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2024-04-24 07:25:15

金利と原油価格予想から推定する金価格

2021/12/22
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

12月15日に開催され結果が発表された米FOMCは、ほぼ市場予想通りの結果であったものの、テーパリングのペースは2倍速となり、2022年の利上げ回数のFOMCメンバー予想は3回となった。これを受けて市場はドル高で反応し、米10年債利回りは一瞬大きく低下したが、その後は持ち直して上昇。10年期待インフレ率は株価の上昇と原油価格の上昇を受けて水準を切り上げた。これにより10年実質金利は前日比で▲4bp低下、金価格の押し上げ要因となった。米金融緩和解除とその後の利上げを考えると、恐らく金価格は水準を切下げる展開が予想される。

しかし、実際のところはどうなのだろうか。想定以上に期待インフレ率が上昇し、金利引き上げにもかかわらず金価格が上昇する展開もないとは言い切れない。このコラムでは金価格に対する説明力が高い米国の10年実質金利を用いて金価格の予想をしてきた。10年実質金利は10年国債利回りと10年期待インフレ率に分解できる。そこで今回は、10年国債利回りの予想と、原油価格の予想を元に金価格を推定してみたい。

米10年国債利回りの予想は、市場のコンセンサスを用いた。原稿執筆時点の市場コンセンサスは、2022年1-3月期が1.75%、4-6月期が1.85%、7-9月期が1.90%。10-12月期が2.00%と現在の水準から50bp程度上昇する見通しである。ただしアナリスト予想にはブレがあり、2022年末時点の予想で最高は2.90%、最低は1.00%とかなりレンジは広い。

一方、期待インフレ率については、期待インフレ率に対する説明力が高い原油価格の予想を元に推計する。WTI原油価格の見通しも市場コンセンサスを用いると、1-3月期が74.38ドル、4-6月期が70.96ドル、7-9月期が68.90ドル、10-12月期が67.00ドルである。こちらは金利とは逆で価格が下落する見通しとなっている。OPECの減産解除の進捗と、価格上昇が需要を減じる見通しであることが反映されている。弊社は4-6月期に底値を付け、年末には再び73ドル程度を目指して上昇すると考えているが、今回の分析では市場コンセンサスを用いることとした。なお、10-12月期の最も高い価格予想は77ドル、最も低い予想が62ドルである。ここで、過去データを元に期待インフレ率を算出すると※、1-3月期が2.44%、4-6月期が2.40%、7-9月期が2.37%。10-12月期が2.35%となる。結果、実質金利の予想中央値は、▲0.69%、▲0.55%、▲0.47%、▲0.35%となる。実質金利の最高値は、「最も高い名目金利から最も低い期待インフレ率を引いたもの」で求められ、最低値は「最も低い名目金利から最も高い期待インフレ率を引いたもの」で求められる。

※期待インフレ率の推定に関しては10年分のデータを用い、期待インフレ率の推定に関しては足下、原油価格から推定した数値と実際の期待インフレ率の間に差異が生じている(実際の期待インフレ率の方が高くなっている)ため、直近1年の差異の平均を加算して修正した。

以上を一覧にすると以下の通りとなる。冒頭の想定通り、金価格の予想中央値は予想通り、基本的には年末に行くに従って低下する見通しとなる。しかし、FRBが想定している利上げが行えず、10年長期金利が1%前半を維持する場合、年末に従って価格が上昇する見通しとなる。足下の経済統計やFRBの景気見通しを元に判断するとこのシナリオは何かしらのショックが発生しなければ難しいと考えられる。最低になる場合は1,200ドルまで下落することになるが、これは2018年の年4回の利上げやバランスシートの縮小が行われ、急速に株価が調整した時の水準であり、さすがにこの時と同じ轍は踏まないのではないか。概観すると金価格のアップサイドはそれほど大きくなく、むしろ下方向のリスクが大きいことが分る。

出所:MRA

しかし、来年は引き続きラニーニャ現象が発生し、穀物価格に上昇圧力が掛りやすいこと、米テーパリングで新興国は金融引き締め方向に動かざるを得ないことから暴動や債務危機が起きる可能性もゼロではない。仮に金価格が大きく上昇するとすれば、それはインフレというよりもイベントリスクの発生(特に信用リスク)による、リスク・プレミアムの上昇に誘因された場合と考えられる。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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