前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が大幅高となったことで、投資家のリスク選好の動きからドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、来週米消費者物価指数、FOMC、日銀金融政策決定会合を控えていることもあり、ポジションを傾けにくく、利益確定の動きなどもあり、上値の重い動きが続いた。日本の株式市場終了後には、時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は上昇したものの上値は限定的だった。
米国市場では、米経済指標が冴えない結果となり、米金利の低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は一時139.26まで下落した。その後、米金利が持ち直したことから、ドルも値を戻す動きとなったが、上値は限定的だった。
米株式市場では、非製造業PMI、ISM非製造業景況指数が市場予想を下回る結果となり、米景気悪化懸念が強まったことや、前週末に大幅上昇となったことで利益確定の動きも加わり、主要株価指数は反落となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、終盤に一時209ドル安まで下落した。引けにかけて安値圏が維持され、199.90ドル安(-0.59%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは序盤から堅調な動きが続いたものの、中盤以降に失速して小幅安となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、先週末の米雇用統計で、雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回ったことが改めて材料視され、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、海外市場の株高を受けて、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、前週末比550円超上昇したことも押し上げ要因となった。ドル/円は、序盤の139.96から140.26まで上昇した。ただ、6月のFOMCでの利上げ期待が後退したことや、来週に消費者物価指数、FOMCの発表を控えていることもあり、その後は上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大して、693円高の引け高で終了する動きとなったものの、140円台では日本政府・日銀の円買い介入なども意識されやすく、上値は限定的だった。日本の株式市場終了後に、時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は午前中に付けた高値の140.26を上抜けて、一時140.30まで上昇したものの、上値は限定的だった。
(3)米国市場では、5月の米非製造業PMI、米ISM非製造業景況指数が市場予想を下回ったことを受けて、FRBが6月のFOMCで利上げを見送るとの観測が広がり、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.756%から3.656%まで低下するなど、米金利が軒並み低下したことで、ドルも主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の140.30から139.26まで下落した。
(4)下げ一服となり、米金利が持ち直したことからドルも値を戻す動きとなったが、上値は限定的だった。一方、ユーロは対ドルで上昇したものの、ドル/円の下落に連れて対円では軟調な動きとなった。ただ、ECB総裁が「物価圧力は依然として強い」としたことや、独連銀総裁が「まだ数回の利上げが必要」とタカ派発言を受けてユーロは底固い動きとなった。
本日のトピックス
米経済指標が軒並み冴えない結果となったことを受けて、米景気の先行き不安が高まり、来週に予定されているFOMCでの利上げ観測がさらに後退したとの見方が広がり、ドルは主要通貨に対して下落した。東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったこともあり、やや上値の重い動きとなっており、この動きが続くとの見方もある。
本日の米国市場では、主要な米国の経済指標の発表がなく、今週は7日の米貿易収支、8日の失業保険申請件数を残しているものの、ともに前月から冴えない結果が予想されている。結果次第だが、来週に消費者物価指数、FOMCの発表を控えて積極的に動きにくい状況となっていることから、先週末からの流れを引き継ぎ、上値の重い動きが続く可能性も考えられる。