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“強い雇用統計も利上げ観測さほど高まらず株価上昇!”

2016/08/09
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:庵原 浩樹、袁 鳴

“強い雇用統計も利上げ観測さほど高まらず株価上昇!”

  • 月初の重要経済指標が出揃い、株式市場も夏休みモード入りの時期となったが、予想を大きく上回る雇用統計の発表で当面マーケットの盛り上がりが続く可能性もありそうだ。
    8/5発表の7月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比25.5万人増と市場予想の同18.0万人増を大きく上回った。6月分は同28.7万人増から同29.2万人増に上方修正され、大きく落ち込んだ5月の同2.4万人増(当初発表同3.8万人増から下方修正)から急激な改善を示している。平均時給は前月比0.3%増と市場予想の同0.2%増、6月の同0.1%増を上回った。前年同月比では3月:2.3%増、4、5月:2.5%増、6、7月:2.6%と月を追うごとに上昇率が高まっている。株式市場は雇用統計の結果を素直に評価し、8/5のS&P500種株価指数とナスダック総合指数はともに過去最高値を更新。NYダウも終値ベースで18,543.53ドルと7/20にマークした史上最高値18,595.03ドルに迫った。
  • 6、7月の雇用統計は非常に強い実績となったが、年初来の非農業部門雇用者数増加の平均値は前月比18.6万人増と節目の同20万人増を下回っている。また、4-6月期のGDP成長率が市場予想を大きく下回る前期比年率1.2%増に留まったこともあり9月利上げ観測はさほど高まらず、良好な米国雇用情勢の一方で当面金利は抑制されるとの思惑から株価は大幅な上昇となった。
    FF金利先物からみた年内利上げの確率は、雇用統計の発表前日の8/4と結果を受けた8/5を比べると、9月のFOMCでは18.0%→26.0%、11月が19.8%→26.0%、12月は37.3%→46.7%である。つまり、市場では今のところ9月、11月は7割強の確率、12月でも5割強の確率で金利据え置きが予想されているということである。11月は大統領選挙(11/8)の直前、12月は新大統領就任後最初のFOMCであることを考慮すれば、これらのタイミングでの金融政策変更も難しいのではないかと思われる。つまり、年内の利上げが遠のいた可能性がある。当面は、8/12の小売売上高や同日の中国の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資などが株価変動要因として注目されるが、引き続き消費関連や出遅れの金融などへの資金流入が続くと予想する。(庵原)
  • 8/9号ではアルファベット(GOOGL)JPモルガン・チェース(JPM)プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー(PG)クアルコム(QCOM)ウォルマート(WMT)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

■S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(8/5現在)

主要企業の決算発表予定

8月9日(火)コーチ、ディズニー、バリアント
10日(水)プルーデンシャル(英)
11日(木)アリババ、チューリッヒ・インシュアランス

主要イベントの予定

8月9日(火)
  • 6月の卸売在庫・売上高
  • 4-6月期の非農業部門労働生産性
  • 中国7月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)
10日(水)
  • MBA住宅ローン申請指数
  • 6月の求人件数
  • 7月の月次財政収支
  • 中国7月の経済全体のファイナンス規模、新規融資、マネーサプライ
11日(木)
  • 新規失業保険申請件数(8/6終了週)
  • 7月の輸入物価指数、輸出物価指数
12日(金)
  • 7月の小売売上高
  • 7月の企業在庫
  • 8月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)
  • 中国7月の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資
15日(月)
  • 8月のNY連銀製造業景気指数
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

