金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金は米FRBの9月利下げ見通しが支援
金は米FRBの9月利下げ見通しが支援
2024/8/26
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は中東情勢の行方も確認
8月19日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて史上最高値を更新したのち、利食い売りが出たが、パウエル米FRB議長の政策を調整する時期が来たと発言を受けて押し目を買われた。中心限月となる12月限は中心限月ベースでの史上最高値2,570.4ドルを付けた。同議長はジャクソンホール会合の講演で雇用への下振れリスクが高まったとし、インフレが米FRBの目標である2%に向かいつつあるなか、政策を調整する「時期が来た」と述べた。市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが明確に示唆されたと受け止められた。CMEのフェドウォッチでは、9月の米FOMCでは25ベーシスポイント(bp)利下げの確率が76.0%、50bp利下げの確率が24.0%となった。また米金融当局者の9月利下げを支持する発言が目立った。米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は経済指標が予想通りとなれば、9月の利下げを支持するという見解を示した。米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は、米FRBは景気後退(リセッション)を引き起こすことなくインフレを抑制できるとの見方を示した。同時に9月の利下げ開始を支持する姿勢を示した。
米雇用統計の算出基準改定で、3月時点の非農業部門の就業者数が81万8,000人下方改定された。景気減速懸念からリスク回避の動きが出た。一方、7月の米中古住宅販売戸数は前月比1.3%増の395万戸と4カ月連続の減少から反転した。米新築一戸建て住宅販売戸数は同10.6%増の73万9,000戸と2023年5月以来の高水準を付けた。ローン金利の低下が背景にあるが、住宅市場の改善にはさらなる低下が必要とみられている。今週は7月の米個人消費支出(PCE)価格指数の発表がある。
ブリンケン米国務長官は19日、パレスチナ地区ガザでの停戦に向けた米国の新たな提案について、イスラエルのネタニヤフ首相が支持することを確認したと明らかにした。パレスチナのイスラム組織ハマスにも同提案を受け入れるよう呼びかけた。一方、イランの精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」の報道官、アリモハマド・ナイニ氏は、イスラエルに対するイランの報復措置を実行に移すまでには長い待機期間を要する可能性があるとの見解を示した。米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は22日、エジプトの首都カイロで行われているガザの停戦交渉について、「建設的」で、一定の進展があったと明らかにした。ただイスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの応酬が大規模な戦闘へと発展する恐れがあるとの懸念が出ている。ヒズボラは25日、イスラエルによる最高幹部殺害の報復として、数百発のロケット弾と無人機(ドローン)を発射した。イスラエルはヒズボラの攻撃を事前に察知し、戦闘機でレバノンの標的を攻撃したと発表した。ハマスのオサマ・ハムダン報道官はテレグラムへの投稿で、イスラエルが「停戦に新たな条件を追加」し、「先延ばしを続けている」と述べた。ガザ停戦交渉と中東情勢の行方を引き続き確認したい。
8月23日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比1.15トン増の856.12トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月20日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは29万1,253枚となり、前週の26万7,264枚から拡大し、2020年3月以来の高水準となった。今回は新規買いが2万6,782枚、新規売りが2,793枚出て2万3,989枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはドル安や金堅調が支援
ニューヨーク・プラチナ10月限は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて買い戻され、2日以来の高値980.6ドルを付けたのち、上げ一服となったが、パウエル米FRB議長の発言を受けて押し目を買われた。米FRBの利下げ見通しやドル安、金堅調が支援要因だが、中国経済の先行き懸念などが上値を抑える要因になっている。中国人民銀行は20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(LPR)を市場の予想通り据え置いた。7月に予想外の利下げを実施したが、資金需要は弱く、効果を見極めている。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、22日のロンドンで20.94トン(前週末21.40トン)、23日のニューヨークで32.05トン(同31.77トン)、22日の南アで11.21トン(同11.21トン)となった。一方、8月20日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万4,826枚となり、前週の1万1,939枚から拡大した。
ニューヨーク金は史上最高値更新が続く
ニューヨーク金12月限は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げを受けて中心限月ベースでの史上最高値2,570.4ドルを付けたのち、利食い売りが出て上げ一服となったが、パウエル米FRB議長の政策を調整する時期が来たと発言を受けて押し目を買われた。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが見込まれており、押し目は買われやすい。今週は7月の米個人消費支出(PCE)価格指数の発表がある。
8月26日からの週の注目ポイント
26日 | 英国休場 | ☆ |
独ifo景況感指数(8月) | ☆☆ | |
米耐久財受注(7月速報値) | ☆☆ | |
27日 | 中国工業利益(7月) | ☆☆ |
独国内総生産(4-6月期確報) | ☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(6月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(8月) | ☆☆ | |
28日 | 豪消費者物価指数(7月) | ☆☆ |
29日 | 独消費者物価指数(8月速報) | ☆☆ |
米国内総生産(4-6月期改定値) | ☆☆☆ | |
米卸売在庫(7月速報値) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(7月) | ☆☆ | |
30日 | 失業率(7月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(7月速報) | ☆☆ | |
小売業販売額(7月速報) | ☆☆ | |
独雇用統計(8月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(8月速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏雇用統計(7月) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(7月) | ☆☆☆ | |
米シカゴ購買部協会景気指数(8月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(8月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。