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2024-04-19 11:28:36

2023年金価格展望

2023/1/11
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

2022年の金価格は総じて水準を切下げる展開となったが、年末に掛けて水準を切り上げる動きとなった。昨年の金価格は各国の金融政策や地政学的リスクに価格が左右されたと言える。年初からの金価格の上昇は原油価格の上昇を受けたインフレ期待があるものの、金価格に対して最も影響が大きいFRBが金融引締めに二の足を踏んでいたため、実質金利がマイナスを維持していた影響が大きい。その後、ロシアのウクライナ侵攻を受けた原油価格の高騰、それに伴う地政学的リスクの高まりが価格を押し上げた。しかし出遅れていたFRBが3月から利上げに動き、6月以降は異例とも言えるスピードで利上げを加速させたことが価格を押し下げた。また、7月以降は特に原油価格が景況感の悪化との乖離を埋める形で水準を切下げたことの影響も小さくなかった。

しかし、金価格の構成要素である「実質金利で説明可能な部分(金基準価格:2016年基準)」は低下したものの、それ以外の要因である「リスク・プレミアム」は上昇し、金価格は高値を維持している。引き続き、米10年実質金利の金価格に対する説明力が最も高いのだが、かつて見られたような高い相関が見られなくなっている。これは金価格の構成要素に占めるリスク・プレミアムの比率が高まっていることによる。実際、本稿執筆時点の金の基準価格は831ドルであるのに対し、リスク・プレミアムは1,011ドルまで拡大している。この事実はこれまでの金価格の決定要因の影響度が変化している可能性が高いことを示唆している。現状、リスク・プレミアムの価格に占める比率が高くなっているため、リスク・プレミアムの構成要素について検討する必要がある。

弊社の整理では、リスク・プレミアムは概ね、1.安全資産需要、2.ドル指数の変動による名目価格の変動、3.その他の要因、の3つの構成要素で構成されているが、1.に関してはさらに細分化すると、クレジットリスクと地政学的リスクに分解できる。しかし、地政学的リスクは数値として把握し難いため、米低格付企業や欧州の低格付企業のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の水準上昇と比較し、信用リスクに対する安全資産需要の方を取りあえず重視することとした。その結果、グラフの通りCDSの水準変化と歩調を合わせる形でリスク・プレミアムが上昇していることが分る。この関係性を元にすれば現在のリスク・プレミアムのうち500ドル程度が安全資産需要と考えられる。この分析が有効なのは「安全資産需要が高まっている間」であり、今年の夏頃までは参考になるのではないか。結果500ドル程度がその他の要因となるが、恐らく「ドル指数の調整期待」によるものと、後述する新興国の金準備積増しの影響と考えられる。

出所:Bloomberg

リスク・プレミアムはこれまで、ドル指数の上昇に連れる形で上昇してきた。これは米国が金融引締めを強化する結果、1.金利差拡大でドル指数が上昇、2.米国の金融引き締めによって新興国や欧州の景気が悪化、クレジットリスクが顕在化するのでは、との見方が強まったこと、による。しかし、リスク・プレミアムとドル指数動向の乖離が見られたのは2022年10月以降であり、「米国の金融引き締めペースが鈍化するとの期待」が高まったタイミングであることから、この間、金融引締め鈍化期待による信用不安の低下で安全資産需要は低下したが、ドル高の修正が起きてドル安になる、との見方が金のリスク・プレミアムを押し上げたと考えられる。2023年の金価格は利上げの継続と原油価格下落による期待インフレ率の低下、信用リスク・プレミアムの剥落が価格を押し下げるが、ドル安進行や利上げに伴う長期金利の低下が価格を下支えするため高値維持となる。

しかし、昨年の動きで注目すべきは中国やトルコなどの新興国が金準備を増加させている点だ。これは米中対立、自由主義国と専制主義国の対立激化、ロシアのウクライナ侵攻は継続し、可能性はまだ高くないものの台湾有事のリスクが意識され、為替市場の不安定さを背景に無国籍通貨である金ヘの潜在需要が高まっていることによる。各国の金準備の水準はこの10年、金価格に大きな影響を及ぼしてこなかったが、各国が金の価値や重要性を見直す中で、金の絶対価格水準自体が切り上がる可能性は充分に有り得る状況だ。ETFの管理残高の変化と金価格の変化を参考にすると、金準備100トンの積増しで40ドル程度の価格上昇圧力となる。弊社は上述の通り金利上昇、原油価格下落の中では価格は下落すると見ているが、各国の取組み状況に変化があれば、更なる上値も意識する必要がある。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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