皆さん、こんにちは。
フロリダ州に上陸した超大型ハリケーン「イルマ」は大雨や暴風で約600万戸が停電するなどの被害をもたらしましたが勢力を弱めて熱帯低気圧に変わりました。1,800億ドルともいわれる被害を出した「ハービー」に続く大災害が警戒されましたが、最悪の大災害には至らなかったことでリスク回避の動きが後退しました。
北朝鮮の核実験を受けて国連安全保障理事会は、北朝鮮への原油・石油精製品輸出に上限を設ける米国作成の対北朝鮮制裁決議を全会一致で採択しました。当初は石油の全面禁輸や金正恩朝鮮労働党委員長の資産凍結などの制裁を米国は求めていましたが、中国とロシアとの交渉で米国が譲歩したことにより、地政学的リスクに対する過度な警戒感が後退し、投資家のリスク選考の動きが強まりました。
米労働省が8月の卸売物価指数(PPI)を発表しました。季節調整済みで前月比0.2%上昇し、エネルギーと食品を除いたコア指数は0.1%の上昇と、市場予想を下回ったものの前月からプラスに反転したことが好感され米長期金利が上昇しました。
米労働省が8月の消費者物価指数(CPI)を発表しました。結果は前月比0.4%の上昇となり、市場予想を上回りました。最新週の新規失業保険申請件数は前週比1万4,000件減の28万4,000件と堅調な内容となりました。これらを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)による「年内あと1回」の利上げ観測が再燃しました。
北朝鮮は日本時間15日6時57分頃に北朝鮮西岸から弾道ミサイルを発射しました。日本領域の北海道上空を通過し襟裳岬の東約2,000kmの太平洋上に着水しました。これを受けてリスク回避の動きから安全通貨とされる円や安全資産とされる金が買われ株式市場は一時的に売りが優勢となりました。
8月の米小売売上高は前月比0.2%減と市場予想を下回り、鉱工業生産指数も前月比0.9%低下と7か月ぶりにマイナスに転じましたが、影響は限定的だったようです。ミシガン大学が9月の米消費者信頼感指数を発表しました。内容は95.3と前月から低下したものの、市場予想を上回りハリケーンの影響は限定的との見方からリスク選考の動きとなりました。
ハリケーンや北朝鮮のミサイル問題、英国の地下鉄爆弾テロなどリスクオフとなる要因があるものの、NYダウは非常に確りとした動きを見せており、リスクオフで調整が入ったところが押し目の買い場となっているようです。NYダウに続き、DAXや日経225なども上向きの流れとなってきています。ファンダメンタルズを見れば買い難いニュースが多いですが、チャート分析で見ると雰囲気は違った様相を見せています。チャートの流れに沿った売買をしていきましょう。
週間の概況
◆注目イベント
9月20日(水)08:50(日本)8月貿易収支
9月20日(水)17:30(英国)8月小売売上高
9月20日(水)23:00(米国)8月中古住宅販売件数
9月21日(木)04:00(米国)FOMC政策金利発表
9月21日(木)未定(日本)日銀金融政策決定会合
9月21日(木)07:45(NZ)4-6月期GDP
9月21日(木)17:30(英国)8月財政収支
9月21日(木)21:30(米国)新規失業保険申請件数
9月21日(木)21:30(米国)9月フィラデルフィア連銀製造業指数
9月21日(木)22:00(米国)7月住宅価格指数
9月21日(木)23:00(ユーロ圏)9月消費者信頼感・速報
9月22日(金)15:45(仏国)4-6月期GDP・確報
9月22日(金)16:00(仏国)9月製造業PMI・速報、9月サービス業PMI・速報
9月22日(金)16:30(独国)9月製造業PMI・速報、9月サービス業PMI・速報
9月22日(金)17:00(ユーロ圏)9月製造業PMI・速報、9月サービス業PMI・速報
9月25日(月)17:00(独国)9月Ifo景況感指数
9月26日(火)08:50(日本)日銀金融政策決定会合議事要旨(7月19・20日開催分)
9月26日(火)23:00(米国)8月新築住宅販売件数
9月26日(火)23:00(米国)9月リッチモンド連銀製造業指数
※今週は9月21日のFOMC政策金利発表と日銀金融政策決定会合が大注目となります。26日の日銀金融政策決定会合議事要旨にも注目しましょう。フランスのGDPや新規失業保険申請件数の結果も確認しましょう。
チャート分析による銘柄診断
日経225分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ6
ステージ6は上昇相場の入り口です。中期移動平均線が上向きになってきています。
◆今後を読み取る鍵
ステージ6は上昇相場の入り口です。中期移動平均線と長期移動平均線の関係を見ていきましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は中期移動平均線が長期移動平均線を上抜けていきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値20,330円 安値19,153円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。
