2017/09/20
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」9月19日号より抜粋
■北朝鮮はミサイル発射も、米税制改革期待等を背景に主要国株価は上値追い
米8月消費者物価は強く、生産、小売は弱めと先週の米経済指標は強弱混在、 15日には北朝鮮がミサイル発射も来週発表とした米税制改革案等への期待から米株価指標は高値更新、ドルも$1=111円台と3円上昇。米物価はハリケーンの影響で上昇した燃料価格につられ前月比+0.4%、前年比+1.9%と前月から加速しました。
■景気拡大にはまだ伸び代あるとの米債券市場の見方
今週の注目は、19-20日米FOMC(連邦公開市場委員会)にて表明される公算の高い米FRB(連邦準備理事会)資産縮小の開始です(政策金利・物価・景気見通しは共に据え置き、但し長期中立金利は下方修正と予想。イエレンFRB議長会見あり)。過去例を見ない量的金融緩和策の出口戦略という壮大な実験が米国でいよいよ始動、これに連動して持続的な米金利上昇、ドル回帰が起こるか注目されます。しかし、こうした動きは来年以降の市場のテーマになるとみています。@米景気拡大期には依然伸び代が残され、A新興国金融政策が総じて景気刺激を志向し緩和的なためです。米国の過去4回の景気後退期には、いずれも米長短金利差(3ヵ月と10年国債利回り格差)解消と米株式ボラティリティ(株価変動率)低下がその入り口の案内表示でした。目下ボラティリティは過去の低水準に並ぶも長短金利差は依然1.0%と縮小余地、米景気後退期の入り口はまだ先のようです。
■先進国と新興国の金融政策サイクルにタイムラグ、新興国投資に妙味
そして後者、先進国と新興国の金融政策サイクルにタイムラグがある点により注目しています。米欧の先進国金融政策は非伝統的政策の是正に向け流動性を引締め、波打ち線を使い連想すると下端から上方へ、一方主要新興国は依然緩和方向、下方へ舵を向けています。世界的なディスインフレ環境(世界最大の農産物生産国、中国の消費者物価(8月前年比+1.8%)は足元歴史的低水準にある農産物市場価格に連動する傾向、つまりデフレを輸出)と共に、経常収支改善や持続可能な信用の伸び等、安定度の高まった金融環境が新興国金融政策の景気刺激誘導を可能にしています。利下げ後も新興国通貨が買われる昨今の状況からは、世界の流動性が本格的に引き締まる(≒ドルに回帰する)のはまだ先、との市場の声が聞こえてきそうです。先進国より新興国、例えば米高利回り社債よりも新興国債券により投資妙味がありそうです。但し、最近やや金融引締めぎみに動く通貨当局など、中国の政治・政策行動は目先のイベントリスクとして注視しています。
◆政治:23日にニュージーランド議会、24日に仏上院と独議会でそれぞれ選挙、独はメルケル首相率いる与党の勝利とみる他、いずれも波乱なしとみています。
◆金融政策:米国の他、日本、インドネシア、ノルウェー、フィリピン、南アフリカで金融政策会合を控えます。南アでの利下げが見込まれます。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
9/18(月) |
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(日)敬老の日 |
9/19(火) |
(日)2017年基準地価公表 |
9/20(水) |
(日)日銀金融政策決定会合(〜21日) |
9/21(木) |
(日)黒田日銀総裁記者会見 |
9/22(金) |
(英)メイ首相 EU離脱を巡り講演 |
9/23(土) |
(米)北米自由貿易協定(NAFTA) |
9/24(日) |
(仏)上院選挙 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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