  • 1998年創業のインターネット検索最大手グーグルなどを傘下として2015/10に設立された持ち株会社。子会社を通じて主にウェブベースの検索、表示広告とツール、デスクトップとモバイルオペレーティングシステム、ハードウェア製品などを提供している。
  • 2016/12期2Q(4-6月)は売上高が前年同期比21.3%増の215億USDと市場予想を上回った。純利益は同24.1%増の48.77億USD、調整後EPSが8.420USDと市場予想の8.032USDを上回った。主力のグーグル事業の広告収入は同19.5%増の191.4億USDとなった。また、自動運転車やブロードバンドなどグーグル以外の「その他」事業の売上高は同2.5倍の1.85億USDとなったが、通信事業の設備投資や自動運転車の研究開発費などのコストが嵩み、同事業の営業利益が前年同期の▲6.3億USDから▲12.4億USDに赤字幅が拡大した。
  • 英グラクソと「バイオ電子薬」企業の新設、配送ドローン「Project Wing」のテスト開始など広告事業以外の新事業に投資するなど収益源の多様化を目指している。2016/12通期の市場予想は売上高が3.5%減の723.54億USD、純利益が同17.7%増の192.47億USDである。(袁)
  • 1799年に設立した商業・投資銀行を運営する老舗の銀行グループ。投資銀行、トレジャリーサービス、証券、資産管理、商業銀行、住宅金融などのサービスを提供している。
  • 2016/12 期2Q(4-6月)は売上高に当たる営業収益が前年同期比2.8%増の252.14億USDと減収を見込んだ市場予想に反して増収となった。債券トレーディングが好調となったほか、融資額の拡大も増収に寄与した。ただ、貸倒引当金を14億USD計上したことが収益を圧迫し、純利益は同1.4%減の62.0億USDとなった。一方、EPSは1.55USD と市場予想の1.43USD を上回った。
  • 同社は高頻度取引(HFT)大手の米バーチュ・ファイナンシャルと提携。少なくとも協力関係は3年間続く見通し。同提携を通じ、同社は米国債市場へのアクセスとトレーディングにバーチュ・ファイナンシャルの技術を活用し、債券取引の効率化を目指している。(袁)
  • 1837年に設立された世界最大の一般消費財メーカー。洗剤、掃除用品、紙、美容品、食品、ヘルスケアなど多様な製品の製造・販売を行っており、世界180ヵ国・地域で事業を展開している。
  • 2016/6期4Q(4-6月)は売上高が前年同期比9.5%減の161.02億USDとなった。ドル高や一部ブランドの分割などが響いた。ただ、ヘルスケアや美容商品などの販売が堅調で為替の影響を除くベースで同2%増収だった。また、純利益は同3.7倍の19.51億USD、調整後EPSが0.790USDと市場予想の0.745USDを上回った。商品の値上げや販売数量の増加が寄与したほか、前年同期に計上したベネズエラ事業からの撤退に伴う20億USD強の売却損がなくなり、大幅増益となった。
  • 2016/6通期の会社計画では為替変動の影響で、売上高は前期比8%減の652.99億USDを見込むものの、純利益は同49%増の105.80億USDを予想している。通期の市場予想は売上高が同1.4%増の661.92億USD、純利益が同7.2%増の112.66億USDである。(袁)
  • 1985年設立、通信技術および半導体の設計開発を行う企業。自社開発の符号分割多重接続(CDMA)と直交周波数分割多重接続(OFDMA)の知的財産をライセンス供与する。また、CDMAベースの集積回路、ワイヤレス ・コンテンツ用ソフトウエアの生産も手掛ける。
  • 2016/9期3Q(4-6月)は売上高が前年同期比3.6%増の60.44億USD、純利益が同22.0%増の14.44億USDとなった。調整後EPSは1.160USDと市場予想の0.974USDを上回った。スマホ向け「MSM」チップの出荷量は減少したが、3G/4Gデバイス向けのチップの出荷量は2桁増となった。また、中国企業との3G/4Gに関する契約によりライセンス収入の増加も寄与した。
  • 2016/9期4Qの会社予想は売上高が54億-62億USDと中央値が前年同期の実績を上回る。「MSM」チップの出荷量は前年同期比▲4%-△6%の1.95億-2.15億個の見通し。通期の市場予想は売上高が前期比8.3%減の231.75億USD、純利益が同3.3%増の54.43億USD。(袁)
  • 1969年設立。Everyday Low Priceを企業理念に米国を中心に量販店を世界各国で展開し、衣料、日用品、家電、食品などを販売している。世界最大の小売業である。
  • 2017/1期1Q(2-4月)は、医薬品や衣料品の販売が伸び、売上高が前年同期比0.9%増の1,159.4億USDと市場予想を上回った。従業員の賃上げに伴う人件費増で純利益が同7.8%減の30.79億USDとなった。ただ、調整後EPSは0.980USDと市場予想の0.881USDを上回った。既存店売上高は主力の米国内が同1.5%増となったほか、中国、カナダ、メキシコなど海外市場はそれぞれ同1.4%増、同6.7%増、8.6%増となった(海外は現地通貨ベース)。
  • 新聞報道によれば、同社はネットの新興企業で会員制卸売りである「Jet.com」の買収に向けた交渉に入った模様。同買収は最大で30億USDとなる見通し。実現すればウォルマートのネット事業の強化が進むことが想定され、動向が注目される。2017/1通期の市場予想は売上高が前期比0.9%増の4,864.71億USD、純利益が同9.4%減の133.14億USDである。(袁)
フィリップ証券株式会社

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