2025-06-21 17:23:57

銀価格も高値維持か

2024/7/25
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

金価格は各国中銀の金融緩和期待や、新興諸国の米ドル回避の動きで金を積み増す需要が旺盛な中、高値を維持している。今回の価格上昇では個人投資家の買いも巻き込んでいるためかなりしっかりした上昇になっており、今のところ即時に金価格を大きく下押しするような戦争の終結、東西分裂の解消といったイベント発生を除けば価格下落の可能性は低い。この中で銀価格も上昇している。銀価格は、1.構造的な供給過剰状態の継続、2.かつて金と同様に通貨として用いられて来たこと、などから銀需給バランス以上に金価格動向が価格を決定しやすい。

銀の需給バランスは、写真フィルム向け需要が激減してから構造的に供給過剰になっていた。写真フィルム向けの需要がデジカメの登場で減少する中、長期にわたってこの構造的な供給過剰が続いていたが、COP26前後となる2019年以降タイト化している。太陽光パネル向けの需要が増加したことが背景だが、半導体やEVなどの電子機器向けの需要が増加を継続していることも需給タイト化に寄与したと考えられる。この間、銀価格は水準を切り上げているため、実需の増加が価格を押し上げた側面は否めない。しかし、2000年頃からの動きを見るに、実際の需給バランスが価格に影響していることを明確に確認できるケースは少なく、世界最大の経済国である米国の景況感と銀価格の間にも明確な関係性は存在しない。過去、銀価格が高騰したハント兄弟事件、リーマンショック後の価格上昇も、ほぼ景況感とは関係ない。そのためやはり、「金価格との水準比較」で売買される傾向が高いと考えられる。

出所:Silver Institute

市場参加者は銀への投資を行う場合、対金での割安感・割高感の指標である「金銀レシオ(金価格÷銀価格)」を参考にしている可能性が高い。金銀レシオは1981年のデジカメ発明以降、写真フィルム向けの需要が激減したため、総じて需給が緩和して上昇(金が銀に対して割高)していた。しかし、この数年では上述の太陽光や半導体、EV向け需要の増加でじりじりと対金レシオの水準を切り下げている状況。ただしレシオは2022年にかけて低下し、それに歩調を合わせる形で投機を除く需給バランスがタイト化、銀価格も水準を切上げている。仮に過去平均、1981年のデジカメ導入時以降の水準まで低下したとすると、65倍程度までの低下が有り得、金価格を2,500ドルとした場合、38.5ドル程度までの上昇余地があることになる。

出所:CME

しかし、今後も上昇が続くかというと、過去の金銀価格上昇局面(1977年~、2001年~、2008年~、2021年~)を見てみると、「金が先に上昇した後、割安感から銀が買われ、その後、金よりも価格が上昇するが先に銀価格が下落している」ケースが多い。恐らく今回も同様の展開になると予想される。流動性がある商品から上昇し、その後、相対的に流動性が低い商品が買われ、手仕舞いをする時はこの逆という流れだ。しかし、あくまで過去の例であるが価格高騰から元の水準に戻るまで概ね1年~3年を要しているため、今後の金価格次第ではあるが当面高値を維持すると予想される。

出所:CME

新村 直弘

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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