来週の株式見通し(2017/4/10〜4/14)
来週(2017/4/10〜4/14)の日経平均株価の予想レンジは18,500円-19,000円。東京株式市場は自律反発か。新年度相場入りとなったが、さえない相場展開が続いている。朝鮮半島情勢やロシア情勢を材料としたリスク回避の円買い、先に18日の日米経済対話、米財務省の為替報告書発表などを控えており、中国や日本に対する貿易不均衡の是正圧力が強まる懸念が取りざたされている。仏大統領選の第1回目の投票への警戒感など、欧州の政治リスクも下値買い意欲を減退させている。
東芝の問題もリスク要因である。海外投資家の4月買いは以前に紹介したが、日本企業に内部統制を引き締めるような姿がみえてこなければ、本腰を入れて日本株を買う行動には転換しそうにない雰囲気だ。4/11の東芝の決算発表でいったん材料出尽くしとなれば、SQ週ということもあって短期的には相場の方向が変わる可能性もある。一方、決算発表が再々延期となれば、「アク抜け」買いとはなりづらい。
日銀によるETF買いも下げ相場では(心理的)下支え効果は薄れる。米国の主力株の持ち直しや円高が一巡することが日本株が下げ止まる最も重要なカギとなる。また、この先に待ち構えている米国企業の決算発表への期待、国内企業の業績への安心感などが投資家心理の改善、株価上昇には必要である。
図表1は、年初からの業種別株価指数の推移を示したものである。日本株の全体を示すTOPIX(東証株価指数)の3月末の水準は、四半期前の12月末比でみると、0.4%の下落とほぼ変わらずだった。一方、東証の業種別33業種でみると、上がった業種、下がった業種がはっきりしており、上位は海運、石油、紙パルプといったように市況関連の上昇が目立った。ただ、TOPIXに採用されている業種の重要度からみると、3業種を足しても全体100%のうちウェートは1%程度しかない。
逆に最も下げたのは、不動産、その他金融(ノンバンクやリース会社など)、輸送用機器(自動車を含む)である。この3つのウェートを足すと12.5%程度とTOPIXへの影響度が強く、こういった業種が相場の足を引っ張っていることがわかる。
ここにきて、米国の自動車販売の減速懸念が再び浮上しており、日米ともに自動車株の下げがきつい。ただ、トヨタ自動車(7203)のチャートをみると、トランプショック時の水準まで到達しつつある。年初からいちばん下げた不動産の筆頭である、三菱地所(8802)をみても同じことがいえる。つまり、強い上昇が始まったスタート地点に戻ってきたことで、次の反発局面では自動車株や不動産株から上昇が始まる可能性が高いということがいえる。慎重スタンスを継続するならば、自動車株に対して下げ止まる程度にみておくとしても、不動産株のリバウンドには期待したいところだ。
図表1:業種別の株価指数の推移(2016/12/30-2017/3/31)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)はマドを形成した3/22以降、1/18安値(18,650円)を起点とした右肩上がりの上値抵抗線で頭を抑えられ、下値模索の展開となっている。4/6には1/18安値を下回り、年初来安値を更新。25日移動平均線(19,253円 4/6)が75日移動平均線(19,237円 4/6)を下回るデッドクロスが示現する可能性が高くなった。短期的には下落基調が続く展開が予想される。
一方、週足では26週移動平均線(18,731円 4/6)が上昇基調を続けている。週間の終値ベースでサポートになれば、来週は自律反発が予想される。ただ、上値では下落基調が続く25日移動平均線に戻りを抑えられやすい。26週移動平均線上で下げ止まったとしても、昨年4月のような急反発でもない限りは、19,000円以上からの戻り売りをこなすには日柄調整が必要とみられる。
短期的な下値メドは、昨年12/7までの短期もみ合い水準である18,250円〜18,500円、昨年の4/25高値17,613円〜17,685円などが考えられる。上値メドは、3/27安値18,932円、19,110円付近、3/8安値19,198円、3/2高値19,668円などが考えられる。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2016/1/4-2017/4/6)
来週の主要な国内経済指標の発表やイベントは、さくらレポート、日銀支店長会議、2月国際収支、3月景気ウォッチャー調査(4/10)、東芝の2016年10-12月期決算報告の再延期期限(4/11)、2月機械受注、3月国内企業物価指数(4/12)、3月マネーストック、3月都心オフィス空室率、30年国債入札(4/13)、オプションSQ(4/14)がある。
