来週の株式見通し(2014/2/3〜2/7)
来週(2014/2/3〜2/7)の東京株式市場は正念場を迎える。主力企業の決算発表が続くかたわら、一時1ドル=101円台まで進んだ円高は投資家心理の重荷となる。新興国市場の不安定な状況はなお続いており、市場では大小問わず悪材料には敏感だ。 企業決算の好調を背景に市場全体が底上げされるムードではまだないが、外部環境の好転によって企業決算を素直に好感する心理的余裕が生まれるかがポイントである。週前半は個別決算銘柄に短期資金が向かう構図がメーンだろう。
一方、注目されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、予想通りに100億ドルの資産買い入れ額の縮小が決定された。声明文も大きな変化はなく、継続的な買い入れ額の縮小が意識された。そういった中、来週発表される米1月雇用統計はいつも以上に注目度が高い。非農業部門雇用者数(図表1)は12月は前月比7万4千人増となり、市場予想(同20万人増)を大きく下回った。それを受けて米10年債利回りは急速に低下し、現在も2.7%前後の推移にとどまっている。1月分の非農業部門雇用者数の市場予想は前月比18万人増(1/30現在)。市場予想を上回る、ないしは前月から改善する結果となれば、金利上昇を通じたドル買いにより円高一服→株価反発という展開が予想される。いずれにしても、米ISM製造業景況指数など米国では主要経済指標の発表が多く、それらの結果によって新興国リスクへの懸念が解消に向かう流れとなるかが焦点となる。
図表1:米国の非農業部門雇用者数(2008年2月〜2013年12月)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
国内の経済指標やイベントでは、1月都心オフィス空室率(2/6)、12月景気動向指数(2/7)などが重要。
国内決算では、ガンホー、アステラス薬、塩野義、エーザイ、日本ペイント、ジェイテクト、三菱電、デンソー、アイシン、豊田通商、三菱UFJ、帝人、大塚商会、クラリオン、フジクラ、日機装(2/3)、花王、小野薬、テルモ、日立、パナソニック、シャープ、トヨタ、富士重、伊藤忠、横浜銀、東武、NTTデータ、イビデン、DOWA、ミネベア、OKI(2/4)、クラレ、旭化成、三菱ケミHD、武田、シスメックス、三菱自、マツダ、シマノ、ドンキホテHD、バンナムHD、三井物、菱地所、スクエニHD、日触媒、ダイセル、フジHD、ヤマハ、大京、夢真HD(2/5)、大成建、東レ、ヤマダ電、ソニー、ローム、三菱重、ニコン、NTT、博報堂DY、セプテーニHD、コスモ石、タカタ(2/6)、国際帝石、大和ハウス、旭硝子、住友鉱、洋缶HD、リンナイ、クボタ、セガサミーHD、横河電、いすゞ、オリンパス、丸紅、クレセゾン、セブン銀行、ミクシィ、ディスコ、沢井製薬(2/7)などが予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、中国1月製造業PMI、FRB議長にイエレン氏が就任(2/1)、中国1月非製造業PMI、米1月ISM製造業景況指数(2/3)、豪州準備銀行理事会、米12月製造業受注(2/4)、ユーロ圏12月小売売上高、米1月ADP雇用統計、米1月ISM非製造業景況指数(2/5)、独12月製造業受注、ECB理事会、ドラギECB総裁会見、米12月貿易収支(2/6)、ロシア・ソチ冬季五輪(〜23日)、独12月鉱工業生産、米1月雇用統計、米12月消費者信用残高、米債務上限引上げの延長期限(2/7)など。米国決算は、メルク、ラルフローレン、ウォルト・ディズニー(2/5)が発表する。
来週の日経平均株価の予想レンジは14,500円〜15,650円。図表2は、日足のラインチャートである。2013年12/30高値からの下落率は8%(1/28現在)に達した。1/29は海外株式市場の上昇や急速な円安、新興国の通貨防衛などが好感され5日ぶりの上昇となったが、本格的に反転上昇に転じたかの判断はまだできない。高値からの下落過程ですでに昨年12/16に付けた直近安値(15,152円)を一時的にでも下回ったためである。一方、2012年からの上昇基調がこれで崩れたかというと、その判断も時期尚早である。2012年11/13安値を起点に2013年11/8安値を通る上昇トレンドライン上(ライン1)は終値ベースで若干割り込んだものの、2013年6/13安値を起点に8/28安値や11/8安値などを通るトレンドライン上(ライン2)は維持している。仮に、ダメ押しの下げがあったとしても、ライン2を起点に反転上昇へとつながる可能性があるからだ。ライン2は、概ね9/20高値(14,816円)や10/23高値(14,799円)などの節目にも近い水準。ライン2までの調整にとどまれば、高値と安値を切り上げながら収れんするダイアゴナル・トライアングル(傾斜三角形)の波動形成の可能性が残る。
一方、12/30高値まで上昇する起点となった14,300円処まで調整が深まると、次の反発局面でもライン2の水準から二段下げが生じ、昨年6月安値(12,445円)をみにいく展開などが考えられる。
