2014/6/13
投資調査部 伊藤 和典
NISAの「今でしょ!(古い)」、その3つの理由をご説明します!
NISAがスタートしてからおよそ半年が経過しました。3月末現在で421万5,774口座が開設され、その中で実際に買付が行われたのは22.8%、買付があった口座の平均買い付け額は60万7,000円との事です。ということは、非課税枠全体のうち実際に使われたのは14%前後ということになります。今年の枠を使用できるのは今年限りであることを考えると、この数字は決して大きなものではありません。
年明けから不安定な相場が続いたこともあり、いつ投資するべきかわからなくなっている方がいてもおかしくありません。 ですが、今こそNISAに再度注目すべきタイミングだと言い切ってしまいたいと思います。
投資に興味があってもいつ始めてよいかわからない方、是非最後までお読みください!
理由その1:投資はなるべく早く始めた方が有利!
図1では、50万円の資金を普通預金で運用する場合と、NISA口座で資産運用する場合を比較しています。 (東証一部の全銘柄の配当利回りが1.7-1.8%であることや、アメリカの10年国債の利回りが2.5-2.6%であることを踏まえ、NISA口座において平均で3%/年のリターンを挙げられることを想定しています)
@とAを比べると、NISA口座で運用を開始する時期が1年違うだけでパフォーマンスが結構異なってくることがわかるでしょう。そしてこの差は、運用利回りが高いほど、あるいは運用期間が長いほど大きくなっていきます。安定したリターンを稼ぐことが前提ではありますが、来年になってから運用を始めるよりも、今年運用を始める方が有利なのです!
Bは普通預金で5年間保有した場合を示したものですが、5年間預けてもほんのわずかな利子しかつかないことが実感頂けるでしょう。しかもその一方で、2013年の消費者物価指数は前年比で+0.4%増加し、2014年もそれ以上の増加が見込まれている状況です。運用利回り(この場合は預金の利率)を物価上昇率が上回っているということは、普通預金に預けている50万円の価値が実質的には目減りしていることを意味しています。
このように、預金しておけば資産は守られるという時代は終わりつつあります。みなさまの資産を守るためには、運用により安定した利回りを確保するノウハウを積極的に学ぶ必要があるでしょう。そしてそれは、早ければ早いほどよいのではないでしょうか。
図1: 50万円の資産を5年間運用する場合
理由その2:保有銘柄の平均コストを下げるチャンス!
NISA口座で保有している資産に損失が生じた場合、一般口座や特定口座と損益通算することができません。しかし実際には、市場は短期的に上下を繰り返すものであり、ベストのタイミングで売買を繰り返し続けるのは、容易なことではありません。そこで、保有資産の平均コストを下げる考え方が大切になってきます。株価が下がったタイミングでこまめに買いを入れて平均コストを引き下げることで、将来株価が上昇したときに、NISA口座のメリット(値上がり益に対して非課税)を最大限受けようという考え方です。
図2は、当社のNISA口座における保有残高の多い銘柄の騰落率 (2013/12/30〜2014/5/30)を示したものですが、この間は株価が下落した銘柄が比較的多くなっています。もしこれらの中に皆様の保有銘柄があれば、買い増して平均コストを下げる良いタイミングだと言えるでしょう。また、まだ保有していない銘柄についても、株価がある程度下落した今であればエントリーを検討しやすいのではないでしょうか。
図2: NISA口座での保有残高が多い日本株・米国株の株価騰落率 2013/12/30〜2014/5/30
(BloombergデータよりSBI証券作成)
理由その3:年後半にかけての相場環境は良好!
株の世界ではセルインメイ(Sell in May = 5月に売れ)としばしば言われますが、確かに5月は好材料が出にくく株価が伸び悩みやすい時期です。その理由としては、
(1) 多くの日本企業が新年度の業績予想を発表するタイミングで、増益を期待していた投資家の利益確定売りが集中しやすいため
(2) 年末商戦後の在庫調整が一巡した春先はまだ消費者の需要動向が読めず、企業も慎重な見通しを示すことが多いため
(3) 冬が終わり、原油などエネルギー需要が一旦弱まるため
など諸説あります。実際には、昨年の5月に暴落する一方で今年の5月のTOPIXは上昇していますし、年によって景気動向などもそれぞれ異なるため話はそれほど単純ではありません。ただ、図3で過去10年間のTOPIXの月別の騰落率を見てみると、確かに5月は比較的パフォーマンスの悪い月だと言えそうです。また、逆に12月のパフォーマンスが比較的良好なのは、年末商戦や来年度の業績への期待が高まりやすく、原油需要も旺盛な時期であるためと考えることができます。(ただしリーマンショックにより株価の上下動が激しかった08年のパフォーマンスは除いてあります)
図3:TOPIXの月別の平均騰落率 03年〜13年 ・ 08年は除く
(BloombergデータよりSBI証券作成)
またTOPIXは、8〜12ヶ月周期で上下動を繰り返すことでも知られています。景気に一定の周期があるように、それを色濃く反映する相場もまた周期性を持っているのです。
図4は、TOPIXの月別騰落率の推移を時系列で示した折れ線グラフですが(3ヶ月移動平均)、今年の1-4月にかけての株価下落は、(1)消費増税の悪影響や、(2)新年度の業績予想が保守的になることなどへの警戒感が引き起こしたものだと考えられます。これらの材料をほぼ織り込み株価調整が一段落した今の時期は、エントリーを検討しても良いタイミングなのではないでしょうか?
図4:TOPIXの前月比騰落率の推移・3ヶ月移動平均
(BloombergデータよりSBI証券作成)
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