国内の企業決算では、Jフロント、コシダカHD、リソー教育、ローツェ、4℃HD、プレナス(4/10)、スギHD、ABCマート、パルGHD、DCM、U.S.M.H、竹内製作所、コーナン商事、ユニー・ファミマ、ケーヨー、チヨダ、イズミ、吉野家HD、アークス、ベルク(4/11)、コメダ、ディップ、ローソン、ジーフット、ワッツ、ハローズ、大黒天、ウエルシアHD、コスモス薬品、SHIFT、ファンタジー、明光ネット、良品計画、サイゼリヤ、スター精、ライフコーポ、MV東海、MV西日本、ミニストップ(4/12)、JIN、TSIHD、ベル24HD、津田駒、IDOM、松屋、近鉄百、ポケットC、歌舞伎、乃村工、ファーストリテイ(4/13)、ウエストHD、S Foods、キャンドゥ、わらべや、ドトル日レス、SFPダイニン、クリレスHD、トウキョベース、住江織、ダイト、Gunosy、ベクトル、OSG、メタップス、古野電、日置電、ユーシン、リンガハット、松竹、東宝、大庄(4/14)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、G7外相会合(〜4/11 イタリア・ルッカ)、米3年国債入札(4/10)、独4月ZEW景況感指数、米10年国債入札(4/11)、中国3月消費者物価、中国3月生産者物価、米3月輸入物価指数、米3月財政収支、米30年国債入札(4/12)、中国3月貿易収支、米3月生産者物価、米4月ミシガン大学消費者マインド指数(4/13)、米3月消費者物価指数、米3月小売売上高、米2月企業在庫(4/14)などが注目される。
米国の企業決算はJPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ(4/13)などが発表を予定している。
なお、4/14はGood Fridayで米国市場や英国市場は休場となる。
新規上場では、4/10に合成樹脂製品メーカーのウェーブロックホールディングス(7940)が東証2部に上場する。「ウェーブロック」とは糸を波状に挟んで強化したプラスチックシートの名前で、同社は特許を保有するイタリア人から技術を導入するため、1964年6月に日本カーバイド工業など3社の均等出資によって設立された。現在は住宅用壁紙、農業用ネットや網戸用など合成繊維製の網製品、工事用シートなどの産業用資材・包材、自動車用内外装部品などを製造・販売している。みずほ系ファンドによるみずほ証券主幹事による再上場案件。同社の業績は既存3事業が互いに補完し合う効果はあるものの、原材料価格や外部環境に左右されるところが大きい。買い手掛かりに乏しいIPOといえ、吸収額50億円では需給的にも上値は重そうだ。
4/12はホームセンターの運営のLIXILビバ(3564)が東証1部に上場する。埼玉県を中心に全国展開している。実質的な創業は1977年4月で、親会社のトーヨーサッシ(現LIXILグループ)が旧法人格を設立した。東京証券取引所の第1部に上場していたが、2001年4月に親会社が買収、吸収合併すると同時に、現法人格に事業を譲渡。旧法人格は上場廃止となった。今年既に5社目の再上場。ホームセンター株は既に上場企業が多く、近年は人気化した試しがない。想定価格は割安感が乏しく、配当利回りも低い。もちろんジョイフル本田のIPO時のように、保有資産に比べて著しく安い評価というわけでもない。買い手掛かりに乏しい大型案件で、需給的にも見送りが無難な案件か。グローバルオファリングだが、人口の減少する国の内需株をわざわざ外国人が買うのかも疑問だ。
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内容は、1)日経平均、ドル円、NYダウのチャートのポイント、2)中小型株指数が2006年高値を上回った意味、3)米国株は大天井に向けてバブル成熟局面か、4)「5月に株を売れ」の相場格言は今年は有効か、などを中心にじっくりと解説いたします。 是非この機会に参加してください。
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来週の注目銘柄(2017/4/10〜4/14)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1801 | 900円 | 790円 | ゼネコン最大手。土木・建築とも利益率好転。資機材や労務コストの変動あるも、新国立競技場やリニア、都心再開発など事業環境は良好である。同社は3/25付けの日経新聞朝刊で、2017年3月期は連結純利益が前期に比べ約3割増の1,000億円前後になりそうだと報じられた。従来予想(760億円)を3割ほど上回り、2016年3月期に続き過去最高を更新するとされる。旺盛な再開発需要を背景に工事単価が上昇し利益率が改善したという。建設技能労働者の賃金や建設資材費も想定を下回るもよう。株価は26週移動平均線をサポートに横ばい基調を維持している。日足の一目均衡表では三役好転が続いており、相場全体が不安定の中でも底堅さが目立つ。長期波動でも1996年高値(821円)を上回ったあとのもみ合いの範ちゅうで推移しており、上昇期待が高い。ターゲットは900円、ロスカットは790円 | |
