来週の株式見通し(2016/9/19〜9/23)
来週(2016/9/19〜9/23)の日経平均株価の予想レンジは16,000円-16,500円。東京市場は3日立会いとなる。前半は9/20-21に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀金融政策決定会合を控え様子見ムードが強まる公算が大きい。
9/21に発表予定の日銀による金融政策の「総括検証」を巡り思惑が交錯しており、内容次第では発表直後にボラティリティが高まる相場付きとなりそうだ。ただ、翌日は休場となることに加えFOMCの結果発表を控えており、「総括検証」の中身を早期に織り込んだあとは引けに向けて収束に向かう展開が予想される。
FOMCの結果発表後の9/22は、米国で8月シカゴ連銀全米活動指数、8月CB景気先行総合指数、8月中古住宅販売件数、9月カンザスシティ連銀製造業活動などが同日に発表され、強弱の方向が一致すれば株価や為替市場は大きく動く可能性が高い。
イベントを通過した9/23の東京市場は、9月末の中間配当取りの買いが入りやすいことや、翌週に発生する年金資金などのTOPIX(東証株価指数)をベンチマークとする大口資金による配当再投資を期待し、先回り買いが入る可能性はあるだろう。
米国では一般的に、5月最終月曜日の「メモリアルデー」が夏の始まり、9月初めの「レイバーデー」が新学期のスタートでもあり、夏の終わりと認識されている。"Sell in May and go away. don't come back until St Leger Day."「5月に手仕舞いして(相場から)撤退せよ、セント・レジャー・デー(9月の第2土曜日)まで戻ってくるな」という格言がある。5月になると経済番組や新聞などで目にすることは多いが、買い場のチャンスとなる9月や10月に話題になることはほとんどない。
仮に、1996年から今年4月までの約20年間、10月から5月までS&P500で運用し、6月から9月までは持ち株がないという投資方法を続けた場合、累積リターンで400%、年率で8.24%となり、実際のS&P500の通年累積リターン235%、年率6.13%を大きく上回るパフォーマンスになる。一方、6月から9月までS&P500で運用し、10月から5月までは持ち株がないという投資方法を続けた場合、累積リターン-33%、年率-1.94%とマイナスになる。10月前半までは材料不足になるが、果たして来週の日米金融イベントが通過したあとに買い場と感じる場面があるだろうか。
米国市場が波乱の様相を呈し、金利上昇による世界的なリスク(債券バブルの巻き戻し)回避ムードが高まりつつある。図表1ではダウ平均の下値メドを考察した。ダウ平均の日足のラインチャートと200日移動平均線(以下、200日線)、200日線から±2%のライン、200日線から±7%のラインで構成されている。
2015年4月ごろまでの上昇トレンドでは上値は+7%前後で頭打ちとなった経緯があり、今年8月の高値も+7%前後までの上昇で止まった。ダウ平均が高値をつける前後で小動きを繰り返したのは、200日線からのかい離率では過熱感があったからといえる。
逆に、-7%前後まで下げたのは2012年以降では昨年の2015年だけである。人民元ショックをきっかけとした急落後の昨年8月安値時は、-7%を大幅に下回り、-10%まで売り込まれた。次に同じような場面があれば、参考になるかい離率のパラメータとなりえる。
一方、上昇トレンドの過程における調整局面では200日線どころまで下落したケースもあるが、200日線から+2%程度の水準がサポートになることが多かった。昨年8月安値からのリバウンド局面でも、200日線を上回ったものの、+2%で頭打ちとなり、逆に-2%で下げ止まるなど、200日線を挟む±2%のラインはサポートやレジスタンスになりやすいといえる。今年5月にもサポート水準として意識された。
以上の経験則からいえることは、足元、仮に下落幅が拡大した場合、200日線から+2%水準の17,922ドル(9/14現在)がここから直近の下値メドと考えられる。昨年11月の戻り高値17,918ドルと重なる節目でもある。次は200日線の17,570ドル(同)、200日線から-2%水準の17,219ドル(同)などが考えられる。
さらに200日線にこだわると、9/14から200日前は昨年の11/25ごろであり、当時は18,000ドルを少し割れた水準だった。現在の水準と大きく変わらないため、足元の200日線は強い上昇にはなりにくい。
