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4月米農務省発表月例需給報告〜弱気な内容も先々のリスクは残存
2024/4/17
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)
4月11日に米農務省より月例需給報告が発表された。
4月のレポートでは通例米国需給に関しては供給面での大きな見直しは行われず、主に需要面の見通し修正が行われる。今回の見直しでは小麦、トウモロコシ、大豆についていずれも事前予想を上回る期末在庫見通しが示され、全般に弱気の内容であった。小麦では飼料需要が▲30百万ブッシェル下方修正され、輸入量の微減と一部相殺されたものの期末在庫は+25百万ブッシェル増の698百万ブッシェルとなった。トウモロコシは好調なエタノール向け需要に加え、3月28日発表の四半期在庫報告を反映して飼料需要も見直し、両需要ともに+25百万ブッシェル、合計で+50百万ブッシェル増とした。これを受けて期末在庫見通しは▲50百万減の2,122百万ブッシェルとなった。大豆は南米産との競合から輸出需要を▲20百万ブッシェル下方修正し、その他の需要減も加えて期末在庫は+25百万ブッシェル増の340百万ブッシェルとした。
一方世界需給に目を向けると、小麦では輸出見通しがロシア52百万トン(+1百万トン)ウクライナ17.5百万トン(+1.5百万トン)にそれぞれ上方修正され、両国合計で輸出市場の33.5%を占める形となり、紛争継続の中でも黒海積み出し両国産小麦の輸出市場での重要性は増している。トウモロコシは南半球の生産量減を見込んでおり、アルゼンチン55百万トン(▲1百万トン)、南アフリカ14百万トン(▲1.5百万トン)などが下方修正されている。但しブラジル、アルゼンチン共に輸出量については据え置かれている。大豆は事前に予想されていたブラジル、アルゼンチンの生産量下方修正は行われず、大豆の輸出市場の構図に大きな修正はなかった。
弱気なレポートを受けて11日木曜日の市場は穀物三品(トウモロコシ、大豆、小麦)共に下落したが、12日金曜日は全般に前日の下げ幅を取り戻す動きとなった。大豆・トウモロコシについては米国の需給の弱さと南米中心に南半球の収穫量減少観測の綱引きとなっている。
短期的な見通しは、依然投機筋の売り越しが大きい状況下ではあるが、CFTCの最新のレポートでは買い持ち、売り越し双方ポジションを縮める傾向が見られる。本需給報告、特に米国需給を前提とすると買戻しの動きは当面鈍くなると思われるが、4月中旬以降活発化するであろう米国トウモロコシの作付進捗、それに続き南部より開始される大豆の作付け進捗を睨みながらの展開となろう。
しかし、中期的にはやや見え方が変わってくる。農産品価格動向を占う上で異常気象動向に注目しているが、4月11日発表の米海洋大気庁の予想では6-8月にラニーニャ現象が発生する確率が前月の62%から60%に引き下げられた。しかし、7月以降の発生確率は70%を超えており、ラニーニャ現象発生の可能性は高い。ただし、日本の気象庁の最新の予測では夏の間にラニーニャ現象が発生する確率と平常の状態が続く可能性は50%/50%としており、まだ予断を許さない状況。
過去の傾向値を見るに、ラニーニャ現象発生時は価格が上昇することが多い。特に現在の投機の先物売りポジションはラニーニャ現象発生で価格が高騰した2020年の前年。2019年と同じ水準まで積み上がっている(2019年1月を100として、各々のショートポジションの枚数を指数化したもの)。投機のショートの巻き戻し(買い戻し)を受けて2020年以降、三品平均価格が上昇したことを考えると、ラニーニャ現象が発生する可能性が高い初夏以降の上昇リスクは無視できないとみている。
出所:CBOT
株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 檜垣 元一郎
1982年国際基督教大学教養学部卒。住友商事株式会社入社。1985年より穀物・油糧種子現物・先物取引に従事。2001年からはコモディティビジネス部で幅広い商品の価格リスク制御の提案業務を担当。
その後、香港投資子会社、ベルギーの現地法人の社長を歴任した後、2024年マーケット・リスク・アドバイザリーフェローに就任。
専門分野は農産物全般市場分析、排出権市場分析、商品デリバティブ取引全般。
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