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2024-05-18 10:49:21

アルミ価格高騰と欧米の制裁の影響

2024/5/1
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

アルミ価格は急騰しており、一時2,700ドルを上回った。その後価格上昇はやや沈静化しているが高値圏での推移が続いている。アルミの投機筋の売買動向がアルミ価格に与える影響は大きく、2022年1月以降の投機筋のネット買い越しポジション動向と、アルミ価格はほぼ連動している(相関係数は当該期間で0.93)。4月24日付けレポート「非鉄金属価格高騰〜期間構造の変化に注目」でも解説したが、3月31日に発表された中国製造業PMIが想定よりも強い内容だったことを受けて広く投機筋による買いが入ったと考えられる。実際、投機筋のポジション変化を見ると、今年の3月からショートポジションの減少が確認されており、さらに注目すべきはロングポジションが増加している。

出所:LME

基本的に投機筋がロング(買いポジション)を積み増しするときは、「(景気がよくて)需要が増加している局面」が多い。4月24日付けのレポートでもコメントしているが、中国製造業PMIの改善の影響は需要面への期待という面で小さくなかった。そして、投機筋がショート(売りポジション)を買い戻すのは「供給に懸念がある場合」が挙げられる。投機筋がアルミを含むLME市場に参入する場合、もちろん現物を保有して投機行為を行う市場参加者もいるが、通常は現物を必要とせず現物を保有していないケースがほとんどだ。先物・先渡し取引の場合、予め定められた取引最終日(LMEの場合第3水曜日)までに保有しているポジションに対して決済を行わなければならない。仮にロングを有していればこの状況で取引を時価で決済する(あるいは期限前に取引を解消する)、現物をLME指定倉庫で受け取る、という選択をする必要が出てくる。ショートを有していた場合はこの逆で、時価で買い戻しをするか現物をLME指定倉庫に運び込む必要が出てくる。通常、投機筋は運び込むべき現物を保有していないため、供給面の不安が発生した場合、現物を運び込んで終了という選択肢が無いことから価格上昇時は買い戻しを急がなければならない。今回は4月12日時点の米英によるロシア産のアルミの取扱規制が価格の押し上げ要因となった。3月末時点でアルミのLME指定倉庫在庫に占めるロシア産アルミのシェアは90%を超えていたため反応は顕著だった。

制裁の対象となるのが4月13日以降に生産されたものを対象とすること、既に欧米の消費者はロシア産アルミの回避に動いていること、当たり前だが制裁を行っていない国には関係がないことからアルミ価格は水準を切り下げた。しかし、仮に米英だけではなく、欧州や親米国がこの制裁に加わった場合は欧州や親米国がこの制裁に加わった場合は話が変わってくる。制裁をしていない国は調達に問題が無いが、制裁に参加している国は現物の確保が困難になるからだ。LMEのロシア産アルミの供給シェアが大きい場合、ロシア産アルミ以外の現物確保が困難であるためLME・CMEなどの取引所が使われなくなり、取引流動性が低下して価格の変動性が増すことが懸念される。LME価格は現物売買の指標として広く用いられるため、LMEに参加していない企業もこの影響を受けることになる。また、現在ロシア産原油でみられているように、制裁を行っている国と行っていない国でアルミの価格が異なる「一物二価」の状態が発生することも想定される。恐らくこの流れであれば西側諸国の方が、高い値段でロシア産の金属を購入せざるを得なくなるだろう。ただ、制裁は目的を達成するためにその国がある程度の不利益を受けることを許容することを意味しているため、景気の先行きが不透明な欧州・EUがこの制裁に賛同するとは考え難いことから、この全面制裁はリスクシナリオの位置づけだ。

結局、価格がその後下落を続けるのか、上昇するのかは結局、最大消費国である中国の景況感に依拠することになる。製造業PMIの改善はあったが、その後発表された工業生産や不動産開発投資、不動産販売などの統計は決して良い内容ではない。やはり晩夏頃に世界景気が底入れするという市場コンセンサスを元にすれば、価格は秋頃まで水準を切り下げる動きになるのではないだろうか。ただし、今年の夏以降は、ラニーニャ現象発生の可能性があり、気温上昇に伴う石炭需要の増加や主要輸出国である豪州での洪水の発生で石炭鉱山が水没するケースがよく見られることから、中国のアルミ精錬における主要な熱源である石炭火力発電のコストが上昇し、アルミ価格の下落余地を限定させる可能性はある。また、米国の景気が想定よりも早く底入れして中国の輸出需要の増加がアルミ価格を押し上げることも想定されることから、やはり下落余地は限定されると考えるのが妥当だろう。

新村 直弘

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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