来週の株式見通し(2014/9/16〜9/19)
来週(2014/9/16〜9/19)は上値を試す展開が予想される。日経平均株価の予想レンジは15,800円-16,260円。FOMC(連邦公開市場委員会)の結果(日本時間9/18早朝)に対する米国株やドル円相場の反応が最大の注目点だ。東京市場は9/18の相場から織り込むことになる。
9月限のメジャーSQが通過した。SQ前後の高値・安値は分岐点になりやすいというジンクスもある。SQまで上昇したあとに下落に転じる、SQまで下落したあとに上昇に転じるという見方である。そういったジンクスを考慮すれば、今週の上昇に対する反動は想定しておいた方がよい。ただ、図表1のように過去の9月限SQ前後の動きをみるとさほど大きな動きはない。3月本決算企業の中間配当取りの動きなども、下支え要因になるのだろう。
図表1:月限メジャーSQ前後の株価推移(2009年-2013年、SQ日の日経平均=1)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
足元、ようやく大型株にも買いが入り始めており、東証一部の騰落レシオ(25日)は9/10現在で127.3%と再び120%を上回ってきた。日経ジャスダック指数やマザーズ指数など新興市場指数も下げない。短期的に下落する場面があっても、下値で拾えなかった投資家の押し目買いが予想されることや、売り方の買い戻しなどが下値を支える要因となる。
売買代金の低迷を懸念する向きもあるが、高値更新の局面に入れば、ブレイクアウト手法が好きな海外勢の参入が予想され、売買代金は必然的に増加するものである。
内閣府が9/8に発表した2014年4-6月期の国内総生産の改定値は、物価変動の影響を除く実質ベースで前期比-1.8%、同年率換算で-7.1%となった。速報値の前期比-1.7%、同年率換算-6.8%から下方修正された。景気への楽観ムードがやや後退しており、消費増税への議論が順調に進まない可能性を海外勢は懸念している。
一方、ドル円相場は1ドル107円台まで円安が進行し、主力企業の業績上振れ期待が次第に高まりつつある。増税の影響で落ち込んだ景気の回復を示すデータが確認できれば、年末に向け大型株主導の局面に移るだろう。
日経平均株価への寄与度が大きいソフトバンク(9984)の株価が急回復してきた。ファナック(6954)は年初来高値更新、KDDI(9433)の昨年来高値更新も時間の問題だろう。8月に国内ユニクロの既存店売上高が回復したファーストリテイリング(9983)にも出直りの兆しが出てきた。2013年12月高値から低迷が続いており、日経平均株価とは対照的な動きである。最近の小売株の低迷により敬遠されてきた感もあるが、ここから指数の一段高をけん引するには申し分ない株価位置にある。
一方、東証上場銘柄で時価総額トップのトヨタ自動車(7203)は13週移動平均線を上回る長い陽線を形成し、26週移動平均線の上昇が定着してきそうだ。同社株は9/11に7月高値6,221円を上回り、大型株相場への移行サインになった可能性もある。
円安でようやく自動車株が動き出し、トヨタ自動車や富士重工業(7270)もさることながら、今度は「いすゞ自動車(7202)」の相場が始まるような気配だ(図表2)。
図表2:自動車株の長期株価推移(1988/1-2014/9/9)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
国内の主要な経済指標の発表やイベントは、8月首都圏新規マンション発売、黒田日銀総裁が大阪経済4団体共催懇談会で挨拶(9/16)、8月貿易収支、黒田日銀総裁が全国証券大会で挨拶、「東京ゲームショウ 2014」(幕張メッセ、〜21日)(9/18)、7月全産業活動指数、8月全国百貨店売上高(9/19)などがある。
企業決算では、銚子丸、ウインテスト、アークランド(9/16)、ツルハHD(9/17)、クスリのアオキ(9/18)、サッポロDGS(9/19)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントは、ユーロ圏7月貿易収支、米9月NY連銀製造業景気指数、米8月鉱工業生産・設備稼働率(9/15)、独9月ZEW景況感指数、米FOMC(9/16)、米8月消費者物価、米4-6月期経常収支、米9月NAHB住宅市場指数、イエレンFRB議長会見(18日、3:00)(9/17)、スコットランドで英国からの独立の是非を問う住民投票実施、米8月住宅着工件数、米9月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(9/18)、米8月CB景気先行総合指数(9/19)などが材料視されやすい。
