投資家に向けた企業の広報活動
気になる銘柄が見つかったら、必ずその企業のホームページをチェックしてみましょう。まずは、その企業のホームページの第一印象が大変重要です。デザイン的にダサくないか、トップページがその企業の「顔」とも言える部分なので、その「顔」が気に入るか、気に入らないかは、投資の判断に役立つ情報でしょう。
その後チェックすべきは、IR情報です。IR情報は、企業が投資家向けに発信している情報で、「Investor Relations」の略で、一般的な広報活動であるPR(Public Relations)とは異なる投資家に向けた自社の広報活動と考えると良いでしょう。
昔は手に入りにくかった企業の情報が、今では簡単に誰でもネット上でチェックすることが可能です。
企業のホームページの「IR情報」または「投資家のみなさまへ」などのタグをクリックしてご覧ください。社長のあいさつや、決算情報、株主優待の情報など企業と投資家の関係を築くべく様々な情報が掲載されています。
社長挨拶
企業を良くするのも、駄目にするのも経営者の手腕に掛かっています。当然、企業のホームページでは、どんな経営者なのかチェックしましょう。社長のあいさつ文を読めば、どんな経営者なのかわかります。まずは、社長の「ポートレート」を掲載しているかが重要です。社長の写真を掲載していない会社もありますが、なぜ載せないのか、何か載せると困ることがあるのかと考えてしまいます。
あいさつ文の中で重要なのは、それが書かれたタイミングです。あまりに古い内容が掲載されている企業は、投資家に対しての情報発信がおざなりになっているからです。また、内容を読んで、個人投資家が理解できるかが重要です。「何をしている会社」「どんな状況で」「今後はどうなる」程度は、社長のあいさつ文を読んだだけで判らない会社は、会社の代表者である経営者が自社の宣伝活動が上手く出来ていないことになります。
企業IR 社長あいさつ 参考例
当社は、錠剤のフィルムコーティング技術に着目し、世界に先駆けて「自動フィルムコーティング装置」と「フィルムコーティング液」の開発に成功、1964年に創業いたしました。
以来、「創造力で未来を拓く」を企業理念に、医薬品および食品メーカーを主要ユーザーとし、コーティングと造粒技術をコア・コンピタンスとして積極的に事業を展開してまいりました。
ハードである機械事業(造粒・コーティング装置等)とソフトである化成品事業(医薬品添加剤、食品品質保持剤等)のシナジー効果を発揮し、業界のリ−ディングカンパニ−として、日本国内はもとより、海外においても高い評価と信頼を得ております。
大きな転換期を迎えている現在、グループ技術を融合した独創的技術をもって、既存事業の更なる拡大と新規事業への積極的な参入を図っていきます。
また、米国・欧州子会社とのシナジー効果を最大限に発揮してグローバル化を積極的に推進し、世界市場でのリーディング製剤機械・添加剤メーカーを目指し、着実に歩んでいきます。
これからも、企業価値の向上を図り、より付加価値の高い製品やサービスの提供に努めてまいりますので、なにとぞ皆様の暖かいご指導、ご鞭撻を賜わりますよう宜しくお願い申し上げます。
決算説明会資料
企業のIR情報には、決算短信や財務諸表などある程度の基礎知識がないと読みこなせない情報もありますが、個人投資家にも判るかどうかを判断できるものもあります。それが決算説明会資料です。これは、投資家向けに企業が決算内容をわかりやすくパワーポイントなどで説明する資料です。個人投資家がコレを読んでその企業の現状の業績と今後の方向性を理解できなければ、その企業は個人投資家向けには情報発信を怠っていると言うことです。専門用語ばかりのテキストだけで判りにくい資料なのか、図表などが豊富で判りやすい資料なのか、それだけでも個人投資家のことを重要視しているのか、逆に軽視しているのか判ると思います。
例えば、下記は製薬向け造粒・コーティング装置大手のX社の決算説明会資料ですが、同社のメインビジネスは、「製造装置の機械部門」と「その材料の化成品部門」が事業の2本柱ですが、コレを「ビジネスモデルはペンとインク」と端的に表現していて、わかり易いと思います。
決算説明会資料 参考例
また、内容については今後の「目標」に注目です。次年度以降の「目標」とその目標を達成するための「方策」が書かれているはずです。個人投資家の目線で読んで、この「目標」と「方策」に納得できれば、その会社の将来に期待して中・長期の投資を考えても良いと思います。逆に納得できなければ、投資するにしても短期投資に留めておいたほうが、良いかも知れません。
裏技 知りたいことは直接IRに電話する
会社を知るための、一番単純でしかも実践する人が少ない、とっておきの裏技をご紹介しましょう。
それは、IR担当者に電話をかけてみることです。「会社四季報」に掲載されている代表電話番号に掛けて、「IR担当部署をお願いします」と言えばOKです。
IRページを見て、疑問に感じたことを聞いてみましょう。「御社株への投資を検討している」と言えば、どんな些細なことでもキチンと対応してくれるはずです。ただし、先方も忙しいはず、企業に電話するときには社会人としてのマナーを守ってください。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。