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2024-03-29 18:52:26

2021年金・銀価格は軟調も高値圏維持か

2020/12/23
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

金価格は実質金利(米10年物価連動債)との相関性が高く、実質金利は米10年国債利回りと10年期待インフレ率、ひいては原油価格動向に左右される。金は用途的に工業用金属として使い切ってしまうものではなく、準備金として、あるいは延べ棒の形にして価値保存目的に用いられる比率が高い。宝飾品として用いられる場合でも、リサイクルされて利用されるためやはりどちらかと言えば投資商品としての色彩が強い。結果、金の固有要因である生産コストや工業需要家の目標価格などを基準に価格が決まることがあまりなく、物価連動債などのその他の市場動向に価格が左右されやすい。もちろん、その普遍的な価値が共有されていることから、不測の事態が発生しそうな局面でリスク・プレミアムを上昇させつつ、価格が上昇することはこれまでここのコラムで確認してきた通りである。

2021年の金価格動向を占う上で最も重要なのが、新型コロナウイルスのワクチン開発と接種が進捗した結果、経済活動がどの程度戻るのか、それに伴ってどれだけ米国の長期金利がどの程度上昇するのかといった「金融相場から業績相場」に株式市場がいつのタイミングで転じるかだろう。今のところ米国のワクチン接種は医療関係者と高齢者を中心に進む計画で、来年の5月には生活が正常化するとみられている。そして市場はワクチンの接種が進み、冬場が終了するQ121の企業決算を確認しながら業績相場への移行を判断すると予想される。結果、4月頃から米国の長期金利には上昇圧力が掛る展開になると予想される。この際、長期金利がどこまで上昇するか?がポイントになってくるが、恐らくFRBが長期金利の急速な上昇は抑制すると考えられるため、緩やかなペースでの上昇に止まり年後半に1.2%程度に上昇すると予想される。

金価格の米10年債利回りに対する感応度(米10年債利回りの±1bpの変化に対する、金価格の変化)を直近1年のデータで見てみると、金利±1bpに対して±2.5ドル程度だ。現在の長期金利が0.9%程度であるので、1.2%であれば30bpの上昇、金価格に換算すると75ドル程度の下落余地があることになる。この場合、低下するのはリスク・プレミアムを除いた「金の基準価格」であるため、原稿執筆時点(2020年12月18日)の金価格が1,880ドル、基準価格が1,665ドルであることから基準価格が1,590ドル(1,665ドル-75ドル)まで低下することになる。直近1年のリスク・プレミアムの平均は240ドルであるため、2021年の金価格は1,830ドルが基準となる。現在の水準からはやや低下するが、高値を維持する可能性が高い。恐らくFRBは金融政策を当面変更しないと考えられるため、この水準は妥当と考えられる。

しかし、こうならない可能性も十分にあり得る。仮に想定以上に景気が過熱し、長期金利が1.5%程度まで上昇するシナリオ、現在、原油の価格で説明可能な水準から乖離して30bpほど高い水準の期待インフレ率が調整するシナリオも想定される。逆に、景気が想定ほど回復せず、実質金利に大きな変化が見られずに先行き不安からリスク・プレミアムのみ過去1年平均水準に戻る、というシナリオもあり得る。

一番目のケースではさらに75ドルの価格下落要因、二番目のケースは感応度分析を行うと期待インフレ率1bpの下落で金価格は2ドル下落するため、60ドルの下落要因となる。長期金利の上昇と期待インフレ率の低下が同時に起きれば、金基準価格は上記の1,590ドルから135ドル低下し1,455ドルとなる。リスク・プレミアムを過去1年の平均とすれば金価格の下限は1,695ドルということになる。三番目のケースは現在の水準から実質金利が変わらない前提であるため金基準価格は1,665ドル、リスク・プレミアムが過去1年平均を回復するので1,905ドルが基準となる。

リスクシナリオも考慮すると、来年の金価格は1,695ドル〜1,905ドルが「コアレンジ」と言うことになるだろう。後はこれにどの程度のリスク・プレミアムを考慮するかだが、仮にリスク・プレミアムがなくなれば、金価格は基準価格まで下落するリスクがある。

銀価格はバイデン・トレード期待で上昇しているが、やはり金価格が発射台となる。今のところ太陽光パネルの設置がバイデン次期大統領の宣言しているようなペースで進捗するかどうかはまだ不透明である。ただこの数週間の値動きを見ていると太陽光パネル向けの需要増加を織り込みつつあるが期待含みということもあって、金銀レシオは70〜75倍程度で推移するとみられる。現在の銀価格が、既に環境重視型社会への移行を織り込んでいる水準であることは否定できないが、仮にこの状況が続くとすれば、銀価格のコアレンジは22.5ドル〜27.2ドルと予想される。

金・銀ともやや軟調ではあるが高値圏での推移が続くことになりそうだ。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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