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金は堅調な米雇用統計で戻りを売られる
2024/6/10
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米CPIやFOMCを確認
6月3日の週のニューヨーク金市場は、米国債の利回り低下が支援要因になったが、堅調な米雇用統計を受けて戻りを売られた。中心限月となる8月限は4月2日以来の安値2,304.2ドルを付けた。米10年債利回りは予想以下の全米雇用報告などを受けて4月1日以来の低水準となる4.28%まで低下したが、堅調な米雇用統計を受けて再び上昇した。5月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比27万2,000人増となり、事前予想の18万5,000人増を大きく上回った。失業率は3.9%から4.0%に上昇した。時間当たり平均賃金は前月比0.4%上昇と前月の0.2%上昇から伸びが加速した。全米雇用報告が予想以下となり、労働市場の減速が示されるとみられていたが、予想外に堅調な内容となった。CMEのフェドウォッチで、米連邦準備理事会(FRB)の9月の利下げ確率は45.0%(前週47.0%)に低下、年1回利下げの確率が39.9%(同39.6%)となった。今週は5月の米消費者物価指数(CPI)の発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。事前予想は米CPIが前年比3.4%上昇(前月3.4%上昇)、米FOMCで金利据え置きが見込まれている。
欧州中央銀行(ECB)理事会で、主要政策金利の0.25%ポイント引き下げを決定した。利下げは2019年9月以来。中銀預金金利を過去最高の4.00%から3.75%に引き下げた。ただ複数の政策担当者が、賃金上昇やサービスインフレなどの最近のデータを踏まえると、7月に追加利下げする可能性は低いとの認識を示した。5月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値は前年比2.6%上昇と、4月と3月の2.4%上昇から加速した。カナダ銀行も政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ4.75%とした。4年ぶりの利下げとなった。各国中銀の利下げは金の支援要因であるが、ECB理事会メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁は利下げ転換を判断するのは時期尚早との見方を示しており、今後発表される経済指標を確認したい。
バイデン米大統領は、イスラエルの新たな停戦案を明らかにし、イスラム組織ハマスに対して同意するよう呼びかけた。イスラエルは、交渉担当者にガザ停戦合意を提示する権限を与えたとし、「人質全員の帰還とハマスの軍事、政治力の破壊を含む全ての目標が達成されるまで戦争は終結しない」と表明した。イスラエルのネタニヤフ首相はパレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの最優先課題はハマスの壊滅であり、人質解放とともに追求すると述べた。イスラエル軍は8日、ガザでハマスに拘束されていた人質4人を救出したと発表した。ガザ当局は死者が少なくとも210人になったとした。
中国人民銀行が保有する金地金は5月末時点で2,264.33トンと、前月と変わらずとなった。1年半続いた金購入が止まったことも金の上値を抑える要因になった。民間部門で不動産不況に対する懸念から金が安全資産として買われているが、史上最高値を更新し、人民銀が金購入を見送ったことは利食い売りを促すことになりそうだ。
6月7日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.46トン増の835.67トンとなった。米国債の利回り低下を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月4日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万7,302枚となり、前週の23万6,585枚から拡大した。今回は手じまい売りが2,171枚、買い戻しが2,888枚入って717枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは堅調な米雇用統計で1,000ドル割れ
ニューヨーク・プラチナ7月限は米国債の利回り低下を受けて下げ一服となったが、堅調な米雇用統計を受けて戻りを売られ、5月7日以来の安値967.7ドルを付けた。予想以下の全米雇用報告を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が高まったが、堅調な米雇用統計をきっかけに利下げ観測は後退した。一方、5月の中国の財新総合購買担当者景気指数(PMI)は54.1と前月の52.8から上昇し、1年ぶり高水準となった。しかし、主要7カ国(G7)が中国の過剰生産能力を批判し、米国は関税引き上げを発表しており、輸出が好調を維持できるかどうかは不透明である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、6日のロンドンで24.07トン(前週末23.71トン)、7日のニューヨークで32.22トン(同32.39トン)、6日の南アで11.63トン(同11.19トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月4日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2,566枚となり、前週の2万7,567枚から縮小した。
ニューヨーク金は堅調な米雇用統計で約2カ月ぶりの安値
ニューヨーク金8月限は米国債の利回り低下が支援要因になったが、堅調な米雇用統計を受けて戻りを売られ、4月2日以来の安値2,304.2ドルを付けた。前米雇用報告が予想以下となったが、堅調な米雇用統計を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後退した。中国人民銀行が5月の金購入を見送ったことも圧迫要因になった。米FRBの利下げ見通しに変わりがないことが下支え要因だが、リスク回避の動きが出ると、上値を抑えられるとみられる。
6月10日からの週の注目ポイント
10日 | オーストラリア、中国、香港休場 | ☆ |
国内総生産(1-3月期2次速報) | ☆☆☆ | |
国際収支・経常収支(4月) | ☆☆ | |
11日 | 英雇用統計(5月) | ☆☆ |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
12日 | 企業物価指数(5月) | ☆☆ |
中国消費者物価指数(5月) | ☆☆ | |
中国生産者物価指数(5月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(5月確報) | ☆☆ | |
英貿易収支(4月) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(4月) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(5月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(5月) | ☆☆ | |
米FOMC声明文公表 | ☆☆☆ | |
13日 | 日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ |
ユーロ圏鉱工業生(4月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米生産者物価指数(5月) | ☆☆ | |
14日 | 日銀総裁記者会見 | ☆☆☆ |
ユーロ圏貿易収支(4月) | ☆☆ | |
米輸出入物価指数(5月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(6月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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