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2025-01-19 22:09:16

EVブームピークアウトによるニッケル価格への影響

2024/11/18
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

ニッケル価格に対する説明力が高い中国の不動産開発投資は月次ベースで回復してきたが、足下再び減速している。そもそも非常に低調だった2023年との比較であることもあって、不動産市況が回復しているとは言い難い。中国政府は9月以降、矢継ぎ早に経済対策を発表、市場はこれを前向きに捉えて不動産の過剰供給問題が進捗するのではとの期待が高まり、米金融緩和開始による株高が投機的な買いを誘い、価格を押し上げてきた。しかし、ニッケル価格は再び水準を切り下げ、原稿執筆時点では16,000ドルを下回って推移している。

ニッケルはこれまで電気自動車のバッテリーに用いられるため、そのEVブームに乗る形で先々の不足への懸念が強まっていた。しかし、EVが普及したとしても、まだニッケルの最大需要は建築などに用いるステンレス鋼の原料としての需要である。そのため、ニッケル価格は最大消費国である中国の不動産市況に左右されることになる。2024年は地方政府による不良不動産買取りや、インフラ投資の加速、中国人民銀行の金融緩和などで年初からステンレス鋼生産は増加、ニッケル価格も上昇してきた。しかしこの期待先行の中でのステンレス鋼の増産が逆にステンレス鋼在庫の増加に繋がり、最終製品であるステンレス鋼の供給過剰をもたらしてニッケル価格の押し下げ要因となった。11月上旬に開催された中国全人代常務委員会では、需要を喚起するような対策の発表があるのではとの期待が市場では高まっていたが今回は見送られ、どちらかと言えば地方政府の資金繰り支援策が中心だった。地方政府のデフォルトや地方政府の支援で成立している企業やプロジェクトのサドンデスを回避する目的だったと考えられる。また、いかに共産党支配が強い中国であっても、2024年度予算内でできることは限られる。恐らく抜本的な解決をもたらすような対策が打たれるか、やはり先送りされるかは2025年度予算の組成とその方針次第にならざるを得ないだろう。その結果、12月開催の中央経済工作会議は重要になってくる。

出所:上海スチールホーム、LME

では、この状況で中国のニッケル需給はどうか。ステンレス生産シェア世界1位の中国青山集団が、ニッケル銑鉄からClass1ニッケルを生産する技術を獲得してから国内生産が増加しており、中国は現在精錬ニッケル輸入国から輸出国になっている。中国の精錬ニッケル輸出が増加している間は、中国国内の精錬品需要が低迷していることを示唆している。世界のエンジン搭載車(化石燃料車+プラグインハイブリッド車)の合計シェアはまだ9割近くある。恐らく現在の技術ではハイブリッド車やプラグインハイブリッド車などが炭素排出量削減の最適解となると予想されるが、バッテリーが不要になるわけではないことからニッケルの需要も増加が期待される。ただ、世界的にニッケルやコバルトフリーのバッテリーの開発も進んでいるため、やはりニッケルはステンレス鋼需要動向が全体の需要に対して大きな説明力を持ち続けることになるだろう。

出所:ブルームバーグ

供給面は、ニッケルの生産はインドネシアのシェアが大きく、2024年の予想生産量は222万5,000トン(前年201万1,000トン)に増加(年初来の生産実績を単純計算で12ヵ月換算したもの)、生産シェアは昨年の53.9%から60.0%に上昇の見込みである。インドネシア政府はニッケル供給が過剰状態にあることは分かっているが、バッテリー向けのニッケルは80%が中国資本であるなど、中国の影響が非常に大きくなっているため、同国の生産品が欧米で受け入れられなくなる(制裁)リスクを考慮、脱中国(欧米、日本などの他国資本の誘致)を進めている状況で、ニッケル生産は高水準を維持する見込みだ。この結果、他国のニッケル生産者は閉山や生産調整を余儀なくされる可能性が高まるが、生産調整は増産ペースに追いつかないのではないだろうか。

以上を勘案すると、中国の不動産対策が想定以上に進捗してステンレス鋼需要が増加したり、米トランプ政権誕生後に景気刺激が過度に行われてインフレ再燃でインフレ系資産が物色される流れにならなければ、2025年以降の価格上昇は緩やかな上昇になると予想される。

新村 直弘

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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