以上に押されているが、一目均衡表の抵抗帯(雲)下限を意識している。信用残も極端に買い残に偏っているわけではなく需給面も悪くない。小口でも打診買いのタイミングか。ターゲットは2,300円、ロスカットは1,710円 | |
3788 | 4,300円 | 3,110円 | GMO傘下。クラウド・ホスティングと電子認証サービスなどセキュリティ事業が収益柱である。アジア中心に電子認証は国際展開を急ピッチで進める。EUの規制改定の特需も狙う。業務提携を活発化している。株価は10月の相場全体の大幅な下げで200日移動平均線を下回るものの、早々に切り返しに入っている。高いモメンタムは続いており、一目均衡表では抵抗帯(雲)に下から突っかける展開。3,000円台後半からの戻り売りは強いが、もみ合いのあとは一段高が期待できそう。ターゲットは4,300円、ロスカットは3,110円 | |
9416 | 6,300円 | 3,400円 | グローバルWi-Fi事業と中小企業向けにOA機器を販売している。国内WiFiルーター貸出ではトップ。インバウンド需要が上乗せ。クラウドWiFiも軌道に乗る。2018年12月期の第3四半期(1-9月)決算は、累計の連結営業利益が前年同期比38.8%増の21.4億円。グローバルWi-Fi事業が伸長し、売上、利益ともに過去最高値を更新した。通期計画22.5億円に対する進ちょく率は94.8%と極めて高い。株価は高値から中間反騰なくスピード調整。200日移動平均線割れは短期間で終了し、戻りを試す展開となっている。短期的には戻り売りをこなす出来高の増加や日柄が必要だが、長期トレンドは継続しており、押し目買いのタイミングか。ターゲットは6,300円、ロスカットは3,400円 | |
9702 | 3000円 | 1,980円 | 独立系で通信制御ソフトが主力。基地局システムに強みがある。不採算プロジェクトの減少や、戦略上のニアショア、オフショア活用の成果が業績に寄与。セキュリティシステムも立ち上がり好調。高い業績進ちょく率にも評価高まる。株価は2017年高値1,938円からの下げ幅の倍返し2,730円処で高値波乱の上ヒゲ目立つも、7月以降の下値も切り上げており、ある意味では安定感のある推移。もみ合いを経て10月高値(2,778円)をクリアできると、倍返しは見込めそう。ターゲットは3,000円、ロスカットは1,980円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で11/20現在、時価総額が5,000億円以下、PBRが8.0倍以下、信用倍率が8..0倍以下(11/16現在)、今期増収・増益予想(日経予想)、200日移動平均線を上回っている中から、話題性、材料性などを総合的に考慮 してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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