来週の株式見通し(2016/4/25〜4/28)
来週(2016/4/25〜4/28)の日経平均株価の予想レンジは17,200円-18,300円。東京株式市場はGW前で4日立会いとなる。日米金融政策のイベント結果を週末に控え、基本的には様子見姿勢の展開がイメージできる。円高一服や原油を中心とした商品市況の上昇でリスク選好意識が高まっており、欧米株式に大幅な下落がなければ日本株を買い増しする動きは続きそうだ。一方、原油や為替市場の動向に神経質な状況が続くほか、高値警戒感が強い米主要指数が下落すれば利益確定売りが上値を抑える。来週は3月期の決算発表が数多く予定されており、業績下方修正のアナウンスに対して株価の趨勢が注目される。
FOMC(連邦公開市場委員会)の結果判明は日本時間で4/28の早朝である。米国株式の反応次第では東京市場の寄り付きに影響を与えるほか、当日は日銀金融政策決定会合の結果を控えていることもあって、追加緩和の有無によっては変動幅が大きくなる展開が予想される。ただ、裁定取引にともなう現物株の買い残高は4/15現在で1兆8,651億円と2兆円を割り込んでおり、売り圧力はかなり軽減されている。
また、海外投資家は日本株に対して先物と現物の合算ベースで売り越しを続けてきたが、4月1週には現物株を14週ぶりに買い越しに転じた。4/21に発表された4月2週の買い越し額は3,849億円に膨らみ(先物と現物の合算ベースでは6,584億円の買い越し)、日本株を大幅に積み増す格好となった。
たとえヘッジファンドなどの短期筋の買い戻しであっても大きな変化である。日経225先物、TOPIX先物ともに3月に付けた戻り高値を更新した。国内外のトレーダーの多くが基本ルールとしているブレークアップの買いサインが出現したことで、外部環境のフォローがあれば上値を買う動きが活発化する可能性があることや、相場が緩む場面でも売り方の買い戻しが下支えとなりやすい。
図表1は、株価平均型の日経平均株価とダウ平均の相対指数と、時価総額加重平均型であるTOPIX(東証株価指数)とS&P500の相対指数のそれぞれの52週平均からのかい離率をみたものである。直近でもご案内したように、現在は明らかに米主要指数が優位で、米国株の上昇に日本株が出遅れていると判断できる。
マーケット環境の好転によって、米主要指数にキャッチアップの意識が高まれば、本格化する国内企業の3月期決算発表も悪材料出尽くしの見方に変わり、海外投資家が戻り売りを吸収する可能性が高そうだ。
図表1:日米相対指数の52週平均からのかい離率(2008/1/2-2016/4/20)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
産油国によるドーハ会合は増産凍結で合意に至らなかったが、直後の原油相場は思った以上に下落しなかった。ドル円も直近安値1ドル=107.63円(2014/10/1の高値110.09円と2014/10/15の安値105.23円の中値107.66円)のフシを守った。一方、米国株式市場が米決算を織り込みながら堅調を維持している。短期的な調整はあると思われるが、ダウ平均は昨年付けた史上最高値まであと183ドル程度(4/20現在)、S&P500はあと24ポイント程度(同)に迫る勢い。年初からの波乱相場でチャートは一時崩れかけたようにもみえたが、今になってみれば悪くない。原油安だから株価も下がるだろうではなく、株価が高値更新しそうだから原油を売るのをやめよう、といったように、株式市場がリスクオンの中心的存在に変わった公算が大きい。
前週に続いてNY原油先物のチャートを図表2に示した。2013年以降の終値を遡ると100日移動平均線が重要なフシになっており、足元は同線を上抜ける状況だ。100日移動平均線のトレンドが下落基調から横ばいに変わってきている点が強気の見方のポイントとなる。
2015年前半にも同じような場面があり、原油価格の上方かい離がしばらく続いたあと、結局は100日移動平均線を割り込み底割れにつながった。当時のように底割れリスクはまだ残っているが、2013年からの調整期間がより長いことや、2013年高値からの三段下げの相場リズムが一巡したことも当時より底打ち感が強い理由として挙げられる。
