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金は予想以下の米経済指標が下支え
2024/7/1
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米雇用統計などを確認
6月24日の週のニューヨーク金市場は、米国債の利回り上昇を受けて売り優勢となったが、予想以下の米経済指標をきっかけに押し目を買われた。中心限月となる8月限は6月10日以来の安値2,304.7ドルで下げ一服となった。5月のカナダの消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇と前月の2.7%から伸びが加速した。また5月のオーストラリアのCPIは同4.0%上昇と前月の3.6%上昇から伸びが加速し、半年ぶりの高水準となった。世界的にインフレが続くとの見方から米国債の利回りが上昇した。ただ5月の米耐久財受注でコア資本財が前月比0.6%減と事前予想の0.1%増から予想外に減少した。また米新規失業保険申請件数で継続受給件数が183万9,000件と2021年11月下旬以来の高水準となり、失業期間の長期化が示された。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が金の下支えとなった。5月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.6%上昇し、前月の2.7%から鈍化した。予想通りにインフレが鈍化したが、米国債の利回り上昇に上値を抑えられた。今週は6月の米雇用統計の発表がある。
フランス国民議会(下院、577議席)選挙の第1回投票が30日に行われた。出口調査によると、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党「国民連合(RN)」が第1勢力になる見通し。左派連合が2位で、マクロン大統領の与党連合は3位にとどまる。最終的な結果は1週間後の決選投票で判明する。週明けのユーロは対ドルで上昇した。RNが事前調査より小幅な差で勝利するとみられたことが背景にある。一方、1日から欧州中央銀行(ECB)フォーラムが開幕する。2日に発表される6月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年比2.5%上昇と前月の2.6%から伸びが鈍化するとみられており、ECBにとって安心材料となる。ただフランスの選挙で政治情勢が混乱すると、ECBの対応が必要になるとみられている。またフォーラムではラガルドECB総裁とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のパネル討論が予定されている。
JPX金は円相場が1ドル=161円台前半と38年ぶりの円安水準となったことが下支え要因である。神田財務官は、足元の為替相場について「最近の急速な円安の進行に関しては深刻な懸念を有しており、高い警戒感をもって市場の動向を注視している」と言及しており、介入警戒感が出ている。ただインフレ高止まりに対する警戒感から米国債の利回りが上昇しており、今後の経済指標の発表と介入があるかどうかを確認したい。
イスラエルとイスラム教シーア派組織ヒズボラの緊張の高まりが続いている。AP通信は、親イラン武装組織関係者の話として、イスラエルとヒズボラが本格戦闘に入った場合、中東各地の親イラン組織の戦闘員数千人がレバノンに向かう準備ができていると伝えた。イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ自治区ガザの停戦案にイスラエルは引き続きコミットしていると述べた。イスラエル軍のヘルジ・ハレビ参謀総長は、ガザ最南部ラファのハマス旅団がほぼ壊滅したと言える段階に近づいていると述べた。イスラエルのハネグビ国家安全保障顧問は、ヒズボラとの紛争の解決に努める方針を示し、外交的解決を望むと述べた。ガザでのイスラエルの軍事作戦終結がヒズボラとの合意につながる可能性について、米当局者と協議してきたと明らかにした。
6月28日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.88トン減の829.05トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて週初に投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月25日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは24万6,229枚となり、前週の24万3,084枚から拡大した。今回は手じまい売りが2,262枚、買い戻しが5,407枚入って3,145枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは1,000ドル台で堅調
ニューヨーク・プラチナ10月限は踏み上げの動きを受けて6月4日以来の高値1,037.5ドルを付けたのち、戻りを売られたが、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待を受けて押し目を買われた。ニューヨークの指定倉庫在庫が減少し、実需筋の踏み上げの動きが出た。テクニカル面での買いが一巡し、戻りを売られたが、1,000ドル割れの押し目は買われた。ただ6月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2カ月連続で節目となる50を下回った。非製造業PMIは低下しており、中国勢が高値での買いを見送ると、上値を抑える要因になるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、27日のロンドンで24.43トン(前週末24.83トン)、28日のニューヨークで14.64トン(同25.45トン)、27日の南アで11.69トン(同11.96トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,603枚となり、前週の1万5,864枚から拡大した。
ニューヨーク金は予想以下の米経済指標で押し目を買われる
ニューヨーク金8月限は、米国債の利回り上昇を受けて売り優勢となり、6月10日以来の安値2,304.7ドルを付けたのち、予想以下の米経済指標を受けて押し目を買われた。5月の米個人消費支出(PCE)デフレータは予想通りにインフレが鈍化したが、米国債の利回りが上昇し、上値を抑える要因になった。今週は6月の米雇用統計の発表がある。
7月1日からの週の注目ポイント
1日 | 香港、カナダ休場 | ☆ |
日銀短観 概要及び要旨(6月調査) | ☆☆ | |
中国財新製造業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(6月速報) | ☆☆ | |
米建設支出(5月) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(6月) | ☆☆☆ | |
2日 | ユーロ圏消費者物価指数(6月速報) | ☆☆☆ |
ユーロ圏雇用統計(5月) | ☆☆ | |
3日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(5月) | ☆☆ | |
ADP全米雇用報告(6月) | ☆☆ | |
米貿易収支(5月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米耐久財受注(5月確報値) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(5月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(6月) | ☆☆☆ | |
米FOMC議事録公表(6月11-12日) | ☆☆ | |
4日 | 米国休場 | ☆ |
独製造業受注(5月) | ☆☆ | |
5日 | 全世帯家計調査・消費支出(5月) | ☆☆ |
独鉱工業生産指数(5月) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(5月) | ☆☆ | |
米雇用統計(6月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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