来週の株式見通し(2018/02/19〜2/23)
来週(2018/02/19〜2/23)の東京株式市場は戻りを試す展開か。日経平均株価の予想レンジは21,500円-22,600円。円高で国内主力企業の業績に対する不透明感が台頭しており、米国株の急反発に日本株が追随する場面がみられない。米国株高に朝方反応しても、上値を積極的に買う主体が見当たらない状態だ。
一方、来週は米国株の戻りの強さを背景に、日本株への戻り売り圧力が減退していくことが予想されるほか、年金資金など長期資金による買いの思惑が、心理面を通じて下値固めの機運につながる公算が大きい。
外部環境で注目ポイントは、米長期金利(米10年債利回り)の動向である。米10年債利回りは2012年6月の水準(1.45%)から2013年末の3%まで、約1.55%上昇した経緯がある。その後、2016年7月に1.35%まで下落、一時は2012年の水準から底割れする場面があった。現在は、2016年7月の水準から上昇局面が続いている。そこで、「過去分と同じく1.55%上昇する」と仮定すると、足元の2.9%程度で落ち着くことが予想できる。
トレンドは上昇基調を維持していることで、いずれ3.0%を超えていく可能性が高いが、目先的には金利上昇が一服する可能性も高いということである。どちらのケースでも、米国の株式市場が上手く消化していけるかどうかが日本株にとっては重要である。
決算発表が終了し、物色面では決算発表後の証券会社による投資判断が参考になる。株価下落によってバリュエーション面から買い推奨ムードが強まるかどうか。25日移動平均線などからの下方かい離の大きい銘柄など売られ過ぎの自立反発狙いの物色、3月期末を見据えた配当・優待妙味株に着目した資金流入などが予想される。主力株では円高で輸出関連株を敬遠するムードが予想される中、銀行株などにはバリュエーション面からの割安を理由にした買い物が入る公算が大きい。
国内の経済指標に目立ったものはない。海外の経済指標では、米1月中古住宅販売件数、1/30〜31開催のFOMC議事録(2/21)、独2月Ifo景況感指数、米1月景気先行指数(2/22)などが相場に影響を与えうる。
2/19はワシントン誕生記念日で米国市場は休場となる。この時期の直近数年間をみると、ダウ平均は連休明けも2月後半は堅調に推移するケースが多い。相対的に日本株の上値は重く、相場上昇の持続力には海外投資家や年金資金などの売買動向がカギとなる。
米国市場のダウ平均と日経平均株価の単純な価格差をみると、2/14現在で3,739Pある。2016年以降、両者の価格差の平均は1300P程度。週の終値時点で3,000P以上の価格差があったのは、ブレグジット直後の2016年7/8時点の3,039Pである。先週までの期間では最大である。当時は翌週にダウ平均が370ドル程度上昇したのに対して、日経平均株価は1,390円上昇しており、早々に価格差が解消された。その次に価格差が大きかったのは、今年の1/26時点の2,984Pである。翌週のダウ平均は1,095ドル下落したのに対して、日経平均株価は357円の下落にとどまった。つまり、今週もこのままの価格差が維持された場合、来週はダウ平均が相対的に大きく下げるか、日経平均株価が相対的に大きく上げるか、どちらかの現象が起きる可能性が高い。
2/14時点の日経平均株価の予想PERは12.8倍と13倍を割り込んだ。13倍割れは上述したダウ平均と日経平均株価の価格差が3,039Pあった2016年7月以来である。また、東証1部の騰落レシオ(25日)は2/14現在で71.8%と一般的に売られ過ぎといわれる70%に近い。過去、TOPIXと騰落レシオのボトムはタイミングがほぼ一致し、概ね騰落レシオが70%を下回ると底打ちする傾向が強い。そういった意味では、底入れサインも少しずつみえてきており、そろそろ打診買いの水準に近いといえそうだ。
今週の日経平均株価(図表1)は連日で年初来安値を更新したが、200日移動平均線(21,045円 2/15)を下回ると押し目買いが入り下げ渋った。2/15には9日ぶりに5日移動平均線(21,427円 2/15)を上回って終了。株価の勢いを示すオシレータ系のRSI(9日)は緩やかに上昇しつつあり、株価下落とは逆行現象となる底入れサインの可能性が高い。
2/14は2月限のSQ(21,190円)を終値ベースでかろうじて保ったことや、取引時間中には2015年6月高値20,952円にワンタッチ(2/14安値 20,950円)して戻しており、ここからの反発に期待したいところだ。2000年高値20,833円にも相当し重要な水準である。
仮に、このまま反発基調が続いた場合、1/23高値(24,129円)から2/14安値(20,950円)までの下げに対する半値戻し22,539円、あるいは昨年12月になかなか上回れなかった23,000円付近を早期に回復できるかが、再び強気相場に転じる条件となる。
上値のフシになりやすいのは、2/7高値22,353円、2/5安値22,659円、2/2安値23,122円など。10日移動平均線(21,983円、2/15)、75日移動平均線(22,780円、同)、25日移動平均線(23,020円、同)なども重要である。
一方、2015年6月高値より下方の下値メドとしては、昨年6/20高値20,318円(終値ベースは20,230円)、20,000円〜昨年9/15高値19,933円などが考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2017/08/01-2018/02/15)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内経済指標の発表は、1月貿易統計(2/19)、12月全産業活動指数(2/21)、1月消費者物価指数、1月企業向けサービス価格指数(2/23)がある。
一方、海外の経済指標の発表は、独2月ZEW景況感指数(2/20)、米1月中古住宅販売件数、1/30〜31開催のFOMC議事録(2/21)、独2月Ifo景況感指数、米1月景気先行指数(2/22)などが注目される。
米企業決算の発表では、ホーム・デポ、エコラボ、メドトロニック(2/20)、アドバンス・オート・パーツ、シノプシス、アンシス(2/21)、ヒューレット・パッカード(2/22)などが予定している。
なお、2/19の米国株式市場はワシントン誕生記念日の祝日のため休場となる。
来週の注目銘柄(2018/02/19〜2/23)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2151 | 1,420円 | 1,080円 | 廃棄物処理・リサイクル事業を手がける。地下鉄工事や都心再開発で繁忙期を迎えている。再生可能エネルギー事業も木質バイオマス中心に収益柱として育成図る。鉄スクラップ価格上昇は原価改善に寄与する。M&Aや自己株取得にも意欲的である。株価は52週移動平均線までスピード調整。上昇トレンド継続は13週移動平均線上への早期浮上がカギとなる。信用の買い残の増加は鈍く、押し目買いも打診買い止まりのもよう。短期リバウンド後の一段安に警戒しつつも、13週移動平均線以上まで回復ならば積極買い参入を検討だろう。ターゲットは1,420円、ロスカットは1,080円 | |
2362 | 1,500円 | 1,020円 | 主力の建築技術者・エンジニア派遣事業が伸長している。年間採用の増加に加え、派遣単価も上振れ、業績は高いモメンタムを維持。首都圏でのオフィスビル建設の需要旺盛で、大手建設からの受注が高水準となっている。高配当なども魅力的である。株価の大幅調整は13週移動平均線からの20%かい離の反動と考えれば許容範囲だろう。出来高の増加で押し目買い意欲は旺盛だ。2014年1月高値(1,173円)を上回り、長期波動では上値余地が広がっているはずである。大幅調整で目先の買い方を振るい落としており、上値は一段と軽くなった公算が大きい。ターゲットは1,500円、ロスカットは1,020円 | |
2453 | 970円 | 619円 | ガラス・水まわり・カギなど日常トラブル解決事業が収益柱。認知度が向上し、「あんしん修理サポート」、「学生生活110番」の会員数の伸びが顕著である。会社計画では営業利益率は10%を目指す。株主還元策では自己株式の取得基準を公表している。M&Aや人材育成を強化中。株価は急騰の反動安でも高水準の出来高をキープしている。PERに割安感はないが、13週移動平均線までのスピード調整と、3ケタの水準が押し目買いを誘う。直近高値971円は2013年9月高値919円を更新しており、短期の押し目は買いだろう。ターゲットは970円、ロスカットは619円 | |
3069 | 500円 | 410円 | 「牛角」「とりでん」「とり鉄」など複数の飲食業態を全国展開している。地域密着型の店舗運営が特徴。ユニークなブランド拡大に意欲的である。乳製品メーカーをM&Aで傘下に収め、多角化も推進中。海外は英国やEU圏に注力している。株価は短中期の移動平均線をサポートに下値固めが続く。信用買い残の増加は待ち伏せの仕込みの可能性が高い。2017年7月高値510円を起点に1月高値507円を通る上値抵抗線を上回れば、心理的節目の600円は達成容易だろう。一方、下振れ懸念もぬぐえず、2017年11月安値412円割れはロスカットか。ターゲットは500円、ロスカットは410円 | |
3254 | 1,900円 | 1,420円 | マンションディベロッパー。地盤の近畿圏では分譲マンション供給で首位。ドミナント戦略で高密度展開をしている。ワンルーム「プレサンスシリーズ」に注力。海外はベトナムや米国に進出。株主還元は安定型。JPX日経400に採用されている。株価は急速な下押し局面でも52週移動平均線をサポートに底固く推移している。2016年12月高値(1,550円)を起点とした三角もち合いも崩れなし。信用買い残の増加で株価動向次第では将来の需給不安は残すが、PERに割安感が強い。ターゲットは1,900円、ロスカットは1,420円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で2/14現在、時価総額が1,000億円程度以下、配当利回りが0.9%以上、PBRが8.0倍以下、今期増収・増益予想(日経予想)の中から、テクニカル面や成長性、話題性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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