底打ちの確度を高める動きとして、これから注目すべきは、 6月ぐらいにかけてどれだけ上値を伸ばせるかだろう。2013年以降でみると、6月終盤(赤い矢印)からトレンドが変わるパターンが続いているからだ。
直近安値(26.76ドル)からの上昇幅16.67ドルは、昨年高値を起点とした下落トレンドの中で発生した戻り幅11.61ドルや、2014年1月安値(91.54ドル)を起点とした戻り幅15.76ドルをすでに上回っている。あとは、2013年高値からの調整過程で最も大きい、2015年3月安値からの戻り幅18.74ドルを超えられるかどうかがポイントになる。超えることができれば、2013年高値からの下落トレンドが上昇に変化した判断材料のひとつとなる。直近安値(26.76ドル)に戻り幅18.74ドルを当てはめると45.5ドルになる。前週に示した48ドル〜49ドルのフシの手前で重要な水準でもあり、6月までに上回ると底打ち感が一層強まるとみられる。
図表2:NY原油先物の推移(2013/1/2-2016/4/21、日足、1バレル=ドル)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表3)は3/14の高値(17,291円)を上抜けた。これによって、2/12安値(14,865円)と4/8安値(15,471円)とで「二番底」の底固めが確認できたことになり、先高期待が一段と強まった局面だ。200日移動平均線(18,304円、4/21)に向けて上値余地が広がった公算が大きい。株価の下方で推移する25日移動平均線(16,561円、4/21)の上昇基調が続く可能性が高いことに加え、75日移動平均線(16,713円、4/21)も次第に下げ止まる兆候が確認できよう。
二番底(4/8)からの戻りは力強くなることが多い。2/12安値〜3/14高値までの上昇幅を4/8安値からの上げで当てはめたN計算値17,897円処、200日移動平均線(18,304円、4/21)、昨年9月安値(16,901円)から4/8安値までの値幅を昨年9月安値水準に加えた18,331円処、2/12安値から昨年9月安値水準までの値幅を昨年9月安値水準に加えた18,937円処、3/14高値から4/8安値までの下げ幅の倍返しとなる19,111円処などまで、上値余地が広がったとみられる。
一方、現時点では75日移動平均線の下落基調は続いている。そのため、75日移動平均線を上回っている株価はいったん下に押し戻される展開なども想定されるが、3/14高値前後をサポートに再び上値トライへとイメージできる。ただ、4/8安値からの上昇率は10%を超えており、3/14高値を更新した直後にヤレヤレ売りに押されるパターンなども想定しておきたい。その際の下値の目安となるのは、2/1高値(17,905円)を起点に右肩下がりで形成される下値支持線上となる。最長でも日柄調整は、2/12安値を起点とした右肩上がりの下値支持線とクロスするタイミングあたりまでだろう。
週足では、前週に続いて一目均衡表の転換線(16,426円、4/21)の上昇に株価が上手く順応する展開となった。ただ、上値抵抗となりえる基準線(17,439円、4/21)近くまで上昇。足元の勢いで基準線を上回る可能性も高いが、抵抗帯(雲)のネジレが発生しており、来週は「小陰線」ぐらいの調整を入れても不思議ではない。
図表3:日経平均株価の短期チャート(日足、2015/6/1-2016/4/21)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内経済指標の発表やイベントは、衆院北海道5区、京都3区補選投開票(4/24)、3月企業向けサービス価格指数(4/25)、日銀金融政策決定会合(〜4/28)、2月全産業活動指数、2年国債入札(4/27)、日銀総裁会見、日銀「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)、3月失業率・有効求人倍率、3月家計調査、3月全国消費者物価指数、3月商業動態統計、3月鉱工業生産(4/28)などがある。
