金・プラチナ取引 > 金・プラチナ取引とは(金・プラチナ・銀の特徴) > 金・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 貴金属・コモディティレポート > 銀価格も高値維持か
銀価格も高値維持か
2024/7/25
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)
金価格は各国中銀の金融緩和期待や、新興諸国の米ドル回避の動きで金を積み増す需要が旺盛な中、高値を維持している。今回の価格上昇では個人投資家の買いも巻き込んでいるためかなりしっかりした上昇になっており、今のところ即時に金価格を大きく下押しするような戦争の終結、東西分裂の解消といったイベント発生を除けば価格下落の可能性は低い。この中で銀価格も上昇している。銀価格は、1.構造的な供給過剰状態の継続、2.かつて金と同様に通貨として用いられて来たこと、などから銀需給バランス以上に金価格動向が価格を決定しやすい。
銀の需給バランスは、写真フィルム向け需要が激減してから構造的に供給過剰になっていた。写真フィルム向けの需要がデジカメの登場で減少する中、長期にわたってこの構造的な供給過剰が続いていたが、COP26前後となる2019年以降タイト化している。太陽光パネル向けの需要が増加したことが背景だが、半導体やEVなどの電子機器向けの需要が増加を継続していることも需給タイト化に寄与したと考えられる。この間、銀価格は水準を切り上げているため、実需の増加が価格を押し上げた側面は否めない。しかし、2000年頃からの動きを見るに、実際の需給バランスが価格に影響していることを明確に確認できるケースは少なく、世界最大の経済国である米国の景況感と銀価格の間にも明確な関係性は存在しない。過去、銀価格が高騰したハント兄弟事件、リーマンショック後の価格上昇も、ほぼ景況感とは関係ない。そのためやはり、「金価格との水準比較」で売買される傾向が高いと考えられる。
出所:Silver Institute
市場参加者は銀への投資を行う場合、対金での割安感・割高感の指標である「金銀レシオ(金価格÷銀価格)」を参考にしている可能性が高い。金銀レシオは1981年のデジカメ発明以降、写真フィルム向けの需要が激減したため、総じて需給が緩和して上昇(金が銀に対して割高)していた。しかし、この数年では上述の太陽光や半導体、EV向け需要の増加でじりじりと対金レシオの水準を切り下げている状況。ただしレシオは2022年にかけて低下し、それに歩調を合わせる形で投機を除く需給バランスがタイト化、銀価格も水準を切上げている。仮に過去平均、1981年のデジカメ導入時以降の水準まで低下したとすると、65倍程度までの低下が有り得、金価格を2,500ドルとした場合、38.5ドル程度までの上昇余地があることになる。
出所:CME
しかし、今後も上昇が続くかというと、過去の金銀価格上昇局面(1977年~、2001年~、2008年~、2021年~)を見てみると、「金が先に上昇した後、割安感から銀が買われ、その後、金よりも価格が上昇するが先に銀価格が下落している」ケースが多い。恐らく今回も同様の展開になると予想される。流動性がある商品から上昇し、その後、相対的に流動性が低い商品が買われ、手仕舞いをする時はこの逆という流れだ。しかし、あくまで過去の例であるが価格高騰から元の水準に戻るまで概ね1年~3年を要しているため、今後の金価格次第ではあるが当面高値を維持すると予想される。
出所:CME

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)
金・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)の見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。
商品先物取引に関するご注意事項
商品先物取引のリスクについて
商品先物の価格は、対象商品の価格の変動等により上下しますので、これにより損失が発生することがあります。また、商品先物取引は、少額の証拠金で当該証拠金の額を上回る取引を行うことができることから、時として多額の損失が発生する可能性を有しています。したがって、商品先物取引の開始にあたっては、下記の内容を十分に把握する必要があります。
- 市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、短期間のうちに証拠金の大部分又はそのすべてを失うこともあります。また、その損失は証拠金の額だけに限定されません。
- 損失を被った状態で建玉の一部又は全部が決済される場合もあります。更にこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。
- 商品取引所は、取引に異常が生じた場合又はそのおそれがある場合や、JSCCの決済リスク管理の観点から必要と認められる場合には、証拠金額の引上げ等の規制措置を講じることがあります。
- 市場の状況によっては、意図したとおりの取引ができないこともあります。例えば、市場価格が制限値幅に達したような場合、転売又は買戻しによる決済を希望しても、それができない場合があります。
- 市場の状況によっては、商品取引所が制限値幅を拡大することがあります。その場合、1日の損失が予想を上回ることもあります。
商品先物取引の手数料について
商品先物取引のインターネットでの取引にあたっては、下記のとおり所定の手数料がかかります。
金(限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円(税込)
銀(限日現金決済先物取引):片道1枚につき82.5円(税込)
白金(限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円(税込)
商品先物取引は、クーリング・オフの対象にはなりません
商品先物取引については、注文の成立後、その注文を解約すること(いわゆるクーリング・オフ)はできません。
金融商品取引法等に関する表示
商号等 株式会社SBI証券 金融商品取引業者、商品先物取引業者
登録番号 関東財務局長(金商)第44号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会、一般社団法人 日本STO協会、日本商品先物取引協会