新聞に「スクープ」された情報?
このコラムでも説明してきたように、新聞は株式投資にとって重要な情報源です。特に「日本経済新聞」いわゆるニッケイは、日本株の投資家であれば、個人投資家・機関投資家・外国人投資家など数多くの投資家が読んでいると思われる、「最重要」な情報源です。
(ちなみに、日本経済新聞は、日本のほかに米国、イギリス、ドイツ、香港など海外でも印刷されています。)
株式投資のことを頭において注意深く記事を見ていると、企業が未発表の新商品・新サービスのことが突然新聞に掲載されているのを目にして「スクープか?」と驚くことがあるでしょう。
実はこれは、いわゆる企業がリークした(漏らした)情報による記事がほとんどです。こういった記事を株式投資にどう活かすかで、株式投資の勝率も異なってくるのです。
企業と新聞にそれぞれのメリット
自社の新商品・新サービスなどは、どの会社も新聞に記事として掲載してもらい、大々的に告知をしたいと考えます。しかし、新聞の紙面には限りがあるため、掲載されないニュースも数多くあります。
そこで、企業に情報をリークしてもらって、事前に原稿をストックしておき、ほかのニュースとの兼ね合いを考慮しながら、タイミングを見て記事にしているのです。
これなら、ニュースの少ない日に紙面構成に頭を悩ませる必要がなくなるため、新聞社にも大きなメリットがあります。
企業側は、新聞記事が掲載されてから、実際に新商品・新サービスなどを発表するのです。
「リークできる情報」の意味を考える
ただし、インサイダー取引の対象となるような重要事実は、企業もさすがにリークできません。新商品・新サービスも本来は重要事実であり、リークできない情報です。
しかし、その新商品・新サービスによる売上見込み額が一定の基準に満たない場合は、軽微基準に該当し重要事実とされないため、インサイダー情報とはなりません。その基準は、その新商品・新サービスを開始から3年間の売上高の増加額が、直近の売上の10%に相当する額未満であること等です。
新商品や新サービスが、その企業のいきなりその企業の売上高の10%も占めることは少ないので、企業はほとんどの新商品・新サービスについては、インサイダー情報ではないので、安心して新聞社にリークできるのです。
これを逆に考えれば、記事になったリーク情報は、売上高にそれほど貢献しないと企業が考えている、たいしたことがないニュースとも言えます。
新聞の記事を鵜呑みにするのではなく、この記事のソース(情報源)はどこかを考えると、「情報の半歩先」を読むことができます。
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