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金は米労働市場減速や中東情勢が支援
2024/5/13
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米CPIを確認
5月6日の週のニューヨーク金市場は、米金融当局者のタカ派発言に上値を抑えられたが、米新規失業保険申請件数の増加で労働市場の減速の見方が強まったことや、イスラエルがガザ停戦案を拒否し、中東情勢の先行き懸念が強まったことを受けて地合いを引き締めた。中心限月となる6月限は4月22日以来の高値2,385.3ドルを付けた。ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、おそらく年内は金利が据え置かれるとの見方を示した。ボストン地区連銀のコリンズ総裁も、インフレ率を米FRBの目標である2%に戻すには米経済活動の減速が必要とした。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、金利は足元で景気を抑制しているが、インフレを米金融当局の目標に戻すには「もっと時間がかかる」かもしれないとの考えを示した。ただCMEのフェドウォッチでは、予想以下の米雇用統計を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げが9月以降に開始され、年2回の利下げが実施されるとの見方が強い。また米新規失業保険申請件数は予想以上に増加し、約8カ月ぶりの高水準となり、労働市場が減速していることを示した。5月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は6カ月ぶりの低水準となった。今週は4月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。
イスラエルがガザ停戦案を拒否したことも支援要因になった。イスラム組織ハマスは6日、ガザ停戦交渉で仲介役のカタールとエジプトが提示した停戦案に合意したと表明した。しかし、イスラエルの戦時内閣は「イスラエルが必要とする要求を満たすには程遠い」として、全会一致で合意内容を拒否した。イスラエル軍は7日、パレスチナ自治区ガザ南部にあるラファ検問所のパレスチナ側を掌握し、特殊部隊が一帯を精査していると発表した。米政権がイスラエルによるラファ侵攻を阻止するため、兵器輸送を一時停止したが、イスラエルのハマスせん滅方針に変わりはなく、攻撃が続いている。中東情勢に対する懸念が続くと、金は再び2,400ドル台を試すことになりそうだ。
英中銀は金融政策委員会で政策金利を5.25%に据え置くことを決定した。賛成したのは7票で、利下げを支持して反対したのは2票と前回会合より増えた。ベイリー総裁は「状況が正しい方向に進んでいると楽観している」と表明した。市場では8月の利下げが見込まれている。一方、4月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は51.7で前月の50.3から上昇し、昨年5月以来の高水準となった。サービス業の好調が寄与し、節目となる50を2カ月連続で上回った。欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は、ECBによる将来の利下げ回数について、ユーロ圏の賃金動向や金融市場の反応など一連の要因次第という認識を示した。市場では6月の利下げ開始が見込まれている。
5月10日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比1.46トン増の831.93トンとなった。労働市場の減速の見方を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月7日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万9,567枚となり、前週の20万4,210枚から縮小した。今回は手じまい売りが6,706枚、買い戻しが2,063枚入って4,643枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはレンジ上限付近まで上昇
ニューヨーク・プラチナ7月限は、買い戻し主導で上昇すると、米労働市場の減速の見方によるドル安も支援要因となって堅調となり、4月12日以来の高値1,008.5ドルを付けた。また英ジョンソン・マッセイのレポートによると、今年はプラチナが18.6トンの供給不足とここ10年で最大の供給不足になると予想した。堅調な需要に加え、南アの鉱山生産が減少するとみられている。レンジ上限となる4月高値1,020.5ドルが目先の抵抗線であり、ここを突破できるかどうかがテクニカル面の焦点である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで18.11トン(前週末17.72トン)、10日のニューヨークで32.39トン(同32.67トン)、9日の南アで11.43トン(同11.43トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月7日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,660枚となり、前週の6,797枚から拡大した。
ニューヨーク金は米労働市場の減速の見方などが支援
ニューヨーク金6月限は、米金融当局者のタカ派発言に上値を抑えられたが、米労働市場の減速の見方やイスラエルのラファ侵攻に対する懸念を受けて地合いを引き締め、4月22日以来の高値2,385.3ドルを付けた。予想以下の米雇用統計に加え、米新規失業保険申請件数の増加を受けて労働市場の減速の見方が強まり、米連邦準備理事会(FRB)の年2回の利下げが見込まれた。またイスラエルがガザ停戦案を拒否した。今週は4月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。
5月13日からの週の注目ポイント
13日 | マネーストック(4月) | ☆☆ |
14日 | 企業物価指数(4月) | ☆☆ |
英雇用統計(4月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(4月確報) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(5月) | ☆☆ | |
米生産者物価指数(4月) | ☆☆ | |
15日 | 香港休場 | ☆ |
ユーロ圏域内総生産(1-3月期改定) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(3月) | ☆☆ | |
米小売売上高(4月) | ☆☆☆ | |
米消費者物価指数(4月) | ☆☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(5月) | ☆☆ | |
米企業在庫(3月) | ☆☆ | |
対米証券投資(3月) | ☆☆ | |
16日 | 国内総生産(1-3月期1次速報) | ☆☆☆ |
米住宅着工・許可件数(4月) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米輸出入物価指数(4月) | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(4月) | ☆☆ | |
17日 | 中国住宅価格指数(4月) | ☆☆ |
中国小売売上高(4月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(4月確報) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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