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金は逃避買いも米利下げ観測後退が上値を抑える
2025/1/14
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米大統領の就任式に向けた動きも確認
1月6日の週のニューヨーク金市場は、米雇用の伸び鈍化を受けて堅調となった。一方、12月の米雇用統計が予想外に堅調な内容となったが、リスク回避の動きを受けて逃避買いが入ったことから一段高となった。中心限月の2月限は12月12日以来の高値2,735.0ドルを付けた。12月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は12万2,000人増となった。前月の14万6,000人増から伸びが鈍化し、事前予想の14万人増を下回った。米新規失業保険申請件数は前週比1万件減の20万1,000件と11カ月ぶりの低水準となった。事前予想は21万8,000件。予想外に減少し、年初は労働市場が安定していることを示唆した。ただ解雇された労働者の一部は長期の失業状態にある。一方、12月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は25万6,000人増加し、事前予想の16万人増を上回った。失業率は4.1%と前月の4.2%から低下した。また時間当たり平均賃金は前月比0.3%、前年比3.9%とそれぞれ上昇した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後退し、リスク回避の動きとなった。ただ米国債の利回り上昇が続いていることが上値を抑える要因である。今週は12月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の発表がある。
トランプ次期米大統領は、新たに導入を予定している関税に法的根拠を与えるため、国家経済緊急事態の宣言を検討している。米共和党指導部では各政策を詰め込んだ一本の大型法案にするか、目玉を2つの法案に分けるかで意見は割れている。米共和党内の協議の行方も確認したい。一方、パレスチナ自治区ガザでの停戦と人質解放を巡る協議で、仲介役のカタールは合意の「最終」草案をイスラエルとイスラム組織ハマスに提示した。20日の米大統領の就任前に停戦がまとまるかどうかも当面の焦点である。ウクライナに関して、次期米大統領はNATO(北大西洋条約機構)に加盟すべきではないとするロシアの立場に理解を示し、大統領就任前にロシアのプーチン大統領と会えないことを残念に思うと述べた。半年以内に戦争を解決できるかとの質問に対し、トランプ氏は「6カ月は欲しい。いや、6カ月よりずっと早く達成したいと思う」と述べた。ただマイク・ウォルツ次期米大統領補佐官(国家安全保障担当)は12日、次期米大統領が数日内にもプーチン大統領と電話協議するとの見通しを示しており、電話協議が実現するかどうかも確認したい。
中国人民銀行が発表した12月末の外貨準備の内訳によると、金の保有量は約2,279トンとなった。11月末から10トン増え、2カ月連続の増加となった。安全資産として金を積み増したとみられる。中国では12月下旬から上海金の価格がディスカウントからプレミアムに転じ、安値拾いの買い意欲が強まった。当面は春節も控えており、買いが続くようなら支援要因になるとみられる。
1月10日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.74トン増の876.82トンとなった。リスク回避の動きを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月7日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万4,911枚となり、前週の24万7,279枚から拡大した。今回は新規買いが8,814 枚、新規売りが1,182枚出て、7,632枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは金堅調につれ高
ニューヨーク・プラチナ4月限は中国の景気刺激策に対する期待感や金堅調を受けて買い優勢となり、昨年11月11日以来の高値1,001.3ドルを付けた。ただ米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退が上値を抑える要因である。上海プラチナの出来高は低水準で推移し、中国勢は戻り場面での買いを見送っている。トランプ次期米大統領の就任後の交渉の行方を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12月9日のロンドンで18.46トン、10日のニューヨークで34.39トン(前週末34.69トン)、9日の南アで10.83トン(同10.89トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月7日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万7,847枚となり、前週の5,656枚から拡大した。
ニューヨーク金は逃避買いで2,700ドル台を回復
ニューヨーク金は米雇用の伸び鈍化を受けて買い優勢となった。一方、12月の米雇用統計が予想外に堅調な内容となり、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けてリスク回避の動きが出ると、逃避買いが入って一段高となった。中心限月の2月限は12月12日以来の高値2,735.0ドルを付けた。ただトランプ次期米大統領の関税引き上げ見通しを受けて米国債の利回り上昇が続いていることは上値を抑える要因である。テクニカル面では昨年12月の高値2,761.3ドルが目先の抵抗線である。
1月13日からの週の注目ポイント
13日 | 成人の日 14日国際収支・経常収支(11月) | ☆☆ |
米生産者物価指数(12月) | ☆☆ | |
15日 | 英消費者物価指数(12月) | ☆☆☆ |
ユーロ圏鉱工業生産(11月) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(12月) | ☆☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(1月) | ☆☆ | |
米地区連銀経済報告(ベージュブック) | ☆☆ | |
16日 | 企業物価指数(12月) | ☆☆ |
独消費者物価指数(12月確報) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(11月) | ☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(11月) | ☆☆ | |
米小売売上高(12月) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米輸出入物価指数(12月) | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(1月) | ☆☆ | |
米企業在庫(11月) | ☆☆ | |
17日 | 中国住宅価格指数(12月) | ☆☆ |
中国国内総生産(10-12月期) | ☆☆☆ | |
中国小売売上高(12月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(12月) | ☆☆ | |
英小売売上高(12月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(12月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(12月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(12月) | ☆☆ | |
対米証券投資(11月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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