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2024-04-29 14:01:14

銅は調整も構造的な需要増加は続く公算

2024/2/14
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

非鉄金属価格のベンチマークであるLME銅の価格は年明け以降、水準を切下げていたが1月24日に水準を急速に切り上げた。中国人民銀行が大手銀行向けの預金準備率を引き下げ、経済活動再開への期待が高まったことを材料に、これまでショートを積み上げてきた投機筋が買い戻しを入れ、新規の買いも入ったからだ。

しかし、中国国内外の景気はまだ循環的に成長が鈍化する局面にあり、景気の循環的な減速が需要を下押しすることから、中国の経済対策期待が一巡した後は景気が底入れすると予想される7−10月頃まで銅価格は軟調な推移となりやすいと予想される。恐らく銅価格の上昇は中国内外の景気回復によって年後半に掛けて水準を切り上げる展開が予想される。

本格的に銅価格が上昇するためには、1.中国の抱える不動産問題が解消する、2.脱炭素の動きが加速することに伴う電化需要の増加、3.構造的な成長局面入りが見込まれるインドの需要増加、といった需要面の構造的な環境の変化が必要条件となる。

1.の中国の不動産問題解消には時間が掛かると考えられる。労働人口がピークアウトする中で住宅需要の伸びが鈍化する可能性が高いこと、消費を後押ししようと不動産市場での規制緩和(住宅取得の頭金比率の引き下げや、借り入れ条件の緩和など)は、再び不動産バブルをもたらしたり、習近平政権が掲げる共同富裕のコンセプトとは逆に、持てるものと持てないものの格差が拡大する可能性があるため、積極的な対策は見送られると考えられることなどが理由だ。

また、実際に不動産関連の不良債権の処理を実行しようとした場合、様々な業態、規模で損失発生とそれに伴う市場の混乱、取り付け騒ぎを通じた金融不安の発生、といったリスクの拡散が懸念されるため、連鎖倒産のリスクを回避し、同時に銀行の健全性維持を図る、といった慎重な対応が必要になるため、「すぐに実施することが現実的には難しい」ことも処理に時間が掛かる理由の1つである。この結果、これまで不動産セクターを含む投資需要が中国の景気や工業金属需要をけん引してきたが、これが当面、景気・需要のけん引役としては期待できなくなる。

この中で2.の脱炭素に関しては、パリ議定書で合意した化石燃料の非化石燃料ヘの転換は補助金などの支援が不可欠だったが、足下の景気減速の影響で補助金の削減を余儀なくされる国も多く、当初予定していたスケジュールでの達成が恐らく困難になっている。しかし言葉を換えると、脱炭素・電化のペースは経済的に達成可能なペースに鈍化するため無理がなくなり、逆に着実に進捗する可能性が高まったと整理するのが妥当ではないか(ただ、ここに来てEV車は車重が重いため道路ヘの負荷が大きい、タイヤ摩耗による粉塵被害ヘの懸念などの問題も指摘されているため、そのペースがさらに鈍化する可能性は排除できない)。そのため、今後も脱炭素向けの構造的な需要増加は継続すると予想される。

3.のインドの需要増加は、モディ政権の経済運営が比較的上手く機能しているため、かなり高い確率で顕在化すると予想される。ただ、一人っ子政策を行っていた中国と異なり、通常の農業国と同様、多産の国であったことから世帯当たりの自由に使える所得の伸びは中国ほどではない。そのため、白物家電などの需要が増加するペースは中国よりは緩やかなものになるし、中国も人口ボーナス期入りしてから需要が急増するまで6〜7年掛かっていることを考えると、インドの需要増加が始まるのは、早くても2025年頃からになると予想される。

出所:LME、国連

また、構造的な問題ではないが地政学的リスクの高まりも銅を含む鉱物資源需要を増加させ、価格を押し上げる可能性がある。今回のロシアのウクライナへの軍事侵攻は、重要拠点を破壊して終了する短期戦ではなく、消耗戦の様相を呈しており長期化の可能性が高い。このことは、鉱物を原料とする武器や弾薬(場合によっては駐留軍のためのエネルギーや食料)などの需要が増加することを意味する。ある意味現在はモノの価格が上昇しやすい「戦時相場」であるとも言えるだろう。

以上を考えると、鉱物資源価格は市場構造の変化から中長期的に上昇圧力が掛りやすい展開が継続すると予想され、足下の価格下落は一時的なものに止まる可能性は否定できない。しかしこれは先々の価格上昇に備えるための時間、とも言えるだろう。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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