6758 | 4,450円 | 3,410円 | 同社は2/2、2017年3月期の通期の連結営業利益予想を従来の2,700億円から2,400億円(前期比18.4%減)に引き下げると発表した。主に映画分野において営業権の減損1,121億円を計上したことが響く。ただ、営業権の減損という一時的要因によるもので、モバイル・コミュニケーション(MC)分野が大幅に損益改善している。市場の評価が比較的高く、2018年3月期は好調なゲームや音楽に続き、半導体事業の収益性改善が見込まれる。株価は主力大型株の中では相対的に高位置をキープしており、需給面は良好とみられる。長期的にも下値を切り上げる動きを続けており、2010年の戻り高値(3,645円)をクリアした2015年5月高値(3,970円)を上回れば上昇は加速する公算が大きい。信用買い残の減少で取り組み面も改善されてきた。ターゲットは4,450円、ロスカットは3,410円 | |
7203 | 6,400円 | 5,640円 | 2月の決算発表時に、2017年3月期通期の連結営業利益予想を従来の1兆7,000億円から1兆8,500億円(前期比35.2%減)に引き上げた。市場予想を下回ったことや、その後の円高推移がさらなる下方修正懸念を連想させ、株価は調整が続いている。トランプ政権による通商政策に対する懸念に加え、米国販売の減速、販売シェアの低下などの懸念材料は多い。一方、株価はトランプショック時(昨年11/9)に形成した日足チャート上の大陰線の水準まで調整が進んでいる。米国全体の自動車販売も長期的には減速トレンドに入った可能性はあるものの、短期的な懸念材料としては織り込んだ可能性が高い。配当利回りが3%に近づいてきたこともサポート要因になる。業種では年初から大きく下げた輸送用機器の筆頭格である同社株のリバウンドに注目すべきタイミングだろう。ターゲットは6,400円、ロスカットは5,640円 | |
8802 | 2,200円 | 1,960円 | ビル事業と生活産業不動産事業でのコスト削減などが寄与している。同社の第3四半期累計(4-12月)の営業利益は1,504億円(前年同期比24.1%増)で着地。決算発表と同時に2017年3月期通期の連結営業利益予想を従来の1,800億円から1,850億円(前期比11.3%増)に引き上げた。株価は2013年4月高値(3,350円)からの長い調整局面は2016年7月安値(1,724円)で一巡した可能性が高い。足元の短期調整局面でもトランプショック時の11/9安値(1,981円)を前に下げ止まるかの正念場であるが、外部環境の落ち着き次第では売られ過ぎの反動が期待できそうだ。12/12高値から2/2安値(2,121円)までの下落幅322円と2/13高値(2,334.5円)から直近安値(2,019円)までの下落幅315.5円がほぼ同値幅である点。また、日柄面でも前者「35日」、後者「36日」と対等している点などにも注目した。ターゲットは2,200円、ロスカットは1,960円 | |
9432 | 5,300円 | 4,670円 | 3/24付けの日経新聞朝刊では、同社が2018年3月期に7年連続の増配を検討すると報じられた。今期の年間配当は120円で来期は10円以上積み増す公算が大きいという。NTTドコモが好調なうえ、NTT東西ではコスト抑制を徹底して増益を目指すとされる。今後、国内外でIT(情報技術)関連など非通信分野をどこまで伸ばせるかが課題になるもようだ。株価と為替市場の連動性が薄れる局面を想定した場合、さらなる円高対策としての内需大型株への資金シフトが起きうる可能性が高い。株価は2011年3月安値を起点に長期上昇トレンドが続いている。月足の一目均衡表では基準線をサポートに強含む。当面の時間は必要だろうが、昨年2月高値(5,419円)を上回れば、次は6,000円〜6,400円まで上値余地が拡大する公算が大きい。ターゲットは5,300円、ロスカットは4,670円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・ 日経平均採用銘柄で4/5現在、時価総額が500億円以上、PBRが2.0倍以下、配当利回りが0.5%以上、信用倍率が5.0倍以下の中から、テクニカル面、業績面、テーマ性、話題性などを考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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