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金はウクライナ情勢の行方を確認
2022/2/14
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FRBの大幅利上げ観測も焦点
2月7日の週のニューヨーク金市場は、インフレ懸念の高まりやウクライナ情勢の緊迫化を受けて堅調となり、中心限月となる4月限は昨年11月19日以来の高値1,867.4ドルを付けた。サリバン米大統領補佐官が、ロシアによるウクライナへの侵攻はいつ開始されてもおかしくはない、との見方を示し、先行き懸念が高まった。バイデン米大統領が12日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行ったが、事態の進展はなく、今後の行方を確認したい。露大統領は北大西洋条約機構(NATO)の不拡大やウクライナに攻撃兵器を配備しないなどの要求について、「実質的な回答」を得ていないとしている。米ロ首脳会談に先立つ米独首脳会談で米大統領はロシアがウクライナに侵攻すればロシアとドイツ間の海底ガスパイプライン「ノルドストリーム2」を稼働させないとしている。一方、仏ロ首脳会談後の会見で露大統領は、ウクライナがNATOに加盟し、クリミア半島の奪回を試みるなら、欧州諸国は自動的にロシアとの「勝者なき」戦争に巻き込まれるだろうとしたが、対話は終わっていないとも述べた。分離主義派がウクライナ軍と戦っているウクライナ東部2州に特別な憲法上の地位を与えるミンスク合意(2014〜15年)を復刻させ、妥協点を探る可能性もあるとの見方が出ている。
1月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.5%上昇し、事前予想の7.3%上昇を上回り、約40年ぶりの大きな伸び率となった。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は7月1日までに100ベーシスポイント(bp)の利上げが実施されることを望むと述べた。大幅利上げ観測が高まり、米10年債利回りは2019年7月以来となる2.06%を付けた。CMEのフェドウォッチによると、米短期金利先物市場で3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpの利上げを織り込みつつある。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準(現在0〜0.25%)は0.25〜0.50%の確率が50.8%(前週66.3%)、0.50〜0.75%の確率が49.2%(同33.7%)となった。今週は16日に1月の米小売売上高の発表がある。事前予想は前月比1.8%増と前月の1.9%減から回復するとみられている。一方、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁はユーロ圏のインフレ率が低下し2%前後で安定する可能性があるため、大規模な引き締めは必要ないと述べた。ECB理事会後の記者会見でインフレ懸念を示し、タカ派転換とみられていたが、慎重な見方が戻った。ただドイツ連邦銀行のナーゲル新総裁は、高インフレが一時期考えていたよりも持続性があるとしてECBが今年利上げする可能性があるとの見方を示した。ロシアがウクライナに侵攻すればエネルギー価格の高騰が続くとみられている。
2月11日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比7.84トン増の1,011.60トンとなった。インフレ懸念の高まりやウクライナ情勢の緊迫化を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月8日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万6,706枚となり、前週の17万2,142枚から拡大した。今回は新規買いが3,565枚、買い戻しが1万0,999枚入り、1万4,564枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはレンジ相場を継続
ニューヨーク・プラチナ4月限は、金堅調につれ高となり、1月26日以来の高値1,058.6ドルを付けたが、ドル高や株安を受けて上げ一服となった。中長期の景気回復見通しが強いが、高インフレによる米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ観測やウクライナ情勢の緊迫化が上値を抑える要因になった。991.1〜1,064.6ドルのレンジ相場を継続しており、テクニカル面で中立である。一方、ウクライナ情勢の緊迫化を受けてパラジウムが上昇したことは下支え要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、2月10日のロンドンで17.16トン(前週末16.60トン)、ニューヨークで36.15トン(同36.15トン)、南アで12.91トン(同13.06トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月8日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万1,759枚となり、前週の1万4,581枚から縮小した。
ニューヨーク金は戻り高値を突破
ニューヨーク金4月限は、インフレ懸念の高まりやウクライナ情勢の緊迫化を受けて堅調となり、昨年11月19日以来の高値1,867.4ドルを付けた。1月の戻り高値1,856.7ドルを突破し、テクニカル面で改善した。次の抵抗線は昨年11月高値1,883.3ドルになる。ロシアのウクライナ侵攻に対する懸念が高まった。バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領が12日、ウクライナ情勢を巡って電話会談したが、進展は見られず、今後の行方を確認したい。
2月14日からの週の注目ポイント
14日 | 特になし | |
15日 | 国内総生産(10-12月期1次速報) | ☆☆☆ |
英雇用統計(1月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(10-12月期改定) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(12月) | ☆ | |
独ZEW景況感指数(2月) | ☆☆ | |
米生産者物価指数(1月) | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(2月) | ☆☆ | |
対米証券投資(12月) | ☆☆ | |
16日 | 中国消費者物価指数(1月) | ☆☆ |
中国生産者物価指数(1月) | ☆☆ | |
英消費者物価指数(1月) | ☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(12月) | ☆☆ | |
米小売売上高(1月) | ☆☆☆ | |
米輸出入物価指数(1月) | ☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(1月) | ☆☆ | |
米FOMC議事録公表 | ☆☆☆ | |
17日 | 機械受注(12月) | ☆☆ |
貿易収支(1月速報) | ☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(1月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(2月) | ☆☆ | |
18日 | 消費者物価指数(1月) | ☆☆☆ |
英小売売上高指数(1月) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(1月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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