落ち着きを取り戻すかにみえた米国株式市場は、2/3(木)に5日ぶりに大幅に反落しました。特にこれまで相場下落を主導してきたナスダック指数の下落が大きいことから、市場に再び不安感が台頭しているとみられます。
2/3(木)の主要3指数は、S&P500指数が2.4%、NYダウは1.5%、ナスダック指数は3.7%の下落となりました。昨日の米国市場が大幅に下落した要因として、以下が考えられます。
1) メタプラットフォームズ(FB)の失望決算で株価が26.5%下落し、テクノロジー株の売りを誘った
2) 原油価格(WTI先物価格)が1バレル90ドル台に上昇してインフレ懸念を高めた
3) イギリスが2会合連続の利上げを決めたことで、米10年国債利回りも1.8%台に上昇した
4) ADP雇用統計が前月比マイナスとなり、2/4(金)の雇用統計発表を控えて市場の緊張が高まっている
2)〜4)は相場の不安定要因として残りそうですが、株価の最も重要な決定要因である企業業績に関連する、1)に関してはメタの個別要因という面も大きく、市場全体としては過剰反応の可能性がありそうです。
2/3(木)の引け後に決算を発表したアマゾン ドットコム(AMZN)は引け後の時間外取引で14.5%上昇して、テクノロジー株への懸念を緩和させそうです。また、スナップ A(SNAP)は初の黒字化を受けて引け後の時間外取引で58.4%上昇しており、メタの決算によって不安が高まったソーシャルメディア業界全体への不安感も緩和する見通しです。
企業業績は全体としては好調です。S&P500指数採用銘柄のEPSは前年比29.9%増、市場予想比8.9%増(Bloombergによる2/3(木)までの集計)となっています。マクロ環境の不安定要因は続くものの、株価の最も重要な決定要因である企業業績がしっかりしていることが確認されれば、株価は上昇基調を取り戻すと考えられます。
年初来の米国の株価下落は、経済・企業業績の悪化を織り込む調整ではなく、金融引き締めの前倒しによる「バリュエーション(PER)の調整」によるものと考えられます。「バリュエーションの調整」による株価下落は、継続的な下落相場につながりにくいというのが基本観です。
バリュエーションの調整がどのように進んだかを確認すると、S&P500指数の予想EPSを235ポイント(2022年と2023年の予想EPSの平均)として、2021年末の4,766.18ポイントで20.3倍、1/24(月)安値の4,222.62ポイントで18.0倍、2/3(木)終値の4,477.44ポイントで19.1倍です。
マクロ環境に大きな変化がなければ、S&P500指数の予想PERは18倍〜20倍、S&P500指数は、4,200〜4,700ポイントのレンジで推移すると想定できるでしょう。株価調整は大局的には終わっていると考えてよいと思われます。