2017/10/03
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」10月2日号より抜粋
先週は米長期金利が上昇するとともに米ドルが全面高となり、ドル円相場は27日に一時113円台前半と約2ヵ月半ぶりの水準に上昇。円安進行にも支えられ東証株価指数は前週比+0.6%上昇し、ドイツDAX®も同+1.9%上昇しました。
先週初には、米長期金利は低下しました。前週末の独総選挙での極右政党の支持拡大や朝鮮半島情勢の緊迫化を市場は警戒。北朝鮮の外務相が米大統領の発言は宣戦布告だと非難したこと等が背景です。しかし、同金利は27日より大きく上昇。同日に米政権と与党共和党が公表した税制改革案がきっかけです。同改革案は連邦法人税の35%から20%への引下げ、個人所得税の簡素化、法人税の源泉地国課税への変更(海外子会社からの配当への課税の廃止)等を含むものでした。
先月19-20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)を経て浮上した12月の米利上げ見通しは一層強まりました。イエレン米FRB議長は26日に利上げが「ゆっくりし過ぎないよう注意すべき」と発言。また、27日公表の8月の米コア耐久財受注も前月比+0.9%と市場予想の+0.3%を上回るなど景気の堅調さを印象付けました。先週29日に金利先物(OIS)が織込む12月の米利上げ確率は64.5%と前週末の57.7%より上昇し、米10年債利回りも2.334%と前週末の2.251%より上昇しました。
また、日本の政治動向も注目を集めました。先週28日の臨時国会冒頭で衆議院が解散され、今月10日公示で22日投開票の総選挙が行われることが確定しました。
衆議院解散の可能性が浮上した当初、海外投資家等は「再選で安倍首相の求心力が上昇→大規模な金融緩和などを継続→円安・株高が進展」と連想。しかし、先週は野党第一党の民進党が小池東京都知事が党首を務める新党希望の党との合流を公表するなど政界再編の動きが進展し、不透明感が台頭しています。支持率の回復する現政権が再選される可能性が高いものの、予想以上に議席を減らせば党内から「安倍降し」の動きが起こり政策変更の可能性も意識されるとみられます。
米減税に関わる議論の進展と底堅い米景気指標の下で今週も米長期金利と米ドルに上昇圧力がかかるでしょう。しかし、減税策に関する議論が難航し、また、12月に米利上げがあれど来年以降の利上げ軌道が上方修正されるわけではないことが明らかになれば、今後こうした圧力は徐々に沈静化すると予想されます。
◆米国:6日の米雇用統計(9月)では、ハリケーン被害の影響で非農業部門雇用者は+8.5万人増と前月の+15.6万人を下回るでしょう。平均時給の前年比は+2.5%と前月と同率と見込まれます。2日のISM製造業景気指数は58.0と前月の58.8を下回りつつ好調なものとなるでしょう。先行指標である同新規受注指数は7月まで3か月連続で60を上回っており、景気は堅調な拡大を続けている模様です。
◆欧州:5日のECB理事会議事要旨(9月4日分)では、ユーロ高の影響と10月の理事会で決定される見込みの量的緩和縮小に関わる議論に注目です。(入村)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
10/2(月) |
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(日)日銀短観(9月調査) |
10/3(火) |
(米)パウエルFRB理事 規制改革イベント参加 |
10/4(水) |
(米)イエレンFRB議長 講演 |
10/5(木) |
(米)フィッシャーFRB副議長 講演 |
10/6(金) |
(日)8月 景気動向指数(速報、先行CI) |
10/7(土) |
(米)ローゼングレン・ボストン連銀総裁 講演 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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