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【特集】連続対談 「榮が聞く!How to 海外ETF」
世界最大のETFプロバイダー 海外ETF取扱本数国内最多!
「ETFはわかりにくい」、「敷居が高い商品」と思われがちですが、実はシンプルで使い勝手がよく、1本でグローバル分散投資ができるツールです。また、皆さんの持っている投資テーマや投資アイデアを具現化するためのツールとしても十分ご活用いただけます。
4連続対談の第1弾となる今回は、そんな魅力的なETFについて、ブラックロック・ジャパン株式会社の小島久美子さん(以下:小島)にお話を伺いました。「SBI証券の投資家に人気のiシェアーズETFは何か?」「海外の投資家が嗜好するETFとは?」など、海外ETFの魅力について榮が切り込みます!
ETFで資産運用されている方はもちろん!日本株や投資信託を既にお持ちの方もぜひご覧ください。
榮まず、SBI証券を利用している投資家に人気のiシェアーズETFについてお聞かせください。
小島はい。ブラックロックでは、ETFは投資家にとって将来必ずや有益な商品になると考え、1990年代から研究開発を進めておりました。本格的に市場参入したのは2000年で、「iシェアーズ」ブランドとして米国市場に一挙に50本以上の銘柄を上場させましたが、これを機にETF市場が急成長を始めたとも言われております。おかげさまで市場シェア約4割を有するマーケットリーダーとして全世界の投資家さまからご支持をいただいております。
世界のETF市場の時価総額推移
榮日本で売買できるETFを一番幅広く揃えられているのがiシェアーズ(ブラックロック)さんですね。
小島現在、国内で売買可能な銘柄が東証に16本上場しています。また、日本の個人投資家が売買できる海外ETFが100銘柄ありますので、計116銘柄をご提供しております(うちSBI証券では英国、欧州、豪市場上場銘柄を除く73本を取扱い)。
弊社では常に投資家のあらゆる投資ニーズを満たすべく、幅広いラインアップ、また、シンプルで分かりやすい商品のご提供に注力しています。(iシェアーズ ラインナップ国内/海外含む)
榮確かに、「グローバル、先進国、新興国、フロンティア、グローバル・セクター、スペシャリティ、債券、コモディティ」・・・本当に何でもありますね。投資先もシンプルでわかりやすいものばかりですね。
では、当社人気ランキング(残高上位)から支持された要因は何だと思いますか?
小島iシェアーズ MSCIコクサイETF(第2位)、iシェアーズ MSCI EAFEインデックスETF(第4位)、iシェアーズ MSCIエマージング・マーケットETF(第5位)等、1本でグローバル分散投資ができるETFが上位に入っていますが、まさに王道の活用法、分散投資のツールとしてお使いいただいているのではないでしょうか。
当社iシェアーズETF人気ランキング(残高上位) 2016/1末現在
ティッカー |
名称・連動指数 |
経費率 |
|
---|---|---|---|
1 |
IVV |
0.07% |
|
2 |
TOK |
0.25% |
|
3 |
PFF |
0.47% |
|
4 |
EFA |
0.33% |
|
5 |
EEM |
0.69% |
|
6 |
ACWI |
0.33% |
|
7 |
HYG |
0.50% |
|
8 |
IYR |
0.43% |
|
9 |
DVY |
0.39% |
|
10 |
EIDO |
0.62% |
榮もちろん1本でもグローバル分散投資ができますが、当社のお客さまの中にはランキング上位の銘柄を組み合わせた分散ポートフォリオを組んでいる方もいらっしゃいます。
iシェアーズ・コア S&P 500 ETF(第1位)+iシェアーズ MSCI EAFE ETF(第4位)、iシェアーズ MSCI コクサイ ETF(第2位)+すでに保有されている日本株(個別株、ETF等)をコア資産として、これにiシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF(第5位)等をサテライト資産として運用されている方もいらっしゃいます。
また、日本株を長期保有されている方で、唯一の海外資産としてiシェアーズ・コア S&P 500 ETF(第1位)を選択されているお客さまもいらっしゃいました。日本株式だけを取引されている方にもS&P500やNYダウといった指数はなじみ深く、シンプルでわかりやすい指数なのが良いのではないかと思います。
小島iシェアーズ・コア S&P 500 ETFで例えますと、組入れ500銘柄すべて購入することは一般の個人投資家には難しいですが、IVVなら1本で全銘柄に投資するのと同様の分散効果が期待でき、投資金額も小口から始められます。さらにコストも抑えられています(経費率0.07%)。
榮かなり低い運用コストですね!驚きです。
小島また、皆さまが持っている投資テーマや投資アイデアを具現化するためのツールとしての活用も覗えます。iシェアーズ 米国優先株式 ETF(第3位)、iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(第7位)、iシェアーズ 米国不動産 ETF(第8位)、iシェアーズ 好配当株式 ETF(第9位)等は、インカムゲインに基づく分配を重視した銘柄になります。まだあまり知られていませんが、投信でもおなじみのテーマにETFでも投資が可能です。
榮米国や海外の投資家が嗜好するETFとはどのようなETFなのでしょうか?
