来週の株式見通し(2018/11/12〜11/16)
来週(2018/11/12〜11/16)の東京株式市場は調整か。日経平均株価の予想レンジは21,850円-22,400円。ハイテク株や景気敏感株などの反発基調が一巡し、ディフェンシブ系や内需系の物色が意識されそうだ。
11月SQや米中間選挙などのイベントが通過し、上昇を期待できる材料は個別ベースの決算程度しか見当たらない。
米国市場ではダウ平均が年初来高値まで2.4%程度まで戻した(11/7現在)。一方、ハイテク株主体のナスダックは年初来高値まで6.6%程度(11/7現在)あり、ナスダックの見劣り感は否めない。相対的に戻りが鈍いハイテク株の反動安が全体を押し下げる可能性は高いが、金融セクターなどに物色のシフトがみられれば、日本株も銀行株に見直し買いが期待できる。米VIX指数は低下したが米長期金利(米10年債利回り)は高止まりしており、日米ともに金融セクターに注目したい。
国内企業の4-9月期の決算発表は一巡するが、出遅れ感のあるメガバンクなどが決算発表を予定しており、金利上昇を背景に持ち直しの材料となるか。
今週、米中間選挙以外に注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、声明文で、10月の株価急落に言及することなく、労働市場が引き続き強い点や家計支出の拡大で経済は軌道から外れていないとし、緩やかな利上げ路線を継続する姿勢が示された。
来週の国内の経済指標は、10月工作機械受注(11/12)、7-9月期GDP(11/14)などに注目。海外の経済指標やイベントでは、米ロ首脳会談(パリ)(11/11)、中国10月鉱工業生、中国10月小売売上高、中国10月固定資産投資(11/14)、米10月小売売上高、米11月NY連銀景気指数、米11月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(11/15)など景気認識を左右するものが多い。
しばらくは大きなイベントはないが、11月末には米中首脳会談での通商協議がある。アルゼンチンで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて行われる予定である。会談内容は定かではないが、市場に安心感を与える流れになるかが焦点となってくる。
日経平均株価(図表1)は戻り歩調が続いている。5日移動平均線(22,172円 11/8)をサポートに下値が切り上げっており、一段高に期待できる局面が続く。RSI(9日)は74.5%%(11/8)まで上昇した。
一方、過去の売買代金が多かった水準まで戻しており、下落基調が続く中長期の移動平均線などに上値を抑えられやすく、10月高値(24,448円)から10月安値(20,971円)までの下げに対する半値戻し22,700円付近も上値のフシとして意識されやすい。11/8の高値(22,583円)が、10月の急落過程で形成したもみ合いの中値(22,585円)まで戻したことで、いったん調整に入る可能性も考えられる。
一目均衡表では基準線(22,616 同)が再び下げに転じるタイミングに来ていることも、上値を重くする要因になりえる。調整に入る場合は10日移動平均線(21,826円 同)や転換線(21,809円 同)上を維持できるかが重要。調整が長引く場合は、直近安値(20,971円)に向けて二番底試しにつながるリスクが次第に強まることになる。
目先の上値メドは、10/17高値22,959円〜8/30高値23,032円、10/10安値23,373円となる。下値メドは、21,850円〜21,920円、7/5安値21,462円、10/26安値20,971円、3/26安値20,347円などが考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/1/4-2018/11/8)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、10月企業物価指数、10月工作機械受注(11/12)、7-9月期GDP、9月第3次産業活動指数(11/14)、10月首都圏マンション発売(11/15)がある。
企業決算では、大林組、前田建、住友ベ、ふくおか、京都銀、近鉄GHD、TATERU、前田道、GMOPG、東和薬品、ホトニクス、めぶきFG、ヤオコー、アイフル、ソニーFH、GMO、ユー・エス・エス(11/12)、三菱UFJ、リクルートHD、鹿島、住友不、光通信、マツオカ、ロート、荏原、THK、QBネットHD、九州FG、東京精、MTG、タカラトミー、大日印、セイコーHD、クレセゾン、イオンFS、アサヒインテック(11/13)、日本郵政、みずほ、大塚HD、T&DHD、三井住友、電通、DIC、ADEKA、東映、あいHD、すかいHD、オープンハウス、応化工、沢井製薬、日ペイントH、昭和シェル、出光興産、東海カ、アマダHD、かんぽ、ゆうちょ、PKSHA、あおぞら、三住トラスト、第一生命、RIZAP(11/14)、レカム(11/15)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、中国の「独身の日」(ネットのビッグセール)、米ロ首脳会談(パリ)(11/11)、独11月ZEW景況指数、米10月財政収支(11/13)、中国10月鉱工業生、中国10月小売売上高、中国10月固定資産投資、米10月消費者物価(11/14)、米10月輸出入物価指数、米10月小売売上高、米11月NY連銀景気指数、米11月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米9月企業在庫(11/15)、米10月鉱工業生産指数(11/16)などが注目される。
