SBI証券(オンライン総合証券最大手)−オンライントレードで株式・投資信託・債券を−

株価検索
  • ポートフォリオ
  • 取引
  • 口座管理
  • 入出金・振替

2024-04-29 12:16:32

もしトラが押し上げる金価格

2024/3/13
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

金価格が大幅に上昇している。価格上昇は2月中旬から始まったが3月に入って急速に上げ幅を拡大して2,100ドルを超えた。金価格の上昇要因は多数存在すると考えられるが、3月からの上昇は、米ISM製造業指数、米ISM非製造業指数が市場予想以上に悪化したことで景気の先行きへの懸念が高まり、後退していた利下げ期待が回復する中で実質金利が低下したことをきっかけにしたものと考えられる。このコラムで何回か説明している通り、金価格は実質金利で説明可能な部分である基準価格とそれ以外の部分であるリスク・プレミアムに分解されるが、その基準価格部分が上昇したということだ。しかし、要素分解してみると実質金利で3月の価格上昇は現行執筆時点(3月6日時点)30ドルであり、リスク・プレミアムは55ドルであり、リスク・プレミアムの影響の方が実は大きい。

では、リスク・プレミアムを動かしている要素は何だろうか。そこで直近3年のリスク・プレミアムとその他の経済統計や、市場の指標との相関関係を調べると、最も説明力が高いのが10年実質金利であり、次いでFF金利、COMEXの受渡可能在庫、各国金準備となった。(なお、この間に米製造業PMI、ユーロ圏・独製造業PMIなどのリスク・プレミアムに対する説明力も高いのだが、景況感の変化を通じて金利に影響していると考えれば、実質金利用意に内包されると整理できるため、今回のコラムでは分析・説明は割愛する)。

10年実質金利とFF金利のリスク・プレミアムに対する説明力の高さは、利上げに伴う信用リスクの発生を回避するための安全資産需要が高まったことが影響したためと考えられる。このロジック通りであれば、米国の金融緩和が始まる中では、金のリスク・プレミアムが低下して金価格は押し下げられることになる。しかし、足下のCDSの水準にも関わらず、リスク・プレミアムは低下しておらず、低下していないどころかむしろ価格は上昇している。つまり、信用リスクを意識した安全資産需要以外の要因がリスク・プレミアムを押し上げていると考えられる。COMEX在庫の減少はその要因の1つだろう。COMEX在庫は取引所で受渡可能な現物の数量そのもの、即ち金の需給要因であるため実質金利とは直接関係がない。恐らく昨年後半以降の価格上昇の背景に、取引所在庫の減少も影響していたと考えられる。

出所:COMEX

次いで説明力が高かったのが各国金準備で、特に新興国や中国の金準備動向の説明力が高かった。そして各国の金準備積増し動向で最も金価格に対して説明力が高いのが中国の金準備動向だが、2008年のリーマンショック、2014年のロシアのクリミア併合に対する制裁、2018年以降の米中対立、2022年のロシアに対するドル決済禁止のタイミングで顕著に金準備が増加している。この動きは外貨準備ポートフォリオ中の米国資産への配分を減らす動きである。つまり、米中対立が続き東西分裂が続けば、ドル資産回避の動きが強まり、リスク・プレミアムの上昇でさらに押し上げられる可能性があるということだ。

金価格(リスク・プレミアムではなく、金価格)の上昇とトランプ前大統領の支持率は似た動きとなっている。「何らかの米中対立の激化を想起させる要因」だが、たまたまかもしれないが、金価格とトランプ前大統領の支持率の相関性は高く、この傾向は昨年10月のイスラエルのガザ侵攻以降、強まっていることが分る。トランプ前大統領の支持率を見ながら金が売買されている訳ではないと考えるが、トランプ前大統領優勢が伝えられれば、同氏が中国に対してより厳しい対応をする公約を掲げているため、金価格の上昇要因と判断されてもおかしくない。ほぼ、共和党の代表指名を得られる見通しとなる中、「もしトラ」が現実のものになれば、米中対立が深まり、さらに金価格が押し上げられる可能性もあるのではないだろうか。また、言葉を換えるとこのロジックが成立するならば、バイデン大統領勝利、となれば価格は下がることが予想される。

出所:COMEX、Real Clear Politics

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

当コラムに関してご留意頂きたい事項

  • 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
  • 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)の見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
  • 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。

ご注意事項

  • 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
  • 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
  • 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
    また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。
  • 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
  • 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
  • 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
  • スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。

商品先物取引に関するご注意事項

商品先物取引のリスクについて
商品先物の価格は、対象商品の価格の変動等により上下しますので、これにより損失が発生することがあります。また、商品先物取引は、少額の証拠金で当該証拠金の額を上回る取引を行うことができることから、時として多額の損失が発生する可能性を有しています。したがって、商品先物取引の開始にあたっては、下記の内容を十分に把握する必要があります。

  • 市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、短期間のうちに証拠金の大部分又はそのすべてを失うこともあります。また、その損失は証拠金の額だけに限定されません。
  • 損失を被った状態で建玉の一部又は全部が決済される場合もあります。更にこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。
  • 商品取引所は、取引に異常が生じた場合又はそのおそれがある場合や、JSCCの決済リスク管理の観点から必要と認められる場合には、証拠金額の引上げ等の規制措置を講じることがあります。
  • 市場の状況によっては、意図したとおりの取引ができないこともあります。例えば、市場価格が制限値幅に達したような場合、転売又は買戻しによる決済を希望しても、それができない場合があります。
  • 市場の状況によっては、商品取引所が制限値幅を拡大することがあります。その場合、1日の損失が予想を上回ることもあります。

商品先物取引の手数料について
商品先物取引のインターネットでの取引にあたっては、下記のとおり所定の手数料がかかります。
金(限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円(税込)
銀(限日現金決済先物取引):片道1枚につき82.5円(税込)
白金(限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円(税込)

商品先物取引は、クーリング・オフの対象にはなりません
商品先物取引については、注文の成立後、その注文を解約すること(いわゆるクーリング・オフ)はできません。

金融商品取引法等に関する表示
商号等 株式会社SBI証券 金融商品取引業者、商品先物取引業者
登録番号 関東財務局長(金商)第44号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会、一般社団法人 日本STO協会、日本商品先物取引協会

ユーザーネーム
パスワード

セキュリティキーボード

ログインにお困りの方

【FXデビュープログラム】FX口座の新規開設&お取引で最大700,000円キャッシュバック!

ご案内
・【よりスムーズな解決を実現!】お問い合わせ内容の事前入力サービス
・口座開設の流れ

よくあるお問合せ
・NISA関連のお問い合わせ
・パスワード関連のお問い合わせ

HYPER SBI 2 ダウンロード
システム障害時の対応

金・銀・プラチナの投資情報

SBI証券はお客様の声を大切にしています

  • 米株デビューコンテンツ(GWも取引できる!)

ページトップへ

何かお困りですか?

今すぐ口座開設

お問い合わせ  |  投資情報の免責事項  |  決算公告  |  金融商品取引法等に係る表示  |  システム障害の備え

金融商品取引業者 株式会社SBI証券 関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会、一般社団法人 日本STO協会、日本商品先物取引協会
SBI証券(オンライン総合証券最大手)−オンライントレードで株式・投資信託・債券を− © SBI SECURITIES Co., Ltd. ALL Rights Reserved.