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金は史上最高値更新も米FRBの利下げ観測後退が圧迫
2024/5/27
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米PCEデフレータでインフレに対する見方を確認
5月20日の週のニューヨーク金市場は史上最高値を更新したのち、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて調整局面を迎えた。中心限月となる8月限は中心限月ベースでの史上最高値2,477.0ドルを付けた。イラン大統領が乗ったヘリコプター墜落や台湾の新総統就任を受けて地政学的リスクが意識され、踏み上げの動きとなった。イランのライシ大統領らを乗せたヘリコプターが19日に墜落したが、テロの可能性はないとされた。一方、台湾で与党・民進党の頼清徳氏が新たな総統に就任した。演説で中国に対して政治的・軍事的威圧をやめるように求め、中国との関係悪化が懸念された。中国は頼政権への軍事圧力を強化し、台湾を包囲する軍事演習を行った。またイタリア北部ストレーザで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で中国の過剰生産能力が議論された。声明で「中国の非市場的な政策や慣行の包括的利用について懸念を表明する。今後も過剰生産能力の潜在的な悪影響を監視し、世界貿易機関(WTO)の原則に沿って公平な競争条件を確保するための措置を講じることを検討する」とされた。米国は、中国の電気自動車(EV)などの輸入に対する大幅な関税引き上げを発表している。
タカ派の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録や堅調な米経済指標は金の上値を抑える要因になった。米FOMC議事録で、ディスインフレには予想よりも時間がかかるとの見方が示された。一部の委員はインフレ再燃リスクが浮上すれば追加利上げを実施する可能性を示した。米新規失業保険申請件数は前週比8,000件減の21万5,000件となった。事前予想の22万件を下回り、労働市場の堅調が示された。5月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.4と事前予想の51.1を上回り、2022年4月以来の高水準となった。前月は51.3。CMEのフェドウォッチでは、米連邦準備理事会(FRB)の利下げは年1回になるとの確率が高まった。今週は第1四半期の米国内総生産(GDP)改定値や4月の米個人消費支出(PCE)デフレータの発表がある。事前予想は4月の米PCEデフレータが前年比2.7%上昇と前月から横ばいとなっており、インフレ高止まりに対する懸念が強まると、金は調整局面を継続する可能性がある。
国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、戦争犯罪と人道に対する罪の疑いでイスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相のほか、イスラム組織ハマス幹部3人の逮捕状を請求したと発表した。ブリンケン米国務長官は、ICCがイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を請求したことについて、米政権は議会と連携し「適切な措置を講じる」と言明した。一方、ガザ最南部のラファでは21日夜から22日未明にかけ、イスラエル軍が激しい爆撃を実施し、同軍の戦車がラファ中心部の地区の端まで進んだ。サリバン米大統領補佐官は、イスラエルから民間人の犠牲を抑えることに配慮した新たなガザ南部ラファでの軍事作戦の説明を受けたことを明らかにした。アイルランド、スペイン、ノルウェーは、パレスチナを28日付で国家として承認すると発表した。国際司法裁判所(ICJ)は24日、イスラエルに対し、ガザ地区南部ラファでの軍事攻撃を即時停止するよう命じた。中東情勢の行方を引き続き確認したい。
5月24日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.33トン減の832.21トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月21日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは22万9,806枚となり、前週の20万4,496枚から拡大した。今回は新規買いが2万3,087枚、買い戻しが2,223枚入って2万5,310枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは昨年5月以来の高値も利食い売りで急落
ニューヨーク・プラチナ7月限は金急伸につれ高となり、昨年5月以来の高値1,105.0ドルを付けたのち、利食い売り主導の調整局面を迎えた。供給不足見通しなどが支援要因だが、1,100ドル達成で利食い売りが出た。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退も圧迫要因になった。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で中国の過剰生産能力に対する批判が出ており、中国の対応も確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、23日のロンドンで21.24トン(前週末21.25トン)、24日のニューヨークで32.39トン(同32.39トン)、23日の南アで11.22トン(同11.28トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月21日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万7,649枚となり、前週の2万4,447枚から拡大した。
ニューヨーク金は史上最高値更新も調整局面
ニューヨーク金8月限は史上最高値2,477.0ドルを付けたのち、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて調整局面を迎えた。イラン大統領が乗ったヘリコプターが墜落したことや台湾の新総統就任で地政学的リスクが意識され、踏み上げの動きとなったが、タカ派の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録や堅調な米経済指標を受けて米FRBの利下げ観測が後退した。今週は第1四半期の米国内総生産(GDP)改定値や4月の米個人消費支出(PCE)デフレータの発表がある。5月安値2,308.7ドルが当面の支持線である。
5月27日からの週の注目ポイント
27日 | 英国、米国休場 | ☆ |
中国工業利益(4月) | ☆☆ | |
独ifo景況感指数(5月) | ☆☆ | |
28日 | 米S&Pケース・シラー住宅価格指数(3月) | ☆☆ |
米消費者信頼感指数(5月) | ☆☆ | |
29日 | 独消費者物価指数(5月速報) | ☆☆ |
30日 | ユーロ圏雇用統計(4月) | ☆☆ |
南ア準備銀行政策金利発表☆ | ☆☆☆ | |
米国内総生産(1-3月期改定値) | ☆☆☆ | |
米卸売在庫(4月速報値) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(4月) | ☆☆ | |
31日 | 失業率(4月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(4月速報) | ☆☆ | |
小売業販売額(4月速報) | ☆☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(5月) | ☆☆ | |
中国非製造業購買担当者景況指数(5月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(5月速報) | ☆☆☆ | |
米個人所得・支出(4月) | ☆☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(5月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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