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2024-04-21 12:17:32

原油は投機主導の上昇 年後半〜年明け掛けて一時的に調整か

2023/9/27
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

2023年7月以降、原油価格は顕著に上昇している。2023年後半に底入れの可能性があるとみていた米製造業の景況感が今年の夏頃に底入れした可能性があることが大きい。製造業PMIとISM製造業指数だと結果が異なるが、ISM製造業指数を基準にすると、米国の景気は2021年春頃がピークであり、過去50年の「ピークから底入れまでの期間」を調べると21ヵ月〜27ヵ月程度であることから、仮に27ヵ月掛かったとしても、7月か8月頃に米製造業の景況感が期間的に底入れしてもおかしくはない。そしてサービス業の景況感は減速しているもののまだ好不況の閾値である50を上回っており、総じてエネルギーの最大消費国である米国の景気はまだ後退局面には入っていない。この状態で、サウジアラビアとロシアが年末までの原油供給削減継続方針を発表、これにより今年の年末時点で世界の原油需給バランスは、10年振りの供給不足に陥るとみられている。2013年の原油価格はBrent・WTIとも100ドルを超えていた。

ただ、このときは

1.リビアの情勢不安(その後、内戦状態となり生産量が▲100万バレル超減少した)
2.シリア危機
3.イラン核開発を巡る西側諸国の圧力強化
4.QEの影響

といった材料が重なり、さらには世界景気が回復局面にあったことが価格を押し上げていた。現在はまだ景気が後退してはいないが、年末に掛けて減速するという見方がコンセンサスであるため、原油価格も下落するとの見方が妥当だろう。

WTIの実需・投機筋の動向を見ると、実需の売りに対して投機が買い向かうことで売買が成立しており、この構図はもう何年も変わっていない。そして、過去5年の推移を見ると投機・実需の売買動向はWTIに積極的に影響を与えていなかったが、コロナ以降の価格上昇は実需の買い戻しの影響が大きかったことがわかる。その後、2022年3月から米国の金融引締めが始まるが、そのペースが加速した2022年6月以降、実需の買い戻しよりも、投機の売り圧力の影響が大きく、投機のネット買越しポジションの解消と共に原油価格は水準を切下げる展開となった。

出所:CME、CFTC

2023年7月以降、WTIは上昇を始めるが、2023年2月前後から「FRBは3月に利上げを打ち止めするのでは」との期待から長期金利が低下したタイミングで、投機筋のロングは増加した(ただしこのタイミングでは景気減速観測の強まりからむしろ投機の売り圧力が強まったため、ネット買越し幅は縮小、WTIは下落)。その後、7月以降は投機筋の買い戻しが加速、さらに、米景気が「ソフトランディング」ないしは「ノーランディング」になるとの期待から新規のロングも増えたため、大幅な上昇となっている。
現在の原油価格は実需以上に投機の動きが左右していると言えるが、米景気はリセッションが回避できたとしても減速が予想されることから、四半期末や大手ファンドの決算期末である11月、12月に掛けては主にロングの解消が進むとみられ、原油価格はテクニカルに調整する可能性が高い。しかし、サウジアラビアやロシアの追加減産ないしは減産期間延長の可能性がある中では、自身が保有する売りポジションに対して現物を受け渡すことができない投機筋は、新規にショートを積増しし難いため、このことが価格の下落余地を限定することになるだろう。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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