ところが、1カ月〜2カ月程度、弱いながらも株価が今の水準で踏みとどまっていれば、200日前の株価水準と2,000ドル近く価格差が広がってくる(200日前が2月安値に向かっていく)ため、200日線の上昇が再び強くなることが予想される。要するに、足元は日柄の観点からまだ調整しきれてないということである。
あくまでも強気シナリオであるが、10月後半以降のタイミングあたりから再び+2%をサポートに上値を伸ばしていく展開はありえるとみられる。
図表1:米ダウ平均と200日線からのかい離率グラフ(2013/10/1-2016/9/14)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は8/4安値(15,921円)を起点とした短期の下値支持線を下回り、弱い展開が続いている。今週は25日移動平均線(16,738円、9/15現在)が下落に転じた。75日移動平均線(16,361円、9/15現在)も下落に転じており、下値模索が予想される。75日移動平均線から反発に転じたとしても、株価の上方で下落が続く25日移動平均線よりも短い移動平均線に上値を抑えられる可能性が高く、サプライズをともなうような急反発でもない限りは目先的には調整が続く公算が大きい。
週足でみると、来週も13週移動平均線(16,293円、9/15現在)の強い上昇が続きサポート水準として意識されそう。
日足ベースでみた下値メドは、(1)3/14高値(17,291円)〜4/8安値(15,471円)までの下げ幅1,820円を9/4高値(17,156円)から下げた15,336円、(2)4/8安値(15,471円)〜4/25高値(17,613円)までの上げ幅2,142円を9/4高値(17,156円)から下げた15,014円、(3)2/12安値(14,865円)〜3/14高値(17,291円)までの上げ幅2,426円を9/4高値(17,156円)から下げた14,730円などがある。
年初から9/13までの東証1部の価格帯別累積売買代金をみると、15,500円〜16,000円が44兆円、16,000円〜16,500円が91兆円、16,500円〜17,000円が150兆円と最も多く積み上がっており、17,000円〜17,500円の61兆円、17,500円〜18,000円の23兆円と、上にいくと大きく減少する。つまり、17,000円を明確に上回ると戻り待ちの売りが少ない価格帯に入り上値が軽くなる反面、16,500円を明確に下回ると上値は一段と重くなり下押し圧力がかかりやすい。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2016/1/4-2016/9/15)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内経済指標の発表やイベントは、日銀金融政策決定会合(〜9/21)、8月日本製半導体製造装置BBレシオ(9/20)、8月貿易収支、8月訪日外客数、黒田日銀総裁会見(9/21)、7月全産業活動指数(9/23)などがある。
企業決算の発表は、クスリのアオキ(9/20)、オプトエレクトロニクス(9/23)などが予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米9月NAHB住宅市場指数(9/19)、FOMC(〜9/21)、米8月住宅着工件数、米8月建設許可件数(9/20)、イエレンFRB議長会見(経済見通し)(9/21)、NZ準備銀行金融政策決定会合、米8月シカゴ連銀全米活動指数、米7月FHFA住宅価格指数、米8月CB景気先行総合指数、米8月中古住宅販売件数、米9月カンザスシティ連銀製造業活動、米10年インフレ連動国債入札(9/22)などが注目される。
来週の注目銘柄(2016/9/19〜9/23)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3134 | 2,400円 | 1,800円 | スマートフォン関連の周辺機器の販売に加え、EC(電子商取引)関連事業なども手がける。直近では物々交換スマホアプリ「スピラル」のリリースが好感され、株価も強い動きを見せた。8/30放送の「マツコの知らない世界」では、SNSの普及を受けて高まる「自撮り」ニーズに対応した同社の商品が紹介された。アップルの「iPhone7」が普及すれば、周辺機器の需要も高まると想定される。株価上昇が期待できる材料は多い。今年に入り騰勢を強め、7/22には3,250円の高値をつけたが、その後は利食い売りに押される展開となった。8/16に1,570円の安値をつけた後は持ち直し、戻り売りをこなしながら25日移動平均線を上に抜けてきた。週足ベースでも13週移動平均線上を回復しており、調整一巡から再浮上の展開を予想する。ターゲットは2,400円、ロスカットは1,800円 | |