12/30高値更新後の上値メドは、昨年6月安値から7月の戻り高値までの上昇幅に対するE計算値の17,171円。2009年3月安値から2011年11月安値までの安値切り上げ幅1,105円を、逆に2007年高値からの高値切り下げ幅とみた17,156円処。2007年高値18,261円と合わせ、ダイアゴナル・トライアングル完成付近で生じる可能性のある上値メドとして重要な水準である。
図表2:日経平均株価(2007年1月4日〜2014年1月30日)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の注目銘柄(2014/2/3〜2/7)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット株価(円) |
注目ポイント |
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1802 |
690円 |
574円 |
大手ゼネコン。首都圏で都市開発に強み。低採算案件の増加、労務費や材料費の高騰が業績の足かせ。2015年3月期以降は、建築工事の利益率改善とともに業績回復に向かう見通し。シンガポールでは大型複合施設の新築工事を受注。海外案件を積極的に模索中。上場大手4社では外国人持ち株比率が最も高い。株価は25日移動平均線上をキープ。週足の一目均衡表では基準線上を維持しながらN字波動を形成している。V計算値640円、N計算値662円、E計算値694円に向け、トレンドフォローのスタンスだろう。ターゲットは690円、ロスカットは574円 |
|
2678 |
4,400円 |
3,390円 |
オフィス用品通販の最大手。全国文具小売りと提携した配達サービスの草分け的存在である。2013年12月の月次連結売上は前年同月比13.2%増と2ヶ月連続で2ヶタ増をキープ。景気改善基調のなかで代理店の増加やPB投入などが奏功しているほか、BtoB事業がメディカル・MROの新分野で好調に推移している。新規の個人向け通販「ロハコ」の認知度向上にも注力している。株価は全体悪環境の中、上場来形成してきた4,000円前後の上値の壁に接近。買い方優位の展開が続いている。上場来高値4,110円を前にもたつく可能性はあるが、10日移動平均線上を維持する動きから一段高に備えたい。ターゲットは4,400円、ロスカットは3,390円 |
|
4555 |
6,500円 |
5,820円 |
ジェネリック(後発)医薬品の有力メーカー。循環器や消化器系薬品に強い。高脂血症薬などの高単価薬販売が想定超で推移している。2013年12月に決定された新たな薬価改定ルールにより、2015年3月期以降の販売価格下落の可能性が高まった。ただ、国による後発医薬品の促進方針は健在であり、販売数量では高成長が見込まれる。連続増配。株価は調整一巡感が強い。週足では2013年11月の上ヒゲ高値を基点に雲上限まで調整。陽線の確認でリバウンド狙いにスタンスを変更したい。6,500円処の節目で押し戻されながらも、7,000円まではジリ高か。ターゲットは6,500円、ロスカットは5,820円 |
|
6961 |
8,900円 |
6,580円 |
精密プラスチック加工首位。微細加工技術の定評がある。半導体機器事業やLED関連なども手掛ける。1/30に発表した2015年3月期第3四半期の連結業績は、営業利益が前年同期比で202.8%増となった。自動車用部品が米中での自動車販売増加の影響を受け好調に推移。主力のLED用拡散レンズは光源直下型タイプの採用が進展。光通信関連のレンズはスマホ需要拡大によるサーバー市況の好調が受注増につながった。株価は上昇に転じた75日移動平均線や一目均衡表の抵抗帯(雲)上限を下値で意識し、押し目反発となる公算が大きい。昨年8月高値からの日柄調整も十分だろう。ターゲットは8,900円、ロスカットは6,580円 |
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8022 |
575円 |
499円 |
スポーツ用品販売大手。国内の増収はセノーの子会社化が寄与。ベースボール品は横ばいだが、ランニングブームを背景にシューズ製品「ウエーブライダー17」が伸長。ウォーキング分野もシニア層に販売好調。2015年3月期は中国販売のテコ入れ。米国事業は堅調。株価は短期的な底入れに近い動きか。東京オリンピック開催決定後、織り込み済みの反応で調整が続いている。日経平均株価の年末高相場についていけなかった分、ここにきて出遅れ色が強くなってきた。週足の一目均衡表では抵抗帯(雲)下限をサポートに反発に期待したい。ターゲットは575円、ロスカットは499円 |
- 出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・ 東証一部の時価総額 500億円以上が対象。1/29現在、今期業績が増収予想でPBRが4倍以下、予想配当利回りが0.7%以上、12ヶ月移動平均線上を維持している銘柄の中から、話題性や物色の流れを考慮した。
- 「目標株価(円)」・・・ 一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・ 一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。