
豚肉価格が急騰している。そのことが、金融政策に影響を与えるといった懸念もあるほどだ。
中央銀行の中国人民銀行は28日、年央に開催される支店長会議の公告で、個別の商品価格の上昇で金融政策を変更することはないとの見解を示した。「豚肉価格の上昇が物価全体を押し上げ、金融政策が引き締められる」との観測を否定した格好だ。このところ、豚肉価格は再び騰勢を強めている。これを受け、市場では、「金融政策の方向性が転換される」との観測がくすぶっており、株式相場下落の一因としても、金融引き締め懸念が挙げられている。
※中国:豚肉値上がりでも金融政策不変か、人民銀が引き締め観測否定(07/29付モーニングスター運営サイト・サーチナより引用) (写真提供:CNSPHOTO)
国家統計局の発表した50都市主要食品平均価格変動状況によれば、7月中旬(11〜20日)の豚肉平均価格は、もも肉が1kg当たり28.04元で7月上旬(1〜10日)と比べ3.7%上昇、ばら肉が28.25元で3.6%上昇した。3月下旬(21〜30日)との比較では、もも肉が21.1%上昇、ばら肉が19.8%上昇した。
豚肉はこれまでも数年周期で上げ下げを繰り返している。2014年の生産量は大幅に増加したのに対して、消費量は伸び悩んだため、昨年秋から価格は大きく下落した。その結果、養豚業者が生産調整に乗り出し、2014年12月における母豚の頭数は13.2%減少した。
豚の成育には4〜6か月かかることから、簡単に生産量を増やすわけにはいかない。当面は輸入を増やしながらも、価格上昇は続くことになるだろう。
もっとも、豚肉は消費者物価指数の重要な構成要素ではあるが、全体に対するウエートは3.0%に過ぎない。加工食品だけでなく、食品全体に便乗値上げの動きが起きない限り、中国人民銀行が指摘するように、物価全体への影響は軽微であろう。
食品価格の動きをみると、豚肉価格の上昇以外には、牛乳(原乳)価格の下落が目立つが、牛乳(原乳)価格については早晩、底打ちすると予想される。今回は、こうした食品価格の動向に注目した。注目銘柄は、アメリカ、中国で豚肉生産などを手掛ける万洲国際(00288)、豚肉、ソーセージの生産・加工を手掛ける雨潤食品(01068)、ソーセージに使われる人口腸を製造する神冠(00829)、原乳メーカーの中国現代牧業(01117)、輝山乳業(06863)など。
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