霧が晴れるまでは下値模索?想定は21,500円?
先週の225先物は前週末比1,170円安の22,650円と大幅安となり2週連続で下落した。三連休明けとなった東京市場は、休場中の海外市場が軟調となったことを背景に大幅続落で始まった。その後は良好な米経済指標を映して米長期金利が約7年ぶりの高水準に急上昇したことが懸念要因となった。10日のNYダウが831ドル安と暴落し、11日の日経平均も一時1,000円超下落、アジア株や欧州株も値を崩し、リスクオフムードが強まった。2月のVIXショック時と同様、米長期金利の急上昇が相場の下落要因となっただけに、市場では「世界的な株安連鎖が再来するのではないかとの警戒感が不安心理を増幅させた」との声も。また、9日に東証がシステム障害を起こしたことによる先物売りも相場を冷やした要因の一つになったようだ。ただ、週末にかけては、東京市場では押し目を拾う動きが強まり、ひとまず株安連鎖に対する過度な懸念は後退して週を終えた。
10月5日時点の裁定残高は、ネットベースで2兆652億円の買い越し(前週は2兆1,834億円の買い越し)と減少した。一方、株数ベースでは、9億1,474万株の買い越しと9月28日時点(9億4,541万株の買い越し)比で減少している。
日経225と裁定残(10月5日時点)
海外投機筋の売りに日銀のETF買いの構図か
225先物の手口では、週を通じてコンスタントに売りをこなしたCSが売り方トップになったほか、JPモルガン、ドイツ、バークレイなどの海外勢が売り方上位に名を連ねた。CS、JPモルガンは海外ヘッジファンドからの注文が多いとみられ、海外投機筋の売りが相場を崩したようだ。一方、買い方上位は野村、みずほ証券、大和といった国内勢だった。また、TOPIX先物の手口では、9日に発生した東証のシステム障害を引き起こした原因とされる大量の電文不正送信を行ったと報じられているメリルが週初の9日、10日に大量の売りを出し売り方トップになったほか、バークレイ、GSといった海外勢が売り方上位になった。一方、裁定取引業者であるソジェンが買い方トップになったほか、日銀によるETF買いの注文を受けるとされる大和の買いが目立つ。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は、前週末比7.37pt(+40.83%)高の25.42ptと3週連続して上昇。米長期金利の急上昇を嫌気して米国株価が大幅に下落した。これが2月のVIXショックの再来につながるのではないかとの警戒感から、VIは危険水域である20ptを大きく上抜けた。週末にかけては、株安連鎖への警戒感がひとまず和らいだものの、20pt超えの水準はキープしている。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、13.4倍前に足踏み
NT倍率(先物)は上昇。週明け9日に日経平均がマドをあけて下落すると、NT倍率は5日の終値13.28倍を若干下回る13.25倍でスタートした。その後はTOPIXが相対的に下げ幅を拡大し、一時13.36倍まで上昇した。週を通じて荒い値動きが続くなか、NT倍率も13.22〜13.36倍と比較的広いレンジでの推移が続いた。
今週の225先物は外部環境を睨みながらの展開となりそうだ。前週末の米国株は反発し、世界的な株安連鎖への懸念はひとまず後退し、週初は戻りを試すと見込まれる。ただ、米国では今週、9月の小売売上高や住宅関連といった金利上昇に繋がりかねない経済指標の発表が相次ぐ。これら経済指標を受けて、米金融市場が再び不安定な動きになれば、225先物も調整は不可避だろう。
また、米国株の下落の背景には強硬な通商政策による世界景気の悪化に対する警戒感が底流にある。米中貿易摩擦の激化により、中国経済にどの程度悪影響を与えているかの見極めも重要になるだろう。19日には中国の7-9月期実質GDPなど主要経済指標が発表されることから、貿易問題を受けたマクロ景気の動向を注視する必要がありそうだ。
一方、10月に入ってからの大幅な下落で、値ごろ感が意識されやすいのも確かだ。NYダウの予想PERは16.39倍、日経平均株価のPERは13.05倍となっている。先週から決算シーズン入りしており、業績発表により一株当たり利益が上昇したりするようだと割安感が台頭して買い優勢になることも想定されるため、これまで以上に注目が集まるだろう。海外市場が落ち着きを取り戻した場合は、自律反発局面も期待でき、下値を固める展開になることも想定されよう。
14日に実施された南部バイエルン州の議会選挙で、メルケル政権を支える保守与党、キリスト教社会同盟(CSU)が歴史的な大敗となった。バイエルン州での与党敗北は不安定なメルケル首相の政権基盤を大きく揺さぶる。今回の選挙結果に対する混乱がメルケル政権全体に広がる可能性があり、マーケットにどういった影響を及ぼすのか、注視する必要がある。
今回の急落を2月のVIXショックによる株価調整になぞらえる向きがあるが、企業業績は着実に向上しており、ここからの下値は限られるのではないか。
テクニカル的に大きな調整となった場合でも、企業業績の悪化を伴わなければ、75週移動平均の21,500円前後が下値目処と考える。75週移動平均までの下落は、2018年の日経平均最安値20,347円49銭で下げ止まったのと同水準で、悲観の行き過ぎもこの辺りが限度と想定。不安心理が改善が見られれば、企業業績に注目が集まり、中長期的に株価は上昇に向かうものと考えている。今週の予想レンジは、22,000-22,800円とする。
経済スケジュール(10月15日〜10月19日)
日付 | 曜日 | 国内 海外 | 時間 | 内容 |
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10月15日 | 月 | 国内 | 13:30 | 鉱工業生産指数確定値(8月) |
ローソン銀行が営業開始 | ||||
海外 | 15:30 | 印・卸売物価(9月) | ||
16:00 | トルコ・失業率(7月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
21:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(10月) | |||
21:30 | 米・小売売上高(9月) | |||
23:00 | 米・企業在庫(8月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(週次)(10月14日まで1カ月間) | |||