企業決算の発表は、JSR、日立化成、オービック、日本電産、さくら、アパマンショ、石塚硝、OBC、コクヨ、コア、アンジェスMG、高純度化、アマノ、メルコ、アクセル、アトム、SPK、キヤノン電、信越ポリ、キヤノンMJ、KABU.COM、センチュリー21、日立国際、エクセディ、篠崎屋、蝶理など(4/25)、エムスリー、コカウエスト、信越化、JFEHD、小糸製、シマノ、キヤノン、東エレク、東北電、コメリ、GMOクリック、メタウォーター、積水樹、四国化、日本トリム、不二家、日車輌、昭和飛、東陽テク、岩井コスモ、だいこう、ソフトバンテク、東エレデバ、Vコマース、トーメンデバ、小野測など(4/26)、山パン、キッコーマン、コロプラ、協和キリン、積水化、NRI、花王、OLC、富士フイルム、日立金、コマツ、日立建機、マキタ、オムロン、アルプス、キーエンス、スタンレー、ファナック、京セラ、川重、日野自、三菱自、マツダ、ダイハツ、任天堂、日立ハイテク、野村、JR各社、中国電、北陸電、大阪ガスなど(4/27)、大東建託、アサヒ、キリンHD、ヒューリック、MonotaRO、スタートトゥ、トヨタ紡織、野村不HD、ガンホー、ヤフー、コーセー、TOTO、ガイシ、新日鉄住、神戸鋼、豊田織、ナブテスコ、栗田工、ジェイテクト、三菱電、NEC、富士通、エプソン、パナソニック、ソニー、TDK、デンソー、村田製、日東電工、アイシン、ホンダ、リコー、ヤマハ、豊通、日立キャピ、大和証G、JPX、東武、相鉄HD、小田急、京王、京阪HD、ヤマトHD、郵船、商船三井、JAL、ANA、NTTドコモ、関電など電力各社、Jパワー、東京ガス、東邦ガス、SCSKなど(4/28)が予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントは、北京モーターショー(〜5/4)、独4月Ifo景況感指数、米3月新築住宅販売件数(4/25)、FOMC(〜4/27)、米3月耐久財受注、米2月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米4月CB消費者信頼感指数(4/26)、米3月中古住宅販売仮契約(4/27)、米1-3月期GDP(4/28)、ユーロ圏3月失業率、ユーロ圏1-3月期GDP、米3月個人所得・個人支出、米4月シカゴ購買部協会景気指数(4/29)などが注目される。
米企業決算の発表は、ハリバートン、アップル(4/25)、3M、コーチ、コーニング、P&G、フリーポート・マクモラン、AT&T、イーベイ(4/26)、ユナイテッド・テクノロジーズ、ボーイング、テキサス・インスツルメンツ、マリオット、ペイパル・ホールディングス、サンディスク、フェイスブック(4/27)、フォード、UPS、マスターカード、ダウ・ケミカル、ギリアド・サイエンシズ、リンクトイン(4/28)、シーゲイト・テクノロジー、シェブロン、エクソンモービル(4/29)などが予定している。
来週の注目銘柄(2016/4/25〜4/28)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3930 | 2,400円 | 1,790円 | インターネット上で利用者自身がコンテンツを発信できる「UGC(User Generated Content)」サービスを提供している。利用者同士で質問・回答を寄せ合うウェブサイト「人力検索サイトはてな」やブログサービス「はてなブログ」、ソーシャルブックマーク「はてなブックマーク」などを運営しているほか、他社にUGCサービスに関するプラットフォームやソリューションを提供している。マザーズに2月に上場した。初値は高騰し、公開価格の3.8倍になった。その後の調整局面では3/31に戻り高値(2,776円)を形成し、再び調整局面に転じている。一方、3/24に付けた上場来安値1,801円を下回らず、短期底固めがイメージできる動きになってきたようだ。戻り売り圧力は強いだろうが、リバウンド狙いと割り切ればある程度の値幅取りは可能か。ターゲットは2,400円、ロスカットは1,790円 | |
