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2024-04-26 05:10:55

原油価格は100ドルを超えるか

2022/2/9
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

商品市場動向を占う上で重要なのが、どの主体がどのような取引をしているかだ。一般に投機が買いを入れれば上がり、売れば下がる、といった説明が多いが実際はそうなっていない。商品先物取引の場合、売りと買いの枚数は理論的には一致する。そして原油市場の場合、「投機筋の売りと買いをネットするとネット買越し」となり、「実需筋の売りと買いをネットするとネット売り越し」となり、この投機の買越しと実需の売り越しの枚数が理論的には一致することになる。そのため、投機の買いが入ったから価格が上がったという説明は必ずしも正しくない。つまり、「どの主体がどのような取引をした時に、価格がどちらに動いたか」を考える必要がある。

このとき大きく、投機の買い・売りと、実需の買い・売りのポジションが考えられるが、実需取引の規模が圧倒的に大きく、投機の売買枚数はそれほど大きくない。本稿執筆時点(2月2日)で取得可能なデータを元にすると、実需の買いは749,821枚、売りは1,170,467枚、投機の買いは492,310枚、売りは118,895枚となっている。つまり、構造的に実需の売りに投機が買い向かう構造となっている。そして、実需のネット売りポジションを左右するのは取引ボリューム的に実需の売りポジションであり、投機のネット買いポジションを左右するのは投機の買いポジションである。よって大きな流れを見る場合、この2つのポジション動向を見ていると市場が理解しやすい。

出所:CFTC

※上記の実需のネットポジションと、投機のネットポジションの絶対値がマッチしないのは、
報告されたポジションが実需・投機の区分が明らかではない取引によるもの。

その視点で2021年の相場を見ていると、ほぼ一貫して投機の買いポジション、実需の売りポジションとも減少しているが、原油価格はほぼ一貫して上昇している。つまり、2021年についてはどちらかと言えば実需の買い戻しが価格を押し上げたと考えられる。ではなぜ実需が買い戻しを入れていたかといえば、価格が景気回復によって上昇しているため、生産者側が価格下落リスクヘッジをする必要がそれほど無かった、生産量が減少する可能性があるため売り玉自体の数量が減った、などの理由が考えられる。しかし、直近だけ見てみると、投機の買いが漸増しておりそれに伴って価格が上昇している。恐らく、年初からの上昇は厳冬などの影響による需要増加観測と、「インフレ期待」を材料に、昨年1年間一貫してロングポジションを減らしてきた投機筋の新規買いポジション形成が要因、と考えるのが妥当だろう。

出所:CME、CFTC

今後、100ドルを超える原油価格を予想するハウスも増えているが、仮に価格上昇があったとしても恐らくこの2月〜3月にかけてであり、春先にかけては水準を切下げると考えている。理由は、冬場のピークが終了して暖房向けの需要が減少すると予想されること、FRBの金融引き締め方針を受けて新興国も利上げに動かざるを得ず、結果的に需要のドライバーである新興国の経済活動が鈍化すること、価格上昇が需要を抑制することなどだ。また、さすがに米生産者もこの価格水準だと増産バイアスが掛ると予想され、恐らく増産が3月頃と考えられること(価格が上昇を始めた昨年10月頃に増産を決断していても、実際に増産が始まるのに5ヵ月程度の時間が掛るため)も価格を下押しするだろう。そのため、100ドルを超える原油価格があるとすれば、短期的には冬場である2月〜3月上旬だろう。もちろん、ロシアに対する制裁が行われ、1,000万バレルオーダーの原油が市場に供給されなくなれば、余り季節とは関係無く原油が100ドルを超える局面はあろう。

その後、メインシナリオ通り原油価格が下落したとしても、恐らく脱炭素に伴う上流部門投資の構造的な不足や、コロナの移動制限解除が進むと期待されることから、恐らく構造的な需要増加が価格を押し上げ、場合によると2023年頃から恒常的に原油価格が100ドルを超えることもあると見ているが、メインシナリオではそのタイミングはまだ数年先になると考えている。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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