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2024-04-12 23:23:48

商品インデックスウェイト変更の影響

2022/12/14
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

商品インデックスは、債券などの投資家が商品市場に投資をするために開発されたもので、予め決められた比率に従って構成されている商品先物を購入し、そこから得られるリターンを配当に回す仕組み。しかし、近年では商品インデックスに連動したETFなども上場されており、株式市場の資金も商品市場に流入しやすくなっている。

よく商品価格が上昇すると、「投機資金が流入して価格が上昇した」という説明を目にすることがあるが、投機取引を目的とする市場参加者が現物市場で現物を購入することはあり得るが、現物を必要としない投機資金は基本的に商品先物市場で取引を行うため、「証拠金」という形で流入する。

しかし、投機資金は売るための現物を保有しないことから、スクイーズのリスクを回避するため商品先物市場で取引を行う場合には、まず、買いから入るのが一般的だ。そのため、投機資金が商品市場に参入した場合には、価格が上昇しやすいと整理して良い。

通常、11月下旬に代表的な商品インデックスは、どの商品に投資するかの「ウェイト」見直しが行われる。投資ウェイトの見直しは、市場規模(生産量)、パフォーマンス(騰落率)を考慮して決まる。

市場で最も取引されている商品インデックスは、Bloomberg Commodity Index(旧Dow Jones AIG Commodity Index)、とS&P Goldman Sachs Commodity Indexだろう。

Goldman Sachs Commodity Indexは基本的には順張りの投資を行う商品で、各商品毎の投資ウェイトは、世界生産量の過去5年の時価総額加重平均を基礎として決定され、市場規模の大きな商品の投資比率が上昇する。

結果的にエネルギーへの投資比率が高くなる傾向が強く、来年のセクター別の投資ウェイトは以下の通りとなる見込み。GSCIの投資規模は大きいため、エネルギー価格の上昇要因となるが、その他の殆どの商品への投資比率が低下するため、価格の下落要因となる。

2023年投資ウェイト
エネルギー 61.4%(前年 53.48%)
農産品 17.98%(20.48%)
畜産品 5.86%(7.36%)
工業金属 10.58%(12.71%)
貴金属 4.12%(5.97%)

次にBBGIは、逆張りの投資を行うため基本的に比率は毎年同じようなシェアになるように調整される。即ち、他と比較して割高だった商品への投資ウェイトは引き下げられ、逆は上昇するということだ。投資ウェイトは以下の通り。

2023年投資ウェイト
エネルギー 29.82%(前年 29.87%)
農産品 29.60%(29.60%)
畜産品 5.33%(5.06%)
工業金属 15.48%(15.95%)
貴金属 19.75%(19.45%)

投資ウェイトが引き上げ有られる商品は、WTI、亜鉛、銅、アルミ、生牛などであり、これらの商品には上昇圧力がかかることになる。一方、投資比率を引き下げられたのはBrent、コーヒーであり鉛は投資比率がゼロになった。これらの再配分は1月上旬に行われるため、この間の価格変動要因となる。

恐らく、脱炭素の流れが強まり、米中の対立が強まる中では、再び長期的な投資対象として商品分野がフォーカスされる可能性は高い。実際、リーマン・ショック以降、デスクをクローズしていた投資銀行が、再びコモディティ・デリバティブのトレード&セールスのデスクの拡充を始めている。

出所:Bloomberg

通常、投資銀行が一度撤退した市場に再度参入する場合は、少なくとも10年程度は市場が拡大することを想定して行うことが多い。この商品インデックスが開発されたころは債券や投信という形で投資が行われてきたが、今は株式上場投信(ETF)が複数開発され、より投資が容易になっている。

中国がこの市場に参入してから資源価格は高騰したが、脱炭素やインドの近代化向けの需要増加で同じような価格高騰が起きる可能性は低くないと考える。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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