今週はアップル、AMD、パランティア、スーパーマイクロ・コンピューターなどが決算発表を行います。CNNが発表する投資家心理を示す「FEAR＆GREED（恐怖/強欲）指数」は25/100と弱気に傾いております。今週は米FRBや日本銀行などが金融政策を発表する中銀ウイーク。株価の重しの一つと思われる金融政策の不透明感が晴れるか！？投資家心理の弱気は買い場到来とも考えられるため、決算とあわせて目が離せない一週間となりそうです。

これまでに決算発表を行ったS&P500指数構成銘柄246社の動向をみると、売上高が市場予想を上回った企業は114社（46.7%）、調整後EPS（1株当たり利益）が市場予想を上回った企業は192社（78.7%）となっています（10/27時点、Bloombergのデータより、SBI証券調べ）。

アドバンスト・マイクロ・デバイシズ（AMD）　10/31　引け後

米ファブレス半導体大手。主にPCやデータセンターのサーバー、ゲーム機などに搭載されるCPU（中央演算処理装置）と GPU（画像処理半導体）、およびAPU（CPUとGPUの複合型チップ）などを開発・販売しています。前四半期の決算発表ではAI向けアクセラレーターでも存在感を発揮。リサ・スーCEOのもとインテル、エヌビディアを追撃します。

前回発表の2Q決算はAI向け契約やAIアクセラレータの伸びなどが好感された決算発表でした。エヌビディアのAI向けチップの対抗製品と目される「MI300X」の引合い、生産拡大意向などが好感されたようです。

今回の決算発表では2Qで大きく落ち込んだキャッシュ・フローの状況、下期回復期待が示されるPC向けの動向、上述の期待のAIアクセラレーター、エヌビディア・キラーとも目される「MI300シリーズ」の動向が注目を集めそうです。スーCEOは、AIアクセラレータの市場規模は27年度に1,500億ドル規模に到達すると予想しております。それを証明するような業績が期待されるところです。

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スーパー・マイクロ・コンピュータ（SMCI）　11/1　引け後

企業向けITインフラの構築を提供。特に急成長するAI向けサーバーが注目を集めます。

前回発表の4Q決算ではAI向けサーバーを原動力に急成長。23年度通期では調整後純利益が6.7億ドル、調整後EPSは前年同期比109%増の11.81ドルと大幅に利益を伸ばしました。エヌビディアなど業界をリードする企業との取引が同社の強みといえそうです。

今回の決算発表では24年度の見通し、取引顧客の拡がり、バックオーダーの状況や製品群の拡充などが注目を集めそうです。

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アップル（AAPL）　11/2　引け後

時価総額約2.6兆ドル（10/27現在）で世界最大級の株式会社。売上高の半分以上をiPhoneが占める。20億を超える稼働端末を武器にアプリやミュージックなどを提供するサービス事業が成長。バフェット氏が率いるバークシャーが大株主の3位に名を連ねます。

前回の3Q決算発表では、新モデルの端境期にあるiPhoneが減収となりました。しかしサービス事業は前四半期に続き売上高過去最高を更新。世界中の稼働端末から着実に収益を稼ぐ構造です。4月にアメリカでリリースした預金サービスはわずかな期間で100億ドル（約1.5兆円）に達するなど地力を見せつける同社。プラットフォーマーとしての存在感を見せつけます。

今回の決算発表ではサービス事業の伸び、10億件と3年で倍増した有料サブスクリプションの動向、新型iPhone15の販売見通しなどが注目を集めそうです。また、24年発売予定の「ビジョン・プロ」。ARやVRやメタバースでは無く「Spatial computing（空間コンピューティング）」と定義する同社。娯楽向けのみではなく、企業向けなどビジネス・ユースでの活用などアップデートがあるか注目を集めそうです。発表内容によってはOSなどを共同開発するユニティ（U）なども動意づくかもしれません。

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パランティア（PLTR）　11/2 寄り前

2003年に創業したビッグデータを分析するためのソフトウェアを提供する企業です。米国のテロ対策当局や国防総省でも使用されている「Palantir Gotham（ゴッサム）」、組織のデータを一元的に扱うためのオペレーティングシステムを提供する「Palantir Foundry（ファウンドリー）」のプラットフォームを擁します。またAIを活用した新サービス「AIP（Palantir Artificial Intelligence Platform）」。3本目の柱に成長するかサービス内容を見極めたいところです。

前回発表の2Qでは12月期通期調整後営業利益見通しを上方修正しました。加えて10億ドルの自社株買いを承認。経営陣は利益を継続的に確保することに自信を示し、S&P500指数に採用されることを目標に掲げます。

今回の決算発表では、AIPの採用企業の動向に注目。パランティアは同サービスを売り込むべく「AIP Con」を開催、顧客向けデモに余念がありません。また各国政府向けには9/21にS4G（ソフトウェア・フォー・ガバメント・サミット）を開催。こちらの成果も気になるところです。民間向けではAI活用を提案、政府向けでは地政学リスクの高まりは同社事業には追い風と見られます。いつにも増して注目度の高い決算発表と言えそうです。

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コインベース・グローバル（COIN）　11/2　引け後

コインベース・グローバルは、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く暗号資産取引所。世界100ヶ国以上でビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、ライトコインなどの暗号資産の取引所サービスを提供しております。

前回発表の2Q決算では売上高が7.1億ドルと前年同期比-12.0％。調整後EPSは-0.42ドル、前年同期は-4.98ドルと減収減益でしたが市場予想を大きく上回りました。また調整後EBITDAは1.94億ドルと2四半期連続の黒字確保となりました。規制当局から訴訟を受ける同社はSECから取引所運営、決済機関運営は未登録であり違法と指摘されています。しかし争う姿勢を明確にする同社。司法との訴訟動向は注意が必要です。

23年、アップダウンはあるものの10/30現在で年初来高値圏にあるビットコイン価格。またコインベースは米資産運用最大手の「ブラックロック」と8/4に提携を発表。ブラックロックが機関投資家向けに提供するリスク管理システムを通じて、ビットコインなど仮想通貨への投資手段を提供する、としています。これらが業績に及ぼす影響や、EBITDAで黒字を確保できるか、といったところが注目を集めそうです。

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