印・貿易収支(9月) | ||||
米・財務省の半年次為替報告書の議会への提出期限 | ||||
パプアニューギニア・APEC財務相会合・関連会合(17日まで) | ||||
中・資金調達総額(9月、15日までに) | ||||
中・マネーサプライ(9月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(9月、15日までに) | ||||
決算発表 BofA | ||||
10月16日 | 火 | 国内 | 13:00 | 首都圏マンション発売(9月) |
CEATEC JAPAN(19日まで) | ||||
安倍首相がアジア欧州会議(ASEM)首脳会議などへの出席のため、欧州訪問に出発(20日まで) | ||||
海外 | 06:45 | NZ・消費者物価指数(7-9月) | ||
10:30 | 中・消費者物価指数(9月) | |||
10:30 | 中・生産者物価指数(9月) | |||
17:30 | 英・失業率(9月) | |||
17:30 | 英・ILO失業率(3カ月)(8月) | |||
18:00 | 欧・貿易収支(8月) | |||
18:00 | 欧・ZEW期待指数(10月) | |||
18:00 | 独・ZEW期待指数(10月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(10月15日まで1カ月間) | |||
21:00 | ブ・IBGEサービス部門売上高(8月) | |||
22:15 | 米・鉱工業生産指数(9月) | |||
22:15 | 米・設備稼働率(9月) | |||
23:00 | 米・JOLT求人件数(8月) | |||
23:00 | 米・NAHB住宅市場指数(10月) | |||
29:00 | 米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(8月) | |||
決算発表 IBM、ブラックロック、J&J、モルガンS、ゴールドマン、ネットフリックス | ||||
10月17日 | 水 | 国内 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存1-3年、残存5-10年)(日本銀行) | |
海外 | 15:00 | 欧・ユーロ圏欧州新車販売台数 (9月) | ||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(週次)(10月15日まで1カ月間) | |||
17:30 | 英・消費者物価コア指数(9月) | |||
17:30 | 英・生産者物価産出コア指数(9月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏CPI改定値(9月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率IGP-10(10月) | |||
20:00 | 米・MBA住宅ローン申請指数(先週) | |||
20:30 | ブ・経済活動(8月) | |||
21:30 | 米・住宅着工件数(9月) | |||
21:30 | 米・住宅建設許可件数(9月) | |||
米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月25-26日分) | ||||
米・ブレイナードFRB理事が講演 | ||||
加・大麻合法化 | ||||
ベルギー・欧首脳会議・夕食会 | ||||
香港・株式市場は祝日のため休場( 重陽デー) | ||||
決算発表 アルコア、ASMLホールディング | ||||
10月18日 | 木 | 国内 | 08:50 | 貿易収支(9月) |
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
黒田日銀総裁が定例支店長会議であいさつ | ||||
地域経済報告(10月、日本銀行) | ||||
プリントネットがジャスダックに新規上場(公開価格:1400円) | ||||
海外 | 09:30 | 豪・失業率(9月) | ||
21:30 | 米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(10月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
23:00 | 米・景気先行指数(9月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売件数(9月) | |||
米・セントルイス連銀総裁が講演 | ||||
米・クオールズFRB副議長が講演 | ||||
ベルギー・欧首脳会議 | ||||
韓国・中央銀行が政策金利発表 | ||||
印・株式市場は祝日のため休場(ダサラ) | ||||
決算発表 TSMC、SAP、ノバルティス、ブラックストーン、アメックス、ペイパル | ||||
10月19日 | 金 | 国内 | 08:30 | 消費者物価コア指数(9月) |
10:00 | 銅電線出荷統計(9月) | |||
15:35 | 黒田日銀総裁があいさつ | |||
国債買い入れオペ(残存25年超、残存10-25年)(日本銀行) | ||||
ギフトが東証マザーズに新規上場(公開価格:2090円) | ||||
ディ・アイ・システムがジャスダックに新規上場(公開価格:1280円) | ||||
海外 | 11:00 | 中・固定資産投資(都市部)(9月) | ||
11:00 | 中・GDP(7-9月) | |||
11:00 | 中・鉱工業生産指数(9月) | |||
11:00 | 中・小売売上高(9月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-M、2次プレビュー)(10月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売件数 (9月) | |||
米・ダラス連銀総裁が講演 | ||||
米・アトランタ連銀総裁が講演 | ||||
伊・イタリア銀行(中央銀行)が四半期経済報告 | ||||
英・イングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演 | ||||
決算発表 ボルボ、P&G |
- 提供:フィスコ社