3681 | 1,000円 | 802円 | Web会議システムなどを手がける。3月には、金融機関やFinTech事業者向けに、オンライン対面コミュニケーションをFinTechサービスに組み込むことができる「FinTechアダプター」を提供開始すると発表。また、9月に入って業界大手の米国クム・コーポレーションとエンタープライズ分野での戦略的パートナー提携を発表。業務提携などの発表が相次いでおり、同社の業績伸長の余地は大きい。市場の関心は来期の業績回復に移っているよう。課金開始が遅れている中国での教育事業者向けオンライン教育サービスの売り上げ計上開始が来期に見込まれるほか、円相場の一段高がなければ為替要因による業績下押しも限られそうだ。株価は2016年12月期の第1四半期(1-3月)決算における営業赤字転落を機に売りに押されしばらく下値でもみ合いが続いていたが、ここにきて節目の800円を回復。日足の一目均衡表では雲の中に突入してきた。7/1発表の業績下方修正はおおむね織り込まれたもよう。 ターゲットは1,000円、ロスカットは802円 | |
3756 | 1,250円 | 902円 | システム構築コンサルが主力。半導体事業も手がけている。クラウドサービスやビッグデータといった新たな技術領域が堅調に推移している。ジークHDを子会社化し車載機器事業を強化。自動車、ロボット関連ビジネスの持続的成長を見込むほか、フィンテック、IoT事業への戦略的投資に加え、大学や業界団体との連携を強化している。株価は800円台前半の上値の壁を突破し、長期「青天井」の波動を形成している。短期的な調整局面にはあるが、13週移動平均線上に早期に浮上し、年初来高値(1,061円)が視野に入ってきた。9月に入ってからは出来高が次第に増加してきており、先高を示唆している公算も。一目均衡表では再び「三役好転」を示現。高値を前にゆるむ場面も想定されるが、年初来高値更新後は8月安値(848円)までの下げの倍返しは見込みたい。ターゲットは1,250円、ロスカットは902円 | |
4541 | 2,040円 | 1,720円 | 大手の後発医薬品メーカー。国内最大の取り扱い品目を有する。米国セージェントファーマシューティカルズをTOBで買収し、米国での後発医薬品市場でのプラットフォームの確保はもちろん、世界展開に期待する向きもある。2017年3月期の連結業績見通しは2ケタの増収・営業増益見込み。最近では、ヨウ化カリウム内服ゼリーの製造販売承認の取得、医薬品4成分7製品の製造販売承認を取得するなど材料に欠かせない。 株価は2015年高値4,720円を起点に調整が続いている。高値から「半値八掛け二割引」までには至らずとも、2013年の戻り高値である1,900円前後まで調整し、値ごろ感は申し分ない。依然として高水準にある信用買い残は上値の重荷となるが、7月の大商いとなった2,000円処の水準に向けてのリバウンド程度は望みたい。足元、商いもやや増加の兆し。日足の一目均衡表では基準線のほぼ下げ止まりに加え、転換線上昇で動意がみられるかに注目したい。ターゲットは2,040円、ロスカットは1,720円 | |
9041 | 470円 | 385円 | FOMCや日銀金融政策決定会合の前後は不安定だろうが、そのあとは日銀によるETF買いなどを通じて下げづらい地合いが復活する可能性が高い。9月の優待、配当権利取りを意識した動きは例年以上に強まると予想。優待に手厚い陸運セクターの相対的な魅力が高まると考える。シルバーウイークを間近に控えるなか、5月にサミットが行われた伊勢志摩などは季節的にも旅行需要が高まると予想され、同社の業績にもプラスの恩恵をもたらす可能性が高い。 株価は今年2月に515円の高値をつけた後は下げ基調が続いているが、英国国民投票を受けた6/24に390円の安値をつけた後に急反発。その後再び上値が重くなったが、8/19に6月安値と同値の390円まで下をみた後は切り返している。25日移動平均線を意識して目先はもみ合いが予想されるが、上値余地は大きい。ターゲットは470円、ロスカットは385円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・ 東証1部上場銘柄で9/14現在、時価総額が100億円以上、PBRが8.0倍以下、今期増収予想(日経予想)、株価が10日移動平均線を上回っている中から、業績面やテクニカル面、テーマ性、話題性などを考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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