日本経済新聞
2013年9月4日のこのコラムで説明した「会社四季報」と並んで、長らく個人投資家必携の情報源であり続けるのが「日本経済新聞」です。当然、個人投資家だけではなく、日本の機関投資家で、日経新聞を読まない投資家は、「ほぼいない」と思われます。また、日本と同じ時間(日本時間深夜1時から2時)に紙面データを伝送し、フランクフルトとロンドンで印刷しており、海外でも読まれているのです。
インターネットが普及する前は、日々の株価チェックに日経新聞の市況欄は欠かせない情報源でした。各社のニュースリリースや業績に関する情報も、日経新聞が多大な貢献をしていました。
しかし、ネットの普及でこうした情報は一歩遅れを取ることになってしまいました。
それでも、日経新聞は株式投資に役立つ情報がたくさん詰まっています。
日経新聞にも、PCやスマホで読める電子版と昔ながらの紙面と両方に良いところがあるので、組み合わせて使うことをオススメします。
紙とネット
ネットで読める電子版は、なんといっても検索機能が良いです。自分の気になる企業やキーワードで検索すれば、様々な情報を瞬時に得ることが可能です。
紙面版のよさは、そのレイアウトです。ネットで羅列された記事だと、どの記事がより重要な記事なのか、判断に困ります。紙面版であれば、最も重要な記事は1面に掲載されていますし、その他の記事も見出しの大きさやスペースでその重要性を把握することが可能です。
日経新聞の一面では何を確認する?
株式投資では、「自分だけ知っている」情報では株価は上がりません。「みんなが知っている(株価が上がりそうな)」情報だからこそ、実際に株価が動くのです。
そのみんなが知っている情報とは、投資家であれば「みんなが見ている」日経新聞の記事です。それも一面の記事でポジティブな記事に注意しましょう。
日経新聞の一面にポジティブでしかも社名が掲載されている場合、ほぼすべての投資家がそのニュースを知っているということです。当然、買い注文を出す投資家が多くなり、高値で寄り付くことになります。値段が動いてからその材料を知る投資家は少ないので、上値を買ってくれる投資家が少ないことになり、結果的に「高値掴み」となるケースが多いようです。
例えば、2013年9月6日の1面記事は、「ドコモがiPhone」との記事が掲載されていました。エヌ・ティ・ティ・ドコモ (9437)は、前日終値159,600円だったのですが、9月6日は買い気配でスタートし、5,900円高(約3.7%高)の165,500円で始値をつけています。その後、100円だけ高い高値165,600円をつけたものの、直ぐに急落安値159,300円をつけ、結局終値は160,500円と小幅高で終わっています。
このようなケースだと、短期的な売買では、「好材料で空売り」もひとつの手法です。
図表1:エヌ・ティ・ティ・ドコモ(9437)の株価推移(15分足 2013/9/5〜9/9)
出所:SBI証券投資調査部にて作成
企業名のない「良い情報」は買いスタンスで
「買い」に結びつく情報は、1面のポジティブな記事でも企業名が明記されていないケース。中面の産業面などで、自分は「良い情報」と判断できる情報です。
この場合は、銘柄名がなかったり、気付きにくいニュースのため寄付きでは株価に織り込まれず、その後に気付いた投資家が徐々に買いを入れるので株価が上昇するケースが多くなります。
また、銘柄選びには直結しませんが、マーケット全体や世界経済など大きなトレンドを分析・予想する記事は、いわゆる投資観をきたえる情報として役に立ちます。株式市場や経済全体については様々な見方・解釈が可能なため、日経新聞に掲載されていることが正解とは限りません。重要なのは、そのような見方・解釈の記事を多数の投資家が読んでいることです。株式投資は「みんなが買えば上がり、みんなが売れば下がり」ます。 だから「みんな」が何を考えているのかを知り、その半歩先読みできれば上がることになります。
その「みんな」の情報源である日経新聞が重要となるのです。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。