出所:BlackRock Global ETP Landscape Dec 2015
小島ETFは日々の資金フローから投資家の動向を見ることができますので、2015年の世界の資産クラス別資金フローをもとに見てみましょう。 全体観としては、株では先進国に流入、エマージングは流出しました。最も流入したのは債券ETFでした。先進国株については、米国以外の欧州や日本株により資金が入ったことは昨年の一つの傾向でした。
榮海外の投資家は米国株よりも他の先進国株に投資していたのですね。
小島はい。海外の投資家は欧州株や日本株ETFに投資をしていましたが、ドルベースで資産運用する投資家については、米ドルがしばらく上昇していましたので、為替による影響を大きく受ける状況に直面していました。そういった局面で、為替ヘッジつきETFの活用が増えたことも特徴の一つです。ドル高局面で為替ヘッジつきETFを活用すれば、為替によるマイナスの影響を軽減する効果が期待できるためです。
榮なるほど!日本の投資家でも、ドルベースの運用を前提に考えている方は、為替ヘッジの必要性はあるかもしれませんね。
ドル高↑基調とお考えの方
ティッカー |
名称・連動指数 |
経費率 |
---|---|---|
HEWJ |
0.48% |
|
HEWG |
0.53% |
|
HEZU |
0.51% |
ドル安↓基調とお考えの方、ドル安↓環境となった場合
ティッカー |
名称・連動指数 |
経費率 |
---|---|---|
EWJ |
0.48% |
|
EWG |
0.48% |
|
IEV |
0.60% |
榮次に、全世界的に株安となっていますが、今後の相場環境の見通しはどうでしょうか?
相場を踏まえたオススメETFは?
小島年始から、中国景気減速懸念、原油価格の急落、欧州銀行の信用不安等のリスクが顕在化してきており、市場のボラティリティが大きく、先行き不透明感が高まっています。例えば、株式投資でもボラティリティをできるだけ抑えたい場合には、「最小分散型」のような変動を抑えるタイプの投資が有効な手段の1つと考えています。東証上場のiシェアーズ MSCI日本株最小分散ETF(1477)がそれに当たります。
※海外ETFでは、日本の個人投資家が売買できる該当銘柄はございません。
ティッカー |
名称・連動指数 |
経費率 |
---|---|---|
1477 |
0.19% |
また、日本もマイナス金利が発表される等、低金利の環境が続きそうです。例えば、キャピタルゲインよりもインカム収益を重視され、よりリスクを取れる方は、優先株、高配当株、REIT等が投資対象として考えられるでしょう。また、日本国内よりは金利の高い外国債券ETFの投資も検討対象になるのではないかと思います。債券は取引所が存在しないために取引価格が分かりにくいのですが、債券ETFは、株と同じように取引所で取引されますので、値動きを把握しながら、小口で売買することができます。債券投資の選択肢の一つとして、ぜひご検討いただきたい商品です。
ティッカー |
名称・連動指数 |
経費率 |
---|---|---|
PFF |
0.47% |
|
IYR |
0.43% |
|
HDV |
0.12% |
|
HYG |
0.50% |
|
EMB |
0.40% |
榮なるほど、個人投資家の方が、既に保有している日本株や、投資信託に加え、様々な投資地域・資産のETFを組み合わせることで、カスタマイズもできますしね。債券ETFも非常に使いやすい投資手段です。一方で、逆張りタイプの投資を好む投資家もいるかと思うのですが、例えば、大きく下げている原油市場に投資できるような銘柄はありますか?
小島原油に投資できる銘柄はiシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラストで、コモディティ全体に投資ができまして、うち、原油の組入れは5割以上となっていますが、商品市場は極めて変動が大きいのでその点は注意が必要だと思います。
榮当然リスクは考慮しないといけませんね。ただ、ETFは分散投資、テーマへの投資、機動的なトレーディング等、幅広く様々な活用ができる本当に便利なツールだと思いました。
ティッカー |
名称・連動指数 |
経費率 |
---|---|---|
GSG |
0.75% |
榮次に、長期投資を前提に、例えばお客さまが先進国株式へ70%、新興国の大型・中型株へ30%のポートフォリオを組みたい場合、iシェアーズではどのような銘柄がありますか?