日経平均株価(図表3)は25日移動平均線の上昇基調が強まり、昨年来高値である2013年12月高値(16,320円)を視野に堅調な展開が予想される。2013年5月高値(15,942円)前後でいったん上値を抑えられる可能性もあるが、売買代金の増加なども伴えば上昇が加速する展開などもありえよう。昨年来高値手前で考えられる上値メドは、7月高値と8月安値の中間時点からその下落幅を上げた16,262円処。高値更新後の上値メドとしては、7月高値から8月安値までの下げ幅の倍返しとなる16,765円前後が予想される。
図表3:日経平均株価の日足チャート (2014/3/3〜9/11)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の注目銘柄!(9/16〜9/19)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット株価(円) |
注目ポイント |
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4023 |
634円 |
520円 |
機能・化学製品、「NEWクレラップ」などの樹脂製品の製造・販売を手掛ける。PGA (ポリグリコ−ル酸)樹脂はシェールガス掘削用途へ広がり。海外売上は熱収縮多層フィルムと包装機械を中心に円安効果も。株価は2000年安値238円と2012年安値265円とで底固めとなるかが焦点。12カ月移動平均線をサポートに強含みが続いており、2006年高値686円は早期クリアの公算も。今年に入ってからの550円をやや上回る節目を静かに上抜いてきており、出来高次第では上値追いの展開も期待できよう。ターゲットは634円、ロスカットは520円 |
|
4229 |
450円 |
368円 |
工業用フェノール樹脂は国内首位級。用途は幅広い。自動車生産の海外移転の影響を受け、自動車関連向け樹脂は低調だが、中小型建機の需要回復で建設機械向け樹脂が堅調に推移。電子材料向けも高付加価値品中心に堅調に推移しているもよう。2013年は次世代3Dプリンタの開発プロジェクトへの参加を気に、株価は同年7/11高値710円まで大幅高を演じた。5/21安値333円まで調整が続いたが、週足では「陽線はらみ足」を形成し下値を切り上げる波動に転じることができるか。6/24高値438円まではやや距離はあるが、上回るシナリオを描けば今は静かな仕込み場だ。ターゲットは450円、ロスカットは368円 |
|
6701 |
448円 |
339円 |
通信インフラで国内首位。携帯電話事業を売却し、ITサービスを強化。防災・防衛関連の無線システムが堅調だ。東南アジアと米国を結ぶ光海底ケーブル「SEA-US」の建設請負契約を締結した。株価は7/31高値(405円)を起点にミニ三段下げとなり、75日移動平均線から反発に転じられるかが注目される。直近の日足の「五陰連」は高値圏に示現したものではなく、ダメ押し反発直前の動きとみられる。月足の一目均衡表では抵抗帯(雲)をブレークしたあとの小休止の局面であり、年末に向けての再動意に期待したい。ターゲットは448円、ロスカットは339円 |
|
8309 |
560円 |
424円 |
大手金融グループ。不動産ビジネスに強い。8/27、横浜銀行と傘下の三井住友信託銀行が業務提携を検討すると発表。株価は信用買い残の高水準が重荷となり上値の重い展開が続いたが、短期底入れムードが強まる公算が大きい。一目均衡表では抵抗帯(雲)を上方にブレークし、6/20高値480円が視野に入ってきた。昨年5月高値649円を起点に高値を切り下げる中期調整パターンが続いたが、6/20高値を上回ると短期的にはようやく上昇基調に転じる。それなりにハードルは高いものの、出遅れ感が強い低位株である。ターゲットは560円、ロスカットは424円 |
|
8601 |
1,030円 |
840円 |
総合証券2位。急速な円安進行と株高で事業環境の好転を予想。海外株にも力を入れており、米国株の堅調が続いている点もサポート要因と考える。第1四半期(4-6月期)決算では純利益が国内最大手の野村HDを上回るなど、今年は健闘が光る。9月に入り大型株優位の兆しが出てきており、豊富な顧客基盤を持つ対面証券の優位性が高まるだろう。株価は上昇基調。7/7高値907円を上回ると、5/21安値を起点に上昇二段目に入り、騰勢を強める公算が大きい。信用買い残は高水準ながらも、ピーク比で低下基調が続いている。月足の一目均衡表では基準線が上昇に転じ、中長期的にも押し目買いのタイミングであろう。ターゲットは1,030円、ロスカットは840円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証一部上場銘柄で9/10現在、時価総額が300億円以上、PER30倍以下、PBR1.5倍以下、配当利回りは1.0%以上の中から、話題性、需給面などを考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。