金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金はトランプ米大統領就任後の動きが焦点
金はトランプ米大統領就任後の動きが焦点
2025/1/20
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FRBの利下げ期待が支援
1月13日の週のニューヨーク金市場は、インフレの落ち着きなどを背景とした米国債の利回り低下を受けて買い優勢となった。中心限月の2月限は昨年12月12日以来の高値2,759.2ドルを付けた。12月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇と前月の2.7%から伸びが加速し、7月以来の大幅な伸びを記録した。ただコアCPIは同3.2%上昇と前月の3.3%上昇から伸びが鈍化した。米小売売上高は前月比0.4%増加したが、事前予想の0.6%増を下回った。前月のデータは上方改定され、米連邦準備理事会(FRB)が今年の利下げに慎重となる可能性を示唆した。ウォラー米FRB理事はインフレは引き続き緩和し、米FRBは予想よりも早くより速いペースで利下げする可能性が高まるとの見方を示した。米10年債利回りは4.59%と6日以来の低水準まで低下し、米FRBの利下げ期待が高まった。一方、国際通貨基金(IMF)は2025年の世界経済成長率の見通しを0.1%ポイント引き上げ、3.3%とした。米国の予想を上回る成長がドイツやフランスなど主要経済国の見通し引き下げを相殺した。ドル安が一服すると、金に利食い売りが出た。
今週は20日のトランプ米大統領就任後の動きが焦点である。関税引き上げや移民対策、減税などの政策が見込まれている。また約100本の大統領令を用意しているとされ、就任直後に署名する見通しである。各市場の反応を確認したい。関税に関して、次期米大統領は、メキシコとカナダが米国への不法移民や麻薬の流入対策を進めない限り、就任後直ちに両国製品へ25%の関税を課すと述べていた。メキシコのシェインバウム大統領は、移民や治安、中国を巡る問題で米国との協力に真剣だという姿勢を証明できる具体的な措置を打ち出している。一方、カナダ政府は次期米大統領がカナダ産の製品とサービスに関税をかけた場合、米国からの輸入品最大1,500億カナダドル相当に対抗措置を取る可能性があるとした。カナダのトルドー首相はフリーランド副首相の辞任後、各方面からの支持を失い、辞任を表明している。
イスラエルとイスラム組織ハマスが15日、パレスチナ自治区ガザでの停戦で合意した。当初6週間の停戦やイスラエル軍の段階的撤退、ハマスが拘束している人質解放、イスラエルが拘束しているパレスチナ人の釈放などが含まれる。イスラエルのネタニヤフ首相はガザの停戦合意について、ハマスが一部の項目に違反しており、政府による停戦合意の承認が遅れていると非難したが、18日に承認した。ガザ停戦は19日に発効し、ハマスはイスラエル人女性3人を解放した。停戦の第1段階は6週間で98人の人質のうち、女性や子供ら33人を解放する見通し。一方、バイデン米政権は10日、ロシアの石油・天然ガス収入を標的とする大規模な制裁措置を発動させた。15日にもロシアを標的とする数百件の制裁を科した。トランプ次期米政権とウクライナの和平交渉力を強めることが狙いとみられている。
1月17日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.30トン増の879.12トンとなった。リスク回避の動きを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月14日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは27万9,363枚となり、前週の25万4,911枚から拡大した。今回は新規買いが2万0,847枚、買い戻しが3,605枚入り、2万4,452枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは米大統領就任前の手じまい売りが圧迫
ニューヨーク・プラチナ4月限は、トランプ米大統領就任前の手じまい売りが圧迫要因となり、6日以来の安値938.5ドルを付けた。ただ米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待を受けてドル安や株高に振れたことが下支えとなり、売り一巡後は買い戻されて下げ一服となった。上海プラチナの出来高が増加し、中国勢の安値拾いの買いが入ったことも下支え要因である。当面はトランプ米大統領就任後の動きと各市場の反応を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、17日のロンドンで19.22トン(前回18.46トン)、ニューヨークで33.68トン(前週末34.39トン)、16日の南アで10.77トン(同10.83トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月14日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5,560枚となり、前週の1万7,847枚から縮小した。
ニューヨーク金は昨年12月のレンジ上限を突破できるか
ニューヨーク金はインフレの落ち着きなどを背景とした米国債の利回り低下を受けて買い優勢となった。中心限月の2月限は昨年12月12日以来の高値2,759.2ドルを付けた。同日高値2,761.3ドルが目先の抵抗線であり、ここを突破すれば一代高値2,826.3ドルを目指すとみられる。今週はトランプ米大統領の就任後の動きが焦点である。関税引き上げや移民対策、減税などの政策が見込まれており、インフレ高止まりに対する懸念が出ると、利食い売りが出る可能性がある。またガザ停戦合意が発効しており、ウクライナ停戦でロシアとの交渉の行方も確認したい。
1月20日からの週の注目ポイント
20日 | 米国休場 | ☆ |
機械受注(11月) | ☆☆ | |
独生産者物価指数(12月) | ☆☆ | |
トランプ米大統領就任式 | ☆☆☆ | |
21日 | 英雇用統計(12月) | ☆☆ |
独ZEW景況感指数(1月) | ☆☆ | |
22日 | 米景気先行指数(12月) | ☆☆ |
23日 | 貿易収支(12月速報) | ☆☆ |
日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
24日 | 消費者物価指数(12月) | ☆☆☆ |
日銀総裁記者会見 | ☆☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(1月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(1月速報) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(1月確報値) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(12月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。