来週の株式見通し(2015/4/13〜4/17)
来週(2015/4/13〜4/17)の東京市場は不安定な動きが予想される。日経平均株価の予想レンジは19,000円-20,500円。オプションSQが通過したことで、先物の新規売買が活発化する公算が大きい。日経平均株価は値がさ株の上昇に連れ高する場面も考えられるが、相場全体の動きは低調とみる。
国内企業の3月本決算発表は、月後半からスタートする。円安や原油安が企業業績にどの程度影響を与えうるかを見極めるため、大口投資家などの売買はしばらくは手控えられる公算が大きい。よって、指数は薄商いのなか不安定な動きが予想され、GW直前までは個別物色の様相を強める展開が予想される。
一方、米国株式は米主要企業の決算発表が主の株価材料になる。来週はJPモルガンを筆頭に金融機関の決算や、インテルなどが発表を予定している。1-3月期はドル高に対する米企業業績の停滞感(前年比で減益)が伝えられているだけに、今後発表される企業全般の一段の業績下振れは株価の下押し要因になる。
3月雇用統計で景気に対する懸念が強まった局面だけに、さえない米決算内容が続けば、トヨタ自動車など国内の輸出企業の株価にも重荷となるだろう。米決算内容は米主要指数の高値更新の原動力となるカギであり、世界の市場関係者が注目している。
来週注目の経済指標は、4/13発表の2月の機械受注統計(図表1)である。国内景気は株高効果などを背景に消費の部分がクローズアップされ、内需系企業の株価が堅調だ。振れ幅が大きい指標ではあるものの、設備投資の改善基調をみるうえではいつも以上に材料視される可能性が高い。1月は前月比1.7%減と3カ月ぶりの減少となったが、落ち込みは予測より小幅にとどまった。2月は業種ごとのばらつきから物色が偏る可能性はあるが、特に他産業への波及効果が大きい自動車の動きが注目される。
図表1:機械受注の推移(設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額、前月比)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
中国では2015年1−3月期GDP (図表2)など、3月の主要経済統計が発表される。1−3月期GDP の市場予想は前年比7.0%増。昨年のこの時期は2014年1−3月期GDPが市場予想を上回り、景気減速懸念が後退したことで週半ばにかけてリスクオンの流れが加速する場面があった。足元、上海総合指数は4,000P台に乗せてきており、指標結果がネガティブに株価に左右する場合などは、日本株の思わぬ調整要因になることも考えられる。
逆に予想を上回れば、鉄鋼・海運などのセクターを出遅れ株として物色する流れになりそうだ。
図表2:中国の実質GDP 成長率(前年同期比)の推移
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表3)は、4/8には3/23に付けた終値ベースと取引時間中の年初来高値をともに更新した。株価の勢いを示すRSI(9日)も本格上昇のサインとなりえる境目の50%を上回り、60.5%まで上昇。株価の振れ幅自体が大きく高値警戒感はあるものの、このままのムードだけでいけば大台の2万円超えは時間の問題だろう。
上値メドは、昨年10/17安値から12/8高値までの上げ幅を1/16安値からの上昇とみたN計算値20,093円。3/23高値から4/1安値までの下げ幅の倍返しで20,629円処、昨年10/17安値から12/8高値までの上げ幅を12/8高値に加えたE計算値21,531円などが考えられる。 基調に変化が生じやすいのは、昨年10/17安値から1/16安値までの「59」の日柄を先に対等させた4/9前後、昨年11/14高値から2/3安値までの「52」の日柄を先に対等させた4/16前後、昨年4/11安値から10/17安値までの「129(基本数値)」の日柄を先に当てはめた4/27前後などが挙げられる。
一方、4月は新年度相場への期待感から楽観的な見方が広がる傾向にあるが、月初から月半ばにかけて高値を付け、その後3月期決算が本格化する月末にかけて値を崩す傾向がみられることには留意したい。長期の高値・安値の周期では「83カ月周期」がある。例えば1996年6月高値から2003年4月安値までがそうだ。2008年6月の戻り高値から83カ月目が到来するのが4月であり、大きな高値を付けるのも時間の問題なのかもしれない。下値メドは、2007年高値18,300円処となる。
図表3:日経平均株価と移動平均線 (日足、2014.3.4-2015.4.8)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要なイベントや国内経済指標の発表は、3月マネーストック、3月企業物価指数、2月機械受注、3月16・17日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、日銀支店長会議、さくらレポート(4/13)、5年国債入札(4/14)、黒田日銀総裁が信託大会で挨拶(4/15)、3月首都圏新規マンション発売、20年国債入札(4/16)などがある。国内企業の決算発表は、ガリバー、松屋、歌舞伎座、サカタのタネ、柿安本店、ハローズ、TSIHD、サイバーS、シリコンスタシオ、タケダ機、津田駒、コーナン商事など(4/13)、ドトル日レス、ウエルシアHD、松竹、東宝、ウエストHD、タマホーム、アルバイトタイ、鉄人化、キャンドゥ、JIN、レナウン、モバクリ、リソー教育、佐鳥電機、アデランス、アオキスーパーなど(4/14)、日置電、ベスト電(4/15)、日鋳造、YEデータ、安川情報(4/17)などが予定している。
一方、海外のイベントや経済指標では、中国3月貿易収支(4/13)、米3月小売売上高、米3月生産者物価(4/14)、中国3月小売売上高、鉱工業生産、都市部固定資産投資、中国1-3月期GDP、ECB定例理事会(ドラギ総裁会見)、米4月NY連銀製造業景気指数、米3月鉱工業生産・設備稼働率、ベージュブック(4/15)、プーチン大統領がテレビ国民対話(モスクワ)、G20財務相・中銀総裁会議(4/16〜17ワシントン)、米3月住宅着工・許可件数、米4月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(4/16)、IMF・世界銀行の春季総会、米3月消費者物価、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数、米3月CB景気先行総合指数(4/17)など。