6185 | 3,500円 | 2,310円 | インターネット広告配信サービスを手掛ける。ソニーグループ。リアルタイムに広告枠を買い付けて広告を配信するDSP(広告主用プラットホーム)「Logicad(ロジカド)」を中心とするマーケティングテクノロジー事業を展開している。同社のDSPは人工知能(AI)「ヴァリス・エンジン」を使っていることが特徴だ。広告種類では、閲覧者から直接的な反応を得ることが目的のダイレクトレスポンス広告が主力で、季節変動を受けにくい。ゲームの広告主は5%程度と少なく、大手通信販売が主力。広告配信先は知名度の高い媒体が多いという。上場は2015年12月。公開価格の2,300円に対して初値は5,500円と急騰。直後の急落から2月には1,976円の安値を付けた。3,000円超までのリバウンドを経て現在は下値固めが進行中。小型株への資金流入は続いており、仕込み場とみられる。ターゲットは3,500円、ロスカットは2,310円 | |
6187 | 2,850円 | 1,760円 | 障害者支援。障害者に対する就労支援や発達障害児への学習教室のほか、未就学児へのデジタル教室を関東中心に全国展開している。2015年末現在112拠点を有している。社会的ニーズが高く、事業内容がマーケットに好まれやすい。市場がまだ整備され始めたばかりとあって、足元の業績水準はまだ低いものの拡大が続いている。2016年3月期の営業利益は前期比53.8%増の5億円と会社は予想。売上高も3割近く伸びるもよう。株価は上場直後に波乱もあったが、3月後半からはもみ合い基調。上場来安値(1,780円)を前にして2,000円処がサポートとして意識されており、下値固めが完了した公算が大きい。ターゲットは2,850円、ロスカットは1,760円 | |
6947 | 1,440円 | 1,110円 | プリント基板、IC回路設計などに使われるCAD/CAMの総合メーカー。国内最大手で世界でもトップクラス。エレクトロニクス、自動車向けに強い。3次元CADが車載向けなどに好調。基板設計ソリューションや、輸送用機器・産業機器向けの配線設計システムなどの売上が伸長している。製造業の設備投資の動向に左右されやすい。電装化進展は追い風。株価は2008年から長い間で形成してきた500円処の底値から、順調に下値を切り上げている。月足では24カ月移動平均線からの下ヒゲで下げに抵抗。2015年以降で高値もみ合いが続いているが、上放れは時間の問題か。2006年2月高値1,528円を上回れば、2,000円処まで上値余地が広がる公算が大きい。高配当銘柄。ターゲットは1,440円、ロスカットは1,110円 | |
7184 | 612円 | 481円 | 富山県の第二地方銀行。銀行業務を中心にリース業務などの金融サービスを提供している。店舗数は2016年1月末現在、計66店。2015年末現在の預金合計1兆1,390億円、総資産は1兆1,823億円。マイナス金利の導入により売られた銀行株は相場の落ち着きとともに回復してきている。同社は3/15に東証1部に上場した。プライシングが最悪期と重なったことで株価に割安感が強い。初値以降の1カ月間はさえない展開が続いたが、高値更新で新ゾーンに突入した。利益確定売りをこなしながら上昇基調が続きそうだ。市場の関心の薄い地銀株だが、好需給が株価を押し上げる要因となる。ターゲットは612円、ロスカットは481円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・ 東証上場銘柄で4/20現在、時価総額が50億円以上で増収・増益予想(純損益、日経予想)の銘柄を対象に、東証1部銘柄は配当利回りが2.3%以上、PBRが1.5倍以下、株価が25日移動平均線を上回っていること、マザーズ銘柄はPERが70.0倍以下、株価が25日移動平均線を下回っていることを条件に、テクニカル面や話題性などを考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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