ティッカー |
名称・連動指数 |
経費率 |
---|---|---|
TOK |
0.25% |
|
IEMG |
0.16% |
世界分散投資ポートフォリオ例
小島iシェアーズではこちらの2銘柄が考えられます。iシェアーズ MSCI コクサイ ETFと、iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETFを組み合わせることで世界株式への分散投資が実現します。TOKは日本の投資家の海外株投資用に作られたETFですので、これから海外株投資をお考えの方にお勧めしたい銘柄の一つです。
日本株を加えた
世界分散投資ポートフォリオ例
小島 先進国、新興国の国債に投資できるのはこちらの2銘柄です。現地通貨建てで発行された米国除く先進国国債へ投資するiシェアーズ 世界国債(除く米国)ETFや、米ドル建ての新興国国債へ投資するiシェアーズ J.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券 ETFがございます。
ティッカー |
名称・連動指数 |
経費率 |
---|---|---|
IGOV |
0.35% |
|
EMB |
0.40% |
債券を加えた
世界分散投資ポートフォリオ例
債券ETFは毎月決算が行われ、その時のインカム収益に応じた分配金が出されます。また、分配金は、実際にETFが期中に受け取ったインカム収入を原資として払い出すというシンプルな仕組みですのでタコ足配当(元本を取り崩しての分配)は行いません。
榮ありがとうございます。ETFを数本組み合わせるだけで株、債券のポートフォリオが手軽にできてしまうのですね。ぜひ個人投資家の資産運用にも今後取り入れていただきたいですね。今後、どのような米国上場の銘柄を日本の投資家に届けていただけますか?
小島今後もめまぐるしく変わる市場環境に対応しつつ、投資家のあらゆるニーズを満たすような商品、サービスの提供に努めて参りたいと思っております。また、まだETFの存在を知らない方も多いのではないかと思います。ETFは使い勝手のよさから一度使うとリピーターの多い商品と言われていますので、まずは一人でも多くのお客さまにETFを知っていただき、ETFファンを増やしていけるよう引続き啓蒙活動に注力していきたいと思います。
榮そうですね。投資信託は、当社なら売買手数料無料のノーロード投信等もある上、積立買付で500円と小口から購入できるものもありますし、銀行引き落としサービスや、分配金再投資サービス等もあり、個人投資家のハードルが随分、下がっていると思います。
現在、長期保有でETFを取引されている方は、投資信託を取引されていた方で、コストを非常に重視されています。結果としてETFへの移行あるいは、インデックス投信等と並行して資産形成する方法を選択されています。
株式の延長としてのETFより、「投資信託の延長」としてのETFの方がお客さまはわかりやすいのではないかと考えています。
ETFは一般的に投資信託より運用コストが低いのですが、インフラ面ではまだまだ不十分だと考えています。今後、ETFをお客さまの資産運用の選択肢に加えていただけるようなインフラやコンテンツを提供していきたいと考えております。
それでは最後に、日本の個人投資家の皆さまへメッセージをお願いいたします。
小島ETFの登場によって、今までは機関投資家しかアクセスできなかったような資産クラスにも、個人投資家が取引所を通じて同じ商品に公平な条件で投資できるようになりました。ETFはシンプルで使い勝手のよい商品です。まだ、なじみのない方もいらっしゃるかと思いますが、ぜひ、今後の投資の選択肢にETFを加えていただきたいと思います。
また、iシェアーズのHPでは、銘柄に関する各種情報提供を日本語で行っておりますので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。
http://www.blackrock.com/jp/ishares
小島 久美子(こじま くみこ)
ブラックロック・ジャパン株式会社
営業部門 iシェアーズ事業部 ヴァイス・プレジデント
対面リテール証券に入社し、個人向け営業を経て、外国株式の営業推進業務に従事。 その後、2008年に旧バークレイズ・グローバル・インベスターズ株式会社(現ブラックロック・ジャパン株式会社)に入社。以降、iシェアーズ事業部に所属し、対面、オンライン等、リテール証券全般を対象とした勉強会・セミナー等を通じ、iシェアーズETFの普及・啓蒙活動に励む。
榮 聡 (さかえ さとし)
SBI証券投資調査部
(日本証券アナリスト協会検定会員)
1986年一橋大学商学部卒業、1991年カーネギーメロン大学テッパー・スクール・オブ・ビジネス卒業。大和証券、大和証券投資信託委託、野村證券を経て15年4月よりSBI証券投資調査部に所属。国内外株式のファンド運用、ファンド運用助言、調査業務に長年携わる。欧州株式、アセアン株式について現地での調査経験があり、企業をグローバルな視点から評価できることに強み。
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