少ない資金で大きな利益が狙える先物・オプション取引って何?
<今週のココがPOINT!>株式市場の波乱はまだ続く?押し目買いタイミングを探る
日経平均の下落基調、調整が健全に進めば「20,000円近辺は買い場」 |
日経平均株価は、5月7日から28日かけ7%上昇しました。これは、我が国の企業業績が予想以上に堅調であったことが大きな要因でした。即ち、新年度の企業の利益予想は、当初は微増益程度とみられていましたが、決算発表後は、2ケタ増益が見込める状況に変わりました。
しかし、28日以降の日経平均株価は、下落基調となっています。好業績を評価した買いが一巡したことや、欧米金利の上昇、ギリシャ問題への不安、米国株の下落、等が逆風となりました。6月メジャーSQの(オプション・先物の特別清算値)算出日が接近していたこともあり、裁定取引に絡む現物株買い持ち高の解消売りも増加し、株式相場は不安定さを増す展開になりました。その後、11日には、ギリシャ問題の進展が期待され、日経平均株価は買い優勢となりましたが、ニュースに振り回されているという面では、不安定さが残っていると考えられます。
今後は、どうなるでしょうか。仮に日経平均株価が20,000円を割り込むと、上昇分のほぼ半分を失う形になります。企業業績予想の「上振れ」分をすべて失うとは考えにくく、株価の調整は相当進んできたと考えられます。ここからは、新規の売りを考えるよりも、逆張りタイミングを図る方が有効ではないでしょうか。
図表1:予想EPS(企業業績)上振れを織り込む形で上昇、その後下落した日経平均株価
- ※日経平均公表データをもとにSBI証券が作成。
コール・行使価格20,000円の押し目買いが有効 |
オプション戦略としては単純ではありますが、20,000円のコールの押し目買いを狙うことが、有効な戦略のひとつと考えます。ちなみに、6月12日はSQ算出日であり、オプション取引の中心限月は、2015年7月減限に移行します。図表2は、日経平均コール・オプション(2015年7月限・権利行使価格20,000円)のプレミアム推移ですが、足元の日経平均株価下落を反映して大きく下落しています。
7月のSQ算出日は10日で、まだ期間も十分あるため、時間的価値が高い分プレミアムも高めになっている点は注意が必要です。ただし、日経平均株価が5月28日の高値を回復すれば、十分に採算が合う計算(図表3参照)となっています。
図表2:日経平均コール・オプション・プレミアム推移
(2015年7月限・行使価格20,000円/6月10日現在)
図表3:日経平均コール・オプション・想定損益図
(2015年7月限・行使価格20,000円・7月SQ時)
- ※日経平均公表データをもとにSBI証券が作成。
市場が警戒する「米利上げ」に過度の懸念は不要 |
そもそも、市場が警戒している米政策金利の引き上げは、株価の下落要因でしょうか。図表4は、米政策金利とNYダウの推移を重ねて示したグラフです。赤い四角は、米国の政策金利が引き上げられた時期を示しています。
一般的に、中央銀行が政策金利を引き上げる時は、国内の景気が拡大し、インフレ率の上昇が懸念されるときです。図表4は、過去30年間の米政策金利の推移とNYダウの動きを重ねて示したものですが、5日の主要利上げ時期において、NYダウは上昇3回、ほぼ横ばい2回という結果でした。政策金利が引き上げられるような好景気下では、株価はしっかりというのが経験則になっています。
今回はどうでしょうか。米国の政策金利は2008年末に0%〜0.25%に引き下げられて以降は、その水準を維持しています。一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)は、国債やMBS(資産担保証券)等の資産を買い入れることで、市場に資金を供給する量的緩和を実施し、その規模を金融政策の目的にしていました。しかし、資産の買い入れは2014年10月に終了し、現在、市場の関心は利上げタイミングに移っていると考えられます。利下げと量的緩和を合わせ、緩和的金融政策が7年間近く続いてきたことは、米国のここ30年間の歴史の中では異例です。それが、転換しようとしている訳ですから、ある程度リスク回避姿勢が強まってくることは、いたしかたのないことでしょう。
一方、労働市場の改善はみられるものの、他の経済指標も総じてみれば強い訳でもなく、消費者物価上昇率(食品・エネルギーを除く)も、FRBが目安とする前年比2%に達していません。政策金利の引き上げペースは、緩慢になるとの見方が今のところは有力です。米政策金利の引き上げと言う「ビッグイベント」は、徐々に織り込みが進むと考えたいところです。
図表4:米政策金利の推移とNYダウ(月足)〜政策金利の上昇期に株価が下落する訳ではない
- ※Bloombergデータををもとに、SBI証券が作成。
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