為替の影響は企業ごとに考える
数年来のFX人気も手伝って、以前に比べ為替の動きはずっと身近なものになりました。
日用品などの値段も為替の影響で上下するのは当たり前というのも、広く認識されているようです。輸入品が多いブランド品やガソリン価格などは、為替の影響で価格に大きく影響を受ける商品の典型例です。
為替の動向は私たちの生活にも大きな影響を与えるわけですから、当然、株式市場にも大いに関係があります。
ただし、為替動向と株式市場というくくりではなく、各企業との関係で考えましょう。
円安で業績が上がる企業
世界の基軸通貨がドルですから、円安・円高というときは、日本円とドルの関係を言っています。
世界の商取引の大半はドルで決済されます。ある製品を10万ドルで売ったとします。1ドル80円なら、受け取る金額は日本円で800万円ですが、1ドル100円なら1,000万円受け取ることができます。
このように、輸出企業にとっては円安は好業績につながる「好材料」です。逆に円高になると、受け取る金額も少なくなり、さらに日本円で同じ価格設定にすると、ドルで見ると値上がりになって、売れにくくなるというマイナス面もあります。
そのため、輸出がメインの企業にとっては、「円安は買い」「円高は売り」という考え方になります。
円高で業績が上がる企業
一方、原材料を輸入して国内で販売する商品を製造したり、輸入品を販売したりする企業の場合、為替動向と株価の関係は輸出企業の逆になります。
円高になると原材料や商品を安く仕入れられるため、こうした企業はコストを下げられ、利益が大きくなります。逆に円安になると、輸入コストが高くなり、業績にはマイナスです。
そのため、原材料などを輸入している企業にとっては、「円高は買い」「円安は売り」という考えになります。
日本は、輸出企業の方が多いので・・
個別銘柄については、輸出企業・輸入企業によって、円高・円安の影響は逆になります。日本全体で考えると、日本で最も大きな産業は自動車産業や機械産業になります。日本で最も時価総額の大きい企業はトヨタ自動車です。また、日経平均株価の採用銘柄には、輸出関連企業が多く含まれています。下記のグラフは、リーマン・ショック前2008年9月12日の終値を100とした日経平均株価と、ドル円の推移です。すべての局面で当てはまる訳ではないですが、日本の場合は、円高=株安、円安=株高となる場合が多いようです。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。