米企業決算では、ジョンソン・エンド・ジョンソン、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、インテル(4/14)、U・S・バンコープ、バンク・オブ・アメリカ、ネットフリックス、サンディスク(4/15)、ゴールドマン・サックス、シティグループ、シュルンベルジェ、アメリカン・エキスプレス(4/16)、GE(4/17)などが発表を予定している。
新規上場では、4/17に名古屋中心に居酒屋チェーンを展開する海帆(3133)がマザーズに上場する。レストランやラーメン店も含め、2014年2月末現在11業態75店舗を展開している。また、その他の事業として子会社を通して鮮魚などの卸売業も手掛けている。名古屋市の柳橋中央市場で店舗利用権を賃借しており、鮮魚などを仕入れ加工し、他社含めた飲食店舗に販売している。ベンチャーキャピタルは入っていないが、会社関係者の一部にロックアップ1.5倍解除が付され、社長も配偶者をスケープゴートにIPOバブルの恩恵にあずかりたいようだ。
ただ、PERは10倍前後と3月外食業態に比べて低く割安感あり。期越え上場で16.3期の予想が出されていないのが難点だが、名古屋といえばトヨタグループ賃上げの追い風が吹く地域だ。飲み代へのトリクルダウン効果が期待できる。需給面でも吸収金額が少なく、需給逼迫(ひっぱく)で高い初値が狙えると考える。
来週の注目銘柄(2015/4/13〜4/17)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2229 |
6,810円 |
5,100円 |
4/8付の日本経済新聞で、同社が韓国にスナック菓子工場を新設するとの内容が報じられた。ポテトチップスの売り上げが急増し、生産能力が限界に達しているとのこと。会社としても海外事業に力を入れているなか、市場が順調に拡大していることが確認できる内容である。会社側の2015年3月期の連結営業利益計画225億円に対し、第3四半期(4-12月)時点での進ちょくは85.8%と高い。業績面では買い安心感がある。株価は中長期的に右肩上がりのトレンドが続く。日足ベースでも5日線に沿って過熱感なく上昇しており、トレンドフォローが投資スタンスの基本だろう。信用買い残は極端な買い長ではなく、上値の重荷にはなりづらい。ターゲットは6,810円、ロスカットは5,100円 |
|
4676 |
2,070円 |
1,640円 |
フジテレビの視聴率低迷が業績や株価の重荷となっているが、ほぼ織り込まれた印象。この4月より生放送をメインとする番組改編を行っており、ビデオリサーチ社発表の視聴率調査でその効果がみえてくれば、株価上昇に拍車がかかるとみている。2012年に株式公開買い付け(TOB)で完全子会社化したサンケイビルは、東京の臨海部でオフィスタワー「ダイバーシティ東京」、大手町では「東京サンケイビル」を運営しており、五輪関連などで注目される。株価は2011年安値989円を下回らずに切り返しに転じており、長期底入れの可能性がでてきた局面だ。2013年5月高値2,330円を超えていけるかが焦点となる。短期的には25日移動平均線下まで調整を強いられたが、3月高値1,859円奪回は時間の問題か。ターゲットは2,070円、ロスカットは1,640円 |
|
6758 |
4,050円 |
3,270円 |
4/3付の日本経済新聞で、構造改革の効果が2016年3月期の連結営業利益を600億円以上押し上げるとの観測が報じられた。懸案であったエレクトロニクス分野の人件費削減を進め、固定費負担を減らすとのこと。4/1には保有するオリンパス株の一部譲渡を発表したが、経営資源の集中と選択がうかがえる内容である。株価は4,000円に向け順調に下値を切り上げる展開が続く。信用の売り残が買い残を上回っており、好需給面なども上昇力を強める要因だ。長期的な出遅れ感も強く、昨年まで自動車株を買ってきた資金が電機株などへシフトを強めていく公算が大きい。ターゲットは4050円、ロスカットは3,270円 |
|
6770 |
3,500円 |
2,580円 |
スマートフォンや車載向け製品が好調で2015年3月期は第2四半期、第3四半期で通期業績を上方修正しており、連結営業利益計画は期初の310億円から500億円へ60%強もの上振れとなった。米アップルの「アップルウォッチ」の予約注文が始まり、新宿伊勢丹などでもお披露目されることから、アップル関連として改めて注目が集まる展開が予想される。株価はITバブル時の高値である3,500円が視野に入った。25日移動平均線から反発が予想されるが、あせらず3月高値3,135円を上回れば買いのスタンスでよい。短期的な過熱感はないとはいえず、13週移動平均線(2,670円前後)まで調整の可能性もあるからだ。ターゲットは3,500円、ロスカットは2,580円 |
|
6963 |
10,400円 |
7,590円 |
電子部品の大手。同社は4/6、2015年3月期の連結経常益が従来予想の380億円を上振れ、前期比59%増の570億円だったと発表した。市場予想(540億円)も上振れる見通し。営業益見通し(380億円)は市場予想(390億円)にやや届かず、織り込み済みの反応を株価は示したが、下値固めから3月高値9,140円をトライする展開につながる公算が大きい。2006年以降のもみ合い下限1万円あたりまでは上値余地があるとみられる。ターゲットは10,400円、ロスカットは7,590円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証一部上場銘柄で4/8現在、時価総額が300億円以上、PBR8.0倍以下、今期増収予想 (日経予想)、株価が13週移動平均線を上回っていることをベースに、出来高面や話題性などを考慮しピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。