NYダウ分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ1
ステージ1は安定上昇期です。
◆今後を読み取る鍵
ステージ1の安定上昇期となっています。短期移動平均線と帯の関係を見ていきましょう。
・上昇トレンドに勢いが出る場合は、帯が傾きを持ち間隔が広がってきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値22,375ドル 安値21,606ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味がある。
小次郎講師のVトレーダー養成講座
先週はくりっく株の4銘柄の1ユニットから、それぞれの1日のリスクを計算しました。すべての銘柄で1日のリスクが投資用資金の1%に等しくなっていました。
ユニットという考え方に基づいて取引している限り、どの銘柄をトレードしようと1ユニットのリスクは同じで、かつ、投資用資金の1%に等しくなることを、今週はくりっく株以外の銘柄でも計算してみようと思います。
ある日の各銘柄のATRは次のようになっていました。
トヨタ自動車 83円
東京金 24円
ドル円 0.77円
日経225ミニ 143円
前回同様、投資用資金1,000万円を持つトレーダーの1ユニットを上記のATRに基づいて計算してみます。
トヨタ自動車(100株単位)は、1,000万円×0.01÷(83円×100)=10万円÷0.83万円=12.04
トヨタ自動車の1ユニット=1,200株
東京金(1枚は1,000グラム単位)は、1,000万円×0.01÷(24円×1,000)=10万円÷2.4万円=4.2枚
東京金の1ユニット=4枚
ドル円(1万通貨単位)は、1,000万円×0.01÷(0.77×1万)=10万円÷0.77万円=12.9枚
ドル円の1ユニット=13万通貨単位
日経225ミニ(1口100倍)は、1,000万円×0.01÷(143円100)=10万円÷1.43万円=6.9枚
日経225ミニの1ユニットは7枚
それぞれのユニットを計算しました。では、どの銘柄をトレードしようと1ユニットのリスクは同じで、かつ、投資用資金の1%に等しくなることを確認してみましょう。
1ユニット |
取引単位 |
ATR |
1日のリスク |
|
---|---|---|---|---|
トヨタ自動車 |
12 |
100 |
83円 |
9.96万円 |
金 |
4 |
1.000 |
24円 |
9.6万円 |
ドル円 |
13 |
10.000 |
0.77円 |
10.01万円 |
日経225ミニ |
5 |
100 |
188円 |
9.4万円 |
すべての銘柄で1日のリスクが10万円前後に揃うように1ユニットを調整できています。やはり、どの銘柄を取引してもユニットという考え方に基づいている限り、1ユニットのリスクは同じで、かつ、投資用資金の1%に等しくなることがわかりましたね。
ここまでは、投資用資金が一定の1,000万円で計算してきました。来週は投資用資金が違うとユニットがどう変わるかなどを見ていきましょう。
移動平均線大循環分析の見方(簡易版)
移動平均線大循環分析とは?
3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ(優位性)が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。
<移動平均線大循環分析>
ステージとは?
3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。(下図参照)
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。
売買チャンス
ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ(優位性)があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。
帯
移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯(おび)」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。
帯による分析
帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。
- ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA(指数平滑移動平均線)を利用しています。