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2025-05-16 14:57:49

プラチナに循環物色の可能性

2024/7/10
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

プラチナ価格は2020年のコロナショック後に564ドルまで下落、その後の世界的な大規模金融緩和・量的緩和の影響で大幅に上昇したがその後は総じて水準を切り下げながらレンジワークを継続している。プラチナ価格動向を占う上で個別の需給バランスが重要であることは明らかだが、その局面により需給環境以上にプラチナ価格に影響を及ぼすのは金価格動向だ。当コラムでも何回か指摘している様に、プラチナを含む貴金属セクターの価格はベンチマークである金価格の動向が左右しやすいからだが、これは非鉄金属における銅とその他の非鉄金属の関係性に似ている。基本的には最も流動性があるものが投機の対象となりやすく、投機が価格を動かしている場合、まずそのベンチマーク(本稿では金)の価格が変動し、その動きがそのセクター(本稿では貴金属)の価格動向の目安となる。流動性が低くなるに従って投機の対象となり難くなるため、流動性が相対的にベンチマークよりも低い商品(本稿ではプラチナ)が投機的な目的で物色された場合は、その流れが後半戦に差し掛かっていることを意味する。しかし、下落する時は逆に流動性が低い商品から手仕舞い売りを入れることが多く、ベンチマークである商品価格の下落時期はそれよりも遅くなる。このような傾向が強いことから、プラチナ価格動向を論じる場合には、まず、金価格動向を一度整理しておく必要がある。

伝統的に「インフレヘッジ」の目的のための需要と、「究極のリスク回避」の目的のための需要が価格に対して大きな影響を及ぼす。これに対して金の供給量はその流動性の高さ(地上在庫の水準の高さ)から余り価格に影響を及ぼしてきていない。もちろん、半導体や携帯電話、自動車などに用いられる金のエレクトロニクス向けの需要が大幅に増加して実際の需給がひっ迫すれば話は別であるが、今のところ地金などの形にして価値保存や、実際に消費してなくならない(リサイクルが可能な)宝飾品などに用いられる比率が高いことから、供給面は他の金属に比べてさほど材料視されない。

話を戻して金の需要動向の状況を整理しよう。足下、金のインフレヘッジとしての需要はもちろんあるものの、それ以上に「究極のリスク回避手段」としての需要の方が大きくなっているようだ。この切っ掛けはコロナショック前に始まった米中対立、それを深めたコロナショック、更に決定的なものにしたのがロシアのウクライナへの軍事侵攻である。この中でもっとも影響が大きかったイベントは実はコロナショックだろう。コロナショックが引き起こした事象を簡単に整理すると、1.景気が悪くなることを回避するために各国とも金融緩和(金利引き下げ、通貨供給量増加)を行った、2.コロナを契機に中国に組みする国への不信感が高まり、結果的に米中対立が加速した、の2点に凝縮される。

1.は以前から言われていることであるが、各国中央銀行のマネタリーベースが大幅に増加した。基本、銀行を始めとする債券や住宅ローン担保証券を保有している主体からそれを中央銀行が買い取って現金に換え、それをその他の資産に投資させることで景気を促進させる戦略である。これは各国のマネタリーベースの増加状況と、金価格が連動していることを見れば明らかだ。

出所:FRB、ECB、BOJ、CME

2つめは米国がウクライナへのロシアの軍事侵攻に対して直接的にドル決済が出来ないように制裁を行ったが、「やはり」とみた中国を中心とした反米国勢力ないしはどちらにも与しない第三国が準備通貨としてのドルの比重を下げて金にシフトしたことによる。ドルへの不信任が反米地域で広がったとでも言えるだろうか。この結果、金価格は上昇しているが、この仕組みを理解した個人もコストコやコンビニエンスストアなどで金を購入するようになり、今、大きな流れになっている。

この中で同じ貴金属セクターのプラチナは割安な状態におかれている。金や銀のように過去に通貨として用いられたことがないことから、金銀とは同列に扱えないためだ。しかし、金が高値を維持し、同じ貴金属セクターの銀もヒストリカルに見ても高い水準まで上昇していることを考えると循環物色の流れで割安なプラチナが物色される可能性はある。さらに、今年の市場での最大イベントの1つである米大統領選挙は「インフレや安全保障の枠組みを大きく変化させる可能性がある政策」を公約とするトランプ前大統領が有利に選挙戦を進めている状況。仮にバイデン大統領が再選された場合、現状と大きく変わることはないと予想されるが、トランプ前大統領が勝利するとパリ議定書からの離脱の可能性は極めて高く、これまでバイデン政権下で減少が見込まれていた内燃機関車向けのプラチナとパラジウム需要が増加する(減少しない)可能性が出てくる。このことは需給ファンダメンタルズ面でプラチナ価格を支えると予想される。更に、米国第一主義を掲げる同大統領の下では、地政学的なリスクが高まる可能性は低くない。その場合、究極の安全資産としての金需要が貴金属セクター事態の水準を押し上げることが予想されるのではないか。固有の物色材料は多くないものの、割安感と政局次第では更なる上昇余地(消費者からすれば上昇リスク)があると言える。

出所:CME

新村 直弘

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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