米企業決算では、ホーム・デポ、アドバンス・オート・パーツ(11/13)、メイシーズ、ネットアップ、シスコシステムズ(11/14)、ウォルマート、NVIDIA、ノードストローム、アプライド・マテリアルズ(11/15)、バイアコム(11/16)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2018/11/12〜11/16)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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4109 | 4,500円 | 3,350円 | 電子部品用フッ素高純度薬品でシェア国内7割、世界8割。リチウムイオン電池用電解質強化中。2019年3月期の上期営業利益は21.6億円(前年同期比18%増)と2ケタ増益となった。無水フッ酸価格の急騰を受けた販売価格への転嫁を着実に進めたことが寄与した。半導体液晶関連では、半導体用薬液のシェア拡大、安定供給体制の強化に向けて2018年度に10万トン/年の供給体制を構築。また、電池関連では、車載専用など2次電池の需要拡大が予想されている。このような状況から成長は続くと考える。株価は2016年高値4,190円を起点にもみ合い波動である。2017年高値5,340円にはまだ遠いが、月足の一目均衡表では抵抗帯(雲)上を維持しており、いずれ高値奪回は可能性大だろう。日足でも25日移動平均線や200日移動平均線などを上回ってきており、戻りに期待できそうだ。ターゲットは4,500円、ロスカットは3,350円 | |
6141 | 2,070円 | 1,500円 | 同社は11/7、2018年12月期の第3四半期累計(1-9月)の連結営業利益(IFRS基準)が235億円(前年同期比57.9%増)だったと発表した。なお、通期の会社計画380億円に対する進ちょくは61.9%となっている。多軸機、超音波加工機などの最先端加工機械のほか、DMQP、Technology Cyclesなどを含む自動化システムのニーズが高く、受注単価の上昇が受注増に大きく寄与した。通期の連結売上収益予想を従来の4,700億円から4,800億円に引き上げることも発表した。なお、営業利益については製造・物流コストの上昇から、前回予想を据え置いた。株価は通期の利益見通しが据え置かれたことが嫌気され、売り反応となった。一方、直近安値(1,515円)は7月安値(1,464円)を下回らず反転の地合いに変化している公算が大きい。短期上昇波動の初押しであり、下値買いで注目したい。ターゲットは2,070円、ロスカットは1,500円 | |
6908 | 5,980円 | 4,450円 | コネクター製造中堅。2019年3月期の上期の営業利益は36.7億円(前年同期比7%減)だった。4月開業の南通工場関連費用が発生したことなどが響いた。減益となったものの、車載市場のカーエレクトロニクス分野がADAS・電動化の進展を背景に伸長し、半期累計で過去最高売上を更新したことを評価したい。なお、期初計画達成に向けて下期において追加の原価低減、経費の厳選実施を行うとしており、業績回復が期待される。上期決算発表に対し、市場は売りで反応したものの、売り一巡後は切り返し。下ヒゲ陽線を形成し、二番底を形成した。2014年〜2015年に付けた4,500円レベルの高値まで調整したことで、当面はリバウンドが期待できる。ターゲットは5,980円、ロスカットは4,450円 | |
6997 | 3,700円 | 2,280円 | アルミ電解コンデンサーで首位。11/5に2019年3月期の通期の純利益予想を下方修正した。これは、独占禁止法関連損失を計上したことが要因。なお、罰金額は6,000万米ドルで確定しており、前期計上した4,000万米ドルと、今回計上した2,000万米ドルで終了となることから、来期はV字回復となる見込み。また、主力のアルミ電解コンデンサーは車載・産機・白物家電向けで需要が拡大しており、今後の成長期待は高い。下方修正を受けて株価は弱気の反応を示したが、早々に売りが一巡し値固めに入っている。7月には4,930円の高値を付けてあり、足元は値ごろ感が強い。ターゲットは3,700円、ロスカットは2,280円 | |
7732 | 2,200円 | 1,450円 | 測量やGPS関連のITシステムで世界規模。2019年3月期の上期営業利益は52.7億円(前年同期比15.3%増)と良好な着地となった。主に米国、欧州および日本における売上高の増加や、原価低減の効果などが寄与した。11/1から準天頂衛星「みちびき」の本格運用が開始されたが、同社は「みちびき」に対応するGNSS受信機などを販売している。今後、みちびき関連として注目を集めることにも期待したい。株価は全体相場に歩調を合わせて軟調な展開となっていたが、安値からの反発が続き5日移動平均線を上にブレークした。1月に付けた年初来高値(2,917円)からは半値近くまで売り込まれたことで自律反発に期待したい。ターゲットは2,200円,ロスカットは1,450円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で11/7現在、時価総額が3,000億円以下、PERが30.0倍以下、PBRが3.0倍以下、配当利回りが1.0%以上、株価が10日移動平均線を上回っている、今期増収・増益予想(日経予想)中から、話題性や材料性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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