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2024-10-16 06:16:29

金は米利下げ見通しとリスク回避でもみ合い

2024/9/9
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米CPIを確認

 9月2日の週のニューヨーク金市場は、米雇用指標で労働市場の減速が示されるなか、景気減速懸念と米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて方向性を模索する動きとなった。8月の米雇用統計発表後は景気減速懸念によるリスク回避の動きを受けて上げ一服となった。17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見込まれているが、リスク回避の動きから株安に振れ、金に手じまい売りが出た。今週は8月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。
 8月の米ISM製造業景気指数は前月の46.8から47.2に上昇したが、節目となる50割れが続き、景気減速懸念が高まった。雇用が若干改善したが、新規受注のさらなる減少や在庫増加から、製造業の活動は当面低迷が続く公算が大きいことを示唆した。米ISM非製造業総合指数は51.5と前月の51.4からほぼ横ばいだった。事前予想の51.1を上回った。ただ労働市場の軟化に伴って雇用の伸びは鈍化した。米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、米連邦準備理事会(FRB)が高金利をこれ以上長く維持すべきではないとの見解を示した。雇用に過度の悪影響を与える恐れがあるためという。他の金融当局者も利下げに前向きな姿勢を示している。8月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比14万2,000人増で事前予想の16万人増を下回った。7月の非農業部門雇用者数は11万4,000人増から8万9,000人増に下方改定され、6~7月分の雇用者数は計8万6,000人減少した。失業率は4.2%で前月の4.3%から小幅低下した。米労働市場の減速を受けて米FRBの大幅利下げの見方も出たが、ソフトランディング(軟着陸)のシナリオは維持されているとみられ、25ベーシスポイント(bp)利下げが予想された。
 8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比2.2%上昇と3年ぶりの低水準まで鈍化した。8月のユーロ圏のHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.8と速報値の45.6から小幅に上方修正されたが、節目となる50を引き続き下回った。需要の減少ペースは今年最大で回復にはしばらく時間がかかる可能性があるという。欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるビルロワドガロー仏中銀総裁は、ECBが9月に追加利下げを実施するのが「賢明」とし、長く待ちすぎればインフレ率が目標を下回るリスクがあると警告した。ECBは6月の理事会で25ベーシスポイント(bp)利下げを決定しており、12日の理事会で追加利下げするとみられている。
 イスラエルのネタニヤフ首相は4日、パレスチナ自治区ガザ南部とエジプトの境界沿いのフィラデルフィア回廊と呼ばれる戦略上重要な緩衝地帯について、イスラエル軍がこの場所から撤退することはないと改めて強調した。武器やイスラエル人の人質が境界を越えてガザ地区へ秘密裏に運ばれるのを防ぐため、イスラエル軍はガザ南部の緩衝地帯にとどまらなければならないと主張した。ハマスは声明で、ネタニヤフ氏がフィラデルフィア回廊からの撤退をしないと決めたのは、停戦合意を妨害する試みだとし、今こそイスラエルに圧力をかける時だとした。一方、イスラエル占領地ヨルダン川西岸とヨルダンとの境界にある検問所で8日、銃撃があり、イスラエル人3人が死亡した。イスラエルとヨルダンの関係が緊迫化しており、中東情勢の行方を引き続き確認したい。
 9月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比変わらずの862.74トンとなった。米雇用統計の発表を控えて模様眺めの動きとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月3日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは28万7,558枚となり、前週の29万4,445枚から縮小した。今回は手じまい売りが4,173枚、新規売りが2,714枚出て6,887枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは景気減速懸念で調整局面を継続

 ニューヨーク・プラチナ10月限は景気減速懸念を受けて調整局面を継続し、3月1日以来の安値902.0ドルを付けた。7月の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が3年半ぶりの低水準となり、労働市場の減速が示された。一方、中国の不動産不況が長期化するとの懸念が出たが、上海プラチナの出来高が増加し、中国勢の安値拾いの買いが入った。17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見込まれており、900ドル割れでは買い戻す動きが出るとみられる。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、5日のロンドンで21.35トン(前週末21.08トン)、6日のニューヨークで32.18トン(同32.05トン)、5日の南アで11.24トン(同11.21トン)となった。一方、9月3日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1,388枚となり、前週の1万5,733枚から縮小した。

ニューヨーク金はリスク回避に上値を抑えられる

 ニューヨーク金はリスク回避に上値を抑えられる ニューヨーク金12月限は、米雇用指標で労働市場の減速が示されるなか、景気減速懸念と米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて方向性を模索する動きとなった。8月の米雇用統計発表後は景気減速懸念からリスク回避の動きが出て上げ一服となった。8月20日に付けた一代高値2,570.4ドルが目先の抵抗線である。今週は8月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。

9月9日からの週の注目ポイント

9日  国内総生産(4-6月期2次速報)          ☆☆☆
国際収支・経常収支(7月)              ☆☆
中国消費者物価指数(8月)              ☆☆
中国生産者物価指数(8月)              ☆☆
米卸売在庫(7月確報値)               ☆☆
10日  中国貿易収支(8月)                ☆☆
独消費者物価指数(8月確報)             ☆☆
英雇用統計(8月)                  ☆☆
11日  英貿易収支(7月)                 ☆☆
英鉱工業生産指数(7月)               ☆☆
米消費者物価指数(8月)             ☆☆☆
12日  企業物価指数(8月)                ☆☆
欧州中央銀行(ECB)理事会            ☆☆☆
米新規失業保険申請件数                ☆☆
米生産者物価指数(8月)               ☆☆
米財政収支(8月)                  ☆☆
13日  ユーロ圏鉱工業生産(7月)             ☆☆
米輸出入物価指数(8月)               ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(9月速報値)      ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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