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1Q(12-2月期)決算速報(現地3/14引け後発表)
多様なデジタルメディア形式のコンテンツやエクスペリエンスの作成、管理、配信、測定や最適化などを手掛けるソフトウェア会社です。23年9月には同社の生成AI活用ソフトウェア「Adobe Firefly」の一般提供を開始。画像向け生成AIでも存在感を示します。
●決算発表後の時間外取引(日本時間9:00時点):507.99ドル(-10.95%)
●売上高:51.8億ドル(予想51.4億ドル)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:4.48ドル(予想4.38ドル)〇市場予想を上回った
●3-5月期売上高見通し:52.5〜53.0億ドル(予想53.1億ドル)×上限値も市場予想を下回った
●3-5月期調整後EPS見通し:4.35〜4.40ドル(予想4.38ドル)×中間値がわずかに市場予想を下回った
●新規に250億ドルの自社株買い計画を発表(時価総額の約9.7%、3/14終値時点)
3-5月期の売上高見通しが市場予想を下回りました。前回の決算発表では24年11月期通期の売上高見通しなどが市場予想を下回り、2回連続の失望はAI分野の競争激化懸念を招いたようです。一方で新規に250億ドルの自社株買い計画を発表し、こちらを評価する声もあります。
引け後の時間外取引チャート
決算のポイント
●デジタル・メディア売上高:38.2億ドル(予想37.9億ドル)〇市場予想をわずかに上回った
●クリエイティブ・クラウド売上高:30.7億ドル(予想30.6億ドル)〇市場予想をわずかに上回った
●ドキュメント・クラウド売上高:7.50億ドル(予想7.28億ドル)〇市場予想を上回った
●デジタル・エクスペリエンス売上高:12.9億ドル(予想12.8億ドル)〇市場予想をわずかに上回った
●R&D(研究開発費用):9.39億ドル(予想8.94億ドル)市場予想より多かった
●デジタル・メディアARR(年間経常収入:毎年継続的に得られる売上):157.6億ドル(予想157.2億ドル)〇市場予想をわずかに上回った
経営陣の主なコメント
●当社はすべてのクラウドに生成AIを提供するリーダーです。データモデルとインターフェイス全体で高度に差別化されたアプローチを採用している
●AIアシスタントを駆使しPDFにインテリジェンスをもたらすという取組みを行っている。大きな飛躍を遂げる「Acrobat AI アシスタント」を発表できることを誇らしくおもう
●1Qのハイライトは*Acrobat Webに関してだ。驚異的な顧客獲得ツールといえ月間アクティブ ユーザー数は前年同期比7割以上増加し、ユーザー数は1 億を超えた。Microsoft EdgeやGoogle Chrome用の Acrobat 拡張機能と、Acrobat モバイル製品は、無料から有料利用へ加速している
●FireflyとAI プラットフォームを導入した。このサービスで様々な企業が当社のテクノロジーをマーケティング・フローなどに組み込んで提供可能となる。IBMでは多数のキャンペーン やマーケティング・バリエーションを大幅に時間短縮し作成した
*Acrobat WebはWebブラウザー上でPDFを閲覧・編集できるサービス。一部機能は無料だが制限無く使用するには料金が発生する
決算を受けたマーケットの反応
AI関連で期待の高かった同社ですが、2四半期連続で市場の期待に応えられませんでした。売上高はマクロ経済の影響か、OpenAIが発表した「Sora」など競合の出現によるものかは現時点では不明ですが市場は「売り」で反応しました。一方、250億ドルという同社の時価総額比9.7%に達する大規模自社株買い計画を発表。3月末にはラスベガスで「アドビ・サミット」の開催を予定しております。これらが同社の再評価につながるか!?しばらく目が離せない展開がつづきそうです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:647.81ドル
同、アナリスト・レーティングは5段階評価の4.42
同、相関チャート上位の同業はケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS)、インテュイト(INTU)、シノプシス(SNPS)
最低投資金額:85,600円(3/14